prospector's works : special
国分寺Y邸 現場レポート(4)
設計・ページ執筆:山本想太郎
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(4)内外装1
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アルミサッシ設置(写真1:2004年3月26日)
実は最上部のコンクリート打設後、1階からサッシの取り付けを進めていました。内装工事の段取りは複雑で、いろいろな工種が同時に進んでいくのですが、まずは開口部にサッシ設置―>窓額縁設置―>断熱材(発泡ウレタン)の吹付けとなります。ここから先は大工さんの仕事が多くなります。写真は2階の中央部のサッシ。光の入り方がいい感じです。しかしこのままではサッシに傷をつけてしまいそうなので、しっかり養生するように指示しました。

支保工解体(写真2:2004年3月30日)
1階、駐車場部分に大きなキャンティレバー(持ち出し)部分があるのですが、そこにコンクリートを打設する際には下から支えておかなければなりません。2階コンクリートを打設して4週間以上経過したので、十分に強度(これを4週強度と言います)が発現したものとしてそのサポート(写真の二人の間に立っている支柱状のポール)を外しました。手前の構造設計の鈴木さんは、型枠の落下を受けているのであって、梁が落ちてくるから支えているわけではありません。

屋上躯体(写真3:2004年3月30日)
屋上の躯体の写真も掲載しておきます。このあと補修を入れて、防水します。今回は屋上緑化まであるので、防水工事を少し前倒しで行うことになりそうです。

断熱について(写真4:2004年4月2日)
内部空間に造作を始める基準として、間仕切りの下地を組み始めました。これが各仕上げ、設備配管などの基準となります。また外壁の内側が薄緑色に見えるのは、断熱材である発泡ウレタンを吹き付けたためです。この建物は「内断熱」工法です。本当は性能として外断熱にも強く魅力を感じていたのですが、内断熱とした最大の理由は、敷地ぎりぎりの建物なので外側からの仕上げ工事が不可能であることです。コンクリート躯体はそのまま外部仕上にできるのでコストも節約できます(その分内部仕上げが必要になりますが、こちらのほうが断然安い)。あと水戸の住宅(こちら)のときもそうでしたが「外側が硬く、内側が柔らかい」という外壁のイメージを、私はかなり強く持っているような気もします。貝殻の外側が岩のようで、内側が真珠色であるように。

上棟式(2004年4月5日、大安)
略式ながら上棟式を行いました。関係者のみで、お神酒、お米、塩を順に建物の四隅に撒くだけの簡単なものでした。ちなみに本格的にやる場合は神主さんを呼んで上棟札を飾ったりしますが、上棟式は職人さんの慰労の意味合いが強い式なので、このように内々にやることも多いです。また施主・設計者・施工会社の営業者が現場で一堂に会するよい機会でもあります。

ネダフォームとガラス(写真5,6:2004年4月14日)
写真5の床に敷いてあるのは「ネダフォーム」というもので、通常木製の根太である床下地のかわりに、発泡スチロールの成型板を敷き詰めるものです。断熱性能があり、施工も簡略化されるため、かなり普及している工法です。この上に床暖房パネルや仕上げ用の捨て張りを施し、その上に仕上げとなります。それらの材料は発泡スチロールに埋め込まれた木材(写真の赤く見えるライン)に留めつけられます。
写真6はガラスの入った光庭吹抜です。最大2m角を超える大判の複層ガラスは4人がかりでかなり苦労して搬入しました。よほどのことが無い限り割れないとは思いますが、将来、もし割れたりすると交換は大変でしょう。しかしそれだけの事はある、なかなか見ごたえのある空間になりました。

大工さんとユニットバス(写真7:2004年4月16日)
左側の写真は、大工さんが階段の側板(ささら)を刻んでいるところです。大工さんの工事は現場でだんだんできていく様子が見え、またそのプロセスで、納まりについて大工さんから提案などもあってなかなか楽しいものです。そのような手作りの内装に対し、右の写真は完全に工場生産のユニット・バス。水周りの作り方にはいろいろな考え方がありますが、私は、お風呂に関しては性能と価格のバランスで考えて、ユニットを評価しています。一方で今回、キッチンはステンレス製の特注品。これは使い手のニーズに応える既製品が無かったためで、あらためて後述します。
写真は2階のお風呂ですが、外壁に面していないのに窓があります。これは室内に向いたはめ殺し窓で、光庭の窓に正対して外光を感じさせるものです。2階は一人世帯となるので、このような構成が可能でした。(平面図参照)

階段下トイレ(写真8:2004年4月20日)
大工さんが刻んでいた側板に踏板と蹴込板を差し込み、くさびで締めて階段の完成。左側の写真が設置された状態です。使用木材はタモ集成材です。2階の階段下はトイレなのですが、トイレの入口扉を開けるとちょと階段が枠からはみ出ています(写真右)。もちろん扉を少し小さくして納める手もあるのですが、この方が入口は大きくできるのでこのように。

屋上緑化(写真9:2004年4月30日)
屋上緑化を施工しました。全面に芝生張りです。全体に茶色いのは芝を定着させるための目土を撒いているためです。右の写真の白い部分は芝を張る前の人工土壌です。
屋上緑化の気持ちよさや断熱効果などは魅力ですが、やはり建物の上に自然物を載せることに対する心配はあり、今回は特に防水施工には気をつかいました。また土も人工土壌システム(ガーデンマット+リサイクルロード)としているため、芝生も枯れにくく、また伸びすぎないよう制御されます。このような人工的な自然環境には違和感もありますが、屋上緑化ではあくまで屋上は屋上。畑とは違うと認識することも重要です。建物の性能を損ねては本末転倒。

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