竹越久高のページ 本文へジャンプ
1億個の撤去のために      03.7  甲府一高東京同窓会誌寄稿

 
地球上に1億個を超える対人地雷が埋められているという。もっとあるのかも知れない。インターネットで見ると、エジプトに2,300万個、アンゴラ1,500万個、アフガニスタン1,000万個、カンボジア600万個、ベトナム350万個、他にクロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ユーゴスラビア、ウクライナ、モザンビーグ、ソマリア、スーダン、エチオピア、韓国などたくさんの国々だ。
 埋められているといっても、どの地点に埋められているのか分からない。放置されているのだ。対人地雷だから当然のことだが、誰もが立ち入るべきところ埋めてあるのだから、多くの人々が被害に遭っている。
 山梨の地から地雷撤去に貢献している人がいる。私の中学の同級生で、山梨日立建機株式会社の社長、雨宮清さんは、カンボジアに出張して、松葉杖の子供たちが大勢いるのに驚いた。みんな地雷の犠牲だ。触れれば一瞬にして脚や腕を吹き飛ばし、命をも奪う。
 地雷の撤去の作業も進められているが、どこにあるのか分からないのを手作業で見付け出し、一つ一つ除去する、まさに危険で、気の遠くなる作業だ。取り除かなければ、触れるまでその場で眠っている。
 雨宮社長心を痛め真剣に考えた。建設重機を扱うノウハウが生かせないかと。
 本業そっちのけといわないまでも、安全で効率的な地雷撤去機の開発に努めた。努めたと一言でいっては申し訳ない。会社のスタッフをあげて研究開発したようだ。高性能な探知機で看付け、地面を撹拌して破壊する重機だ。既に、カンボジア、アフガニスタン、ニカラグアで地雷撤去機が稼動しているが、さらに、高知大学と提携して性能を高める研究開発を進めている。
 雨宮社長が地雷撤去を国際支援する様子はテレビや新聞で全国報道されて、有名になってしまった。
 寂しいことだが、アメリカのアフガニスタン空爆のときに、空爆の被害と同時に、地雷被害に苦しむアフガン人民と地雷撤去の作業をするNPOの方々の働きが報道されて、地雷被害が一気に注目されるようになった。地雷撤去のNPOのメンバーがアフガン空爆の犠牲にもなった。
 地雷はばら撒くのはたやすいが、撤去するのは莫大な労力と経費を要する。今各国のNPOが地雷撤去の支援をしており、日本においてもいくつものNPOが現地で撤去作業に携わったり資金を募る活動を広げている。
 1億個を取り除かなければ安心して生活できない。人道に背く地雷の被害にみんながまず関心を寄せ、何か地雷撤去の応援ができない考えたいものだ。