prospector's works : special
国分寺Y邸 現場レポート(5)
設計・ページ執筆:山本想太郎
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(5)内外装2
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内装仕上げ(写真1:2004年5月07日)
内装仕上も進んでいます。写真は2階の居室ですが、壁・天井のシナ合板仕上は完了しています。床の畳だけは、最後まで入れられません。2階以外の階もどんどん作業中。いよいよ追い込みの雰囲気です。行政検査・登記の手続の準備や、表札の作成なども始めました。
ところで写真で射し込んでいる日光は、実は中央のガラスの筒で反射して入ってきている反射光です。この効果は予想通りかなり大きく、室内を明るくしています。

床暖房(写真2:2004年5月07日)
写真は3階です。床の銀色に見える部分が床暖房です。今回採用した床暖房は、ダイキンの床暖房付エアコン「ホッとくーる」です。エアコンの室外機(ヒートポンプ)で温水をつくる方式で、エアコン兼用のため室外機は一つでよく、設置コストも安い。床暖房として代表的なTES(東京ガス)よりも湯温が低いのが特徴で、今回は畳敷き仕上げのため、熱伝達効率を上げるように工夫された畳を使います。この暖房と畳の組み合わせは本邦初とも思われ、完成したら計測実験をしようと考えています。

外壁と窓(写真3:2004年5月11日)
外部足場の解体も近づき、外壁の最終チェック。補修も適切でほとんど問題ありませんでしたが、何かをぶつけたような「かけ」があったので、直すよう指示しました。また右の写真のように非常に狭い隙間に足場が立っているので、解体・搬出の際に躯体や配管を傷つけないようにも注意を促しました。
左の写真は道路に面した3階の窓。騒音と西日の観点からは窓を開けたくないのですが、3階以上の階には非常用代替進入口(火災時に消防隊が建物に入るための窓)が建築基準法で義務付けられています。そしてフレキシブルボード(石綿セメント板)の覆いを設けたのですが、これは機能上、外から開けられるようになっています。

門扉下地(写真4:2004年5月15日)
門扉、ようは車庫の扉ですが、その下地鉄骨です。この表面に、上の写真の窓と同じようにフレキシブルボードが張られます。現場への唯一の出入口であるこの部分が付くということは、いよいよ大詰めが近いということです。建物の中は大賑わいで、十数人の職人さんと、多くの資材が所狭しと動き回っています。
今でもいろいろ細かい問題は発生するのですが、この段階になるとその場で即決するようなスピードが求められ、現場と設計監理者の知識と集中力が試されます。緊張感あります。

キッチン・階段・畳(写真5,6:2004年5月21日)
いよいよ完成も近づき、いろいろな部分が仕上がってきました。キッチン(写真5左)は、前にも書きましたがステンレス製の特注品。特注とした理由はいろいろあるのですが、レンジをビルトイン式ではなく据え置き式にしたかった点が大きな要因です。据え置き式は業務用まで含めたいろいろな選択肢があって魅力的なのですが、現在のシステムキッチンはほとんどがビルトイン型で、カウンタートップが一体の形だと火口の高さも高く、あまりよいとは思えません。
階段スペース(写真5右)は、住宅にしてはやや広めの幅で93cmあります。何しろ、外に面した窓がほとんどない建物なので、家具などの搬入経路はここしかありません。実用的にはそんな理由なのですが、やはりゆったりした階段は気持ちよいものです。
居室の内装(写真6)もほとんど完成し、畳も入りました。床暖房対応の特殊なものです。居室の照明は、使い方の変化に対応できるよう全てライティング・レール・システムです。また収納部分には扉が無く、カーテンで仕切る計画ですので、天井には、照明のレールとカーテンのレールが錯綜しています。
写真は2階なのですが、光庭の吹抜部分にエキスパンド・メタルのテラスを張りました。光は透けて1階に注ぎますが、2階では室内の床面が連続して広々とした印象になりました。

カーテン(写真7:2004年5月22日)
カーテンの吊下げ確認。写真左は収納部、右が中央吹抜部にカーテンを吊ってみたところです。色が違って見えますが、同じ生成色です。中央の吹抜で上下の目線を制御するために閉じる場合を考え、光は通しつつ姿は見えないぎりぎりの生地を選びました。
収納と部屋を隔てるカーテンは、すべて閉じると部屋の全周が包まれるようになるのですが、どの部分を閉じるかは、住みながら変化させていくものだと考えています。

終盤のあれこれ(写真8:2004年5月22-27日)
写真8は3階の吹抜窓。吹抜スペースが大きいため、実質的には2階より3階のほうが床面積は小さいのですが、何故か広く感じます。光などの影響によるものだと思いますが、予想外の印象でした。
現場は検査関係の連続。設計検査・設備検査・施主検査・行政検査と毎日のように現場を見て周り、手直し工事も同時進行です。以下、設計検査での主な指摘。目で見えるものは今まで随時直していたので、ほとんど設備などの問題です。
・照明のスイッチと系統の間違い。
・換気ファンの動作不良。
・玄関のカギを共通キーにすることを忘れていたため修正。
・インターホンのカメラの角度を、顔が映るように修正。
・屋上緑化の芝生が今ひとつ根付きが悪いので、確認指示。
・キズ、汚れ関係の直し。

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