prospector's works : special
リノベーション・レポート(3)
設計・ページ執筆:山本想太郎
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設計提案−平面計画(左記図面、2004年7月)
今回、他の仕事との兼ね合いで設計期間をすこし多めに頂いていましたが、いよいよ、まとまった設計案の提出です。

水周りの位置は大きくは変更できませんが、若干レイアウトを変更して、スペースを有効利用します。もちろん、機器類はすべて新規のものとします。その上で、全体をワンルーム+アルファのような部屋構成とし、収納スペースを多めに確保しました。
図面の「ルームB」のスペースは、ベッドルームとして使用することも、荷物の多い方は収納として使用することもできます。
想定されるライフスタイルとして、複数の個室は不要であり、今まで小割だった部屋が一体となることで、広々とした部屋になると思います。

この提案はYさんにとても気に入っていただき、平面計画の基本方針はこれで決定、となりました。

設計提案−デザイン計画(パース1)
マンションの一室ですから、この家のパーソナルな「外観」はありません。つまり、内装仕上げがこの家の「顔」となります。そこで重要なのは、もちろん部屋をぐるっと取り囲んでいる「建具」です。
国分寺の家を設計した際もそうだったのですが、私は家の収納スペースを、あまり閉鎖的でない、可変的なものとして考えています。しかし今回の場合、国分寺のカーテンのように軽いものでは家の「顔」としては不十分でしょう。またあまり景観が良くないことに配慮し、窓側までぐるりと取り囲む建具を計画したため、光の透過・制御もテーマとなります。そこで今回ご提案したのは、木製ルーバーによる天井いっぱいまでの建具です。横桟が互い違いになっており、同じ面にある建具が、あたかも伸縮するように開閉できるというものを考案しました。

このような建具のスクリーンについても、基本的なご了解はいただけましたが、デザインについてはいろいろ考えてみましょう、ということになりました。

コスト試算と設計変更案(パース2-4、2004年9月)
基本方針が決定したので、次は工事コストの試算です。建築・設備それぞれについて、工事費を積み上げ試算してみました。結果、予想はしていたのですが設備工事が全体予算の半分以上となりそうなため、建築工事部分についても合理的に考えていかなければなりません。
それと同時に例の「建具」の案を、メーカーの見積もりなどをとりながら何案も作成してみたのですが、予算的に木製建具工事の範囲で可能なもの以外は難しいだろうと判断し、そのようなものを追加案として数案、Yさんにご提案しました。
今回は、いろいろな幅の引き戸、変形した引き戸を並べる案です。木製建具は、使いながらはずして移動、などもできるので、かなりの可変性があると思います。

Yさんは今回の追加案を気に入ってくださいましたが、各仕上げの具体的な素材やスケール感については、イメージが不十分とのことで、それは次回に。また実はYさんは照明デザイナーなので、照明計画について、ご自身で考えてみるとのことでした。

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