prospector's works : special
リノベーション・レポート(7)
設計・ページ執筆:山本想太郎
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工事2
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建具(写真1:2005年3月)
工事もいよいよ後半。この段階になると、毎日ダイナミックに部屋の様相が変化します。本日は現場に建具が入りました。イメージしていた空間の「主役」の登場で、一気に雰囲気がでました。普通は、敷居、鴨居などに合わせて一枚ずつ建具を調整するものなのですが、今回の建具は「どこにでも移動して部屋を変化させられる」コンセプトなので、どこに入れても違和感の無いようにしなければなりません。建具やさんも大変ご苦労されていました。写真ではまだ未塗装です。

造作家具(写真2:2005年3月)
造作家具が入りました。写真は玄関の下足箱です。家具はもうひとつ、洗面台があるのですが、どちらも造りかたは一緒で、上端部で面別れするようにデザインしたスライド・ドアです。ディテールにこだわった部分ですので、扉の動きを含めて仕上がりを気に掛けていたのですが、かなり良いものになりました。閉じているとまるで可動部も手掛けも無いような見え方をする不思議な箱です。写真はまだ養生シートが張られている状態ですが、表面は黒色のメラミン樹脂張り仕上げです。

光源色(写真3:2005年3月)
現場にて、照明の光源色の実験です。温白色(よくある蛍光灯の昼白色と電球色の中間の色、色温度=3500K、写真右)、電球色(色温度=3000K、写真左)のランプを交互に入れて雰囲気を確認。ものの色が自然にわかりやすい温白色と、雰囲気のある電球色の比較でしたが、結論として、雰囲気重視で電球色を採用することになりました。

また、この物件を扱っていただく不動産屋さんが決定しました。そのことも含め、これからは竣工後のスケジュール調整が重要になってきます。

壁紙張り(写真4:2005年3月)
塗装も終わり、壁紙張りです。ついに部屋の色調がわかるようになってきました。この色調は設計時にYさんと一緒にかなり検討したものです。選定した薄いグレー色のつやの無い「塗装風壁紙」は、張り終わるとまるで塗装したように見えますが、壁紙なので塗装よりはメンテナンスが楽なものです。一方で施工の粗が解りやすく、なかなか張るのが難しい壁紙でもあるのですが、下地を平滑に均しながら、きれいに張っていただいています。天井も同じ壁紙になっています。

洗面台(写真5:2005年3月)
洗面台ができました。上記の下足箱と同じ、不思議な納まりの引戸家具に洗面器がのったものです。「設計3」のページで書きましたように「鏡に写った状態が面白い」ことを考えて選定したものでしたが、予想通り鏡を生かした見え方となりました。照明との関係もうまくいきました。

終盤のあれこれ(写真6:2005年3月)
いよいよ終盤です。写真左の鏡は私が作ったもので、マチスの鳥の絵をプリントしたアクリル・ミラーです。とりあえず私の自宅で撮影しています。この鏡も現場に設置されることになります。どの場所になるかはお楽しみに。

現場の方は工事も概ね完了し、現在は清掃やキズ直し工事の最中です。きれいに張っていただいた壁紙も、その後の他の工事の際に傷がついたり汚れたりしてしまっています。写真右はその壁紙を直している様子。常々思うのですが、きれいな仕上げとは、手直しが良くできているということではないでしょうか。塗装屋さん、壁紙屋さん、設備屋さん、建具屋さんなどが同時に現場に入って最終調整をするなかで、私は現場をはい回りながら、細かい問題箇所を見つけてはその場で手直しを指示します。

分電盤(写真7:22005年3月)
上の鏡は、このように、分電盤ボックスの収納箱となりました。照明のラインを映しこんで、なかなか不思議な視覚効果です。


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