prospector's works : special
国分寺Y邸 現場レポート(6)
設計・ページ執筆:山本想太郎
_
_
_
_
_
(6)竣工
竣工のはじまり(写真1:2004年5月27日)
いよいよ本日、完成引渡しです。しかしこれですぐ住めるわけではありません。少しばかり残工事もありますし、登記などの法的な手続きもあります。NTTの工事もこれからです。例のカーテンや、表札、家具の設置、竣工写真の撮影など、まだまだやることはたくさんあります。というわけでこのページでは工事以降、引越し以前のレポートをいたします。ただ今回は比較的ゆとりのあるケースであり、この部分が非常にあわただしいことも多いのが実情です。

カメ(写真2:2004年5月28日)
1階の光庭に、中華料理店からもらってきた紹興酒のカメを2つ配置。中央にデッキ照明が設置されているため、夜の光り方もきれいです。カメの周囲の砂利は現時点では普通の砂利ですが、白っぽい砂利の方が良さそうなので、ホームセンターなどに探しにいこうと考えています。また表示登記の手続きもスタートし、土地家屋調査士さんが現場調査。屋上の芝には、とにかく毎日水を撒くようにしています。階段のノンスリップや玄関鍵の交換などの一部工事はまだ残っています。また施工者に完成図面の作成を指示しました。

検査済証(2004年6月1日)
建物の行政による完了検査が完成した証明書である、検査済証を東京都の指導事務所にもらいに行きました。本来はこの検査済証を受けた後で引渡しなのですが、手続きの関係で数日ずれてしまいました。住宅金融公庫を利用している場合などは、必ず必要な書類であるためこのような遅れは許されませんが、今回は特にそのような縛りがなかったので、登記などの手続きが効率よくできるよう、前倒しで引渡しを行ったのです。

表札、NTT(写真3:2004年6月1日)
NTT、水道、ガスなどの開通作業や、家具の配達などがあるため、まずは表札を設置。とはいえ住人はいないので、時間を合わせて待機しています。二世帯住宅であるため、インターホンも複雑なシステム。玄関子機は左写真のように二台となり、表札につけた二色のシールと呼応させて、どちらを押せばよいかわかるようにしています。室内機(3台)はどちらの子機が押されたかによって鳴る親機と音色が変わるように設定。複雑な設定マニュアルと格闘しました。そして右写真はNTT工事。この建物のチャームポイントの電線が、また一本増えました。ところが建築配線側に不備があり、建物内で電話がつながらないことが判明。早速電気施工者に連絡して、明日、調査と直し予定です。

夜景(写真4:2004年6月2日)
夜景といっても、道路側は真っ暗なので、光井戸部分の夜景です。本日、カーテンも吊り終わりました。夜には建物の周囲がかなり暗くなるので、屋上からここを見下ろすと眩しいくらいです。
昨日の電話の問題も、本日、直していただき無事開通。次はインターネット(ADSL)です。

写真撮影(写真5:2004年6月4日)
前日に、竣工写真をお願いしていた淺川敏さんより電話があり、この日は最高に天気がいいから、予定を繰り上げて撮影しましょう、ということに急遽決定。写真は、裏の保育園から撮影しているところ。私もこの視点で建物を見たことはありませんでしたが、「都市に埋め込まれた」感じが面白い。他にも、次々と面白い視点で撮影を続けられるのに立ち会っていると、自分でも見えていなかった建物の特徴が浮かび上がってくるような感覚を覚えました。やはり「見るプロ」は、すごい。

竣工写真(2004年6月8日)
上記の写真のポジを拝見しに、浅川さんのスタジオへ伺いました。建物の印象が本当にうまく写し取られており、感動。

芝の張替え(写真6:2004年6月29日)
この数週間の間にオープンハウスや引越しなど、いろいろあったのですが、建物に関しては変化ありませんでした。(家の中の様子は、引越し荷物が片付いたらUPします。)台風などもありましたが大きな不具合は起こらず、安心しました。本日、竣工時点から気になっていた、屋上の芝が一部枯れていた部分の張替え工事を行いました。現場終盤の4-5月頃、天気が良すぎたわりにあまり水をやらなかったことが原因のようです。枯れた部分をパッチワークのように地道に埋めていく作業なのですが、なかなか巧みで面白い。かなりきれいになったので、しばらくはマメに水遣りを心がけます。

最終回:住むということ(写真7-9:2004年7月13日)
引越し荷物も片付き、生活も落ち着きはじめました。大命題であった騒音のシャットアウトと光井戸からの通風・採光は、申し分なく機能しています。収納に関しては写真のように気持ちよく収まっています。実際これから生活を続ければ、物の量も変化し、生活パターンも変化していくでしょう。今回の計画では、空間の骨格としての外周の閉じた壁と中央の光井戸以外は、基本的に後から改装することが可能なように設計しています。特にカーテンの間仕切や照明は、簡単に位置を動かせる「手の届く」建築要素です。各ディテールも、信頼性を重視したものとしていますので、現時点で特に不具合も無く、長く付き合っていくに足る安心感があります。あとはいろいろと工夫をしながら、時間をかけてこの空間と会話していくこととなるでしょう。建物に完成は無いとも言われますが、この「日常」の開始によって、このレポートは完了としたいと思います。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
(山本想太郎)



  
  芝も順調に生育中。そろそろ刈らないといけないかな。
1
2
3
4
5
6
7
8
9