●この特集ページでは、山本想太郎設計アトリエが現在設計中である、マンションの部屋のリノベーション(改修)について、設計から工事までの全プロセスをご説明していきます。
お施主様であるYさんのご厚意により、写真、図面を交えつつ、リアルタイムでレポートしていきます。
●物件について
東京都内の駅前にある、築約30年(1975年竣工)の11階建て分譲マンションの、7階にある一住戸の内装を改修します。この部屋は現在使われておらず、リノベーションを施した上で、貸室とすることが予定されています。
主構造 :鉄骨鉄筋コンクリート造
室面積 :47(m2)
完成予定:2005年2月
改修内容:住戸内設備、内装の全更新
●主な改修内容
Yさんのご要望には、まず水周りをはじめとする設備の全更新があります。お風呂、キッチン、洗面所を器具、室内配管とも全て入れ替えます。床・壁・天井の各仕上についても基本的に全て撤去し、いったん構造躯体のみの状態に戻して内装を作り直すこととなります。
・1〜2人居住を想定した都市型
・床暖房、浄水器(飲料用)、ウォシュレットを設置
・コンパクトなトイレ、風呂、キッチン
・適切な収納
「この古いマンションにきて、ドアを開けると驚くような意外性のある雰囲気を造ってほしい」というご注文でした。
もちろんマンションであるため、「共用部分」については変更が不可能です。構造躯体、外壁部のサッシ、バルコニー部の形状・仕上げ、住戸入口扉、パイプシャフト内の配管などはこの「共用部分」にあたり、改修の対象外となります。
●現況視察(写真1-5:2004年5月)
まずは現地に赴き、お部屋を拝見します。玄関から入ったところがダイニング・キッチンで、その奥に和室が2室ある2DKの構成です。
バルコニーは南東向き。目の前に銀行のビルがあり、眺望、採光ともすごく良好とはいきませんが、7階であることもあり、それなりに快適です。
SRC(鉄骨鉄筋コンクリート)造11階建てというのは、建設当時としては、相当先進的なものであったと思います。しかしやはり築30年だけのことはあり、仕上げ、設備類はかなり古びています。
Yさんは、現在はお住まいではありませんが、お住まいだった頃の家具や書籍などが残されており、この記憶の蓄積をリセットしまうことを考えると、身が引き締まる思いがしました。
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