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第71回植村直己・帯広野外学校  サバイバルキャンプの記録
参加者の感想文は、こちら
 第71回野外学校『サバイバルキャンプ』を8月6日〜12日に開催。期間中は天候にも恵まれ、各地から集った参加者8名は、北海道・十勝の大自然の中で多くの困難を乗り越え、すべてのプログラムに挑戦し無事に全日程を修了しました。
◆参加者 
宇久村三世(札幌市・小6)、山中 夕奈(小樽市・小5)、古瀬 柾己(北見市・中2)
井上 一樹(帯広市・中1)、中島  啓(名古屋市・中1)、河合  滉(名古屋市・中1)
林  志門(旭川市・小6)、上村 太志(江別市・高3)

◆スタッフ
小貫耕喜(校長)、山本義明、矢満田啓明、諫山邦子、北沢 実、阿部侑太、中島 明
梶 美恵子、増田 泉、松本純子、近藤由佳、佐藤俊明、幌村みのり、江川美幸

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1日目(8月6日) 天気:晴
 
13時、ログハウス前で開校式・オリエンテーション。参加者の自己紹介・一週間の決意表明、指導員の紹介などが行なわれたのち、ログハウスへ移動して装備品のチェックなどが行なわれた。いよいよ6泊7日の長期プログラムの開始だ!
 最初のプログラムは、基地に滞在する2泊を過ごす「小屋作り」。これは木を切り出して柱にし、屋根にブルーシートをかけて作るもので、各自が1棟ずつ製作し個室とする。のこぎりを手に密生したカラマツ・ハンノキ林から柱や梁に適当なサイズの木を切り出し、これをロープで固定して骨組みとして、あとはブルーシートを覆いとして作る。およそ2時間で作業は完了、なんとか雨・風をしのげるものが出来上がった。
 その後は夕食の準備。メニューは、飯ごうにコメ、にんじん、ブロッコリー、玉ねぎ、鶏肉などを入れ、さらにカレーパウダーを加えて炊いた「カレー炊き込みご飯」とトマトスープ。しかし、炊事はカマドの焚き火で行なうため、最初の作業はマキ割り。十分なマキが出来上がってからカマドを作って食材の準備をし、火にかけてやっと完成する。この日は失敗なし。
 夜はログハウスで植村直己さんの冒険の足跡などをビデオと校長の解説で学習。その後「ごえもん風呂」で汗を洗い流し、反省会を済ませたのち、自分達で作っ個室で就寝。1日目のプログラムが終了した。



開校式
小屋を作る
完成品?

カマドで焚き火

夕食を食べる
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2日目(8月7日) 天気:晴
 
午前6時起床!4時頃には外が明るくなってくるため、起床時間を待ちきれずに起き出すメンバーもチラホラ…
  6時30分からログハウス前で体操と朝のつどい。この日は日高の山並みがきれいに見えたので、9日に登山予定の十勝幌尻岳の姿を見に散歩。

朝の散歩

十勝幌尻を望む

朝の食材

朝食を作る

朝食を作る

 朝食のメニューはパン、野菜炒め、野菜ジュース。コンロを使ってあっという間に完成。
 この日のプログラムは「野外活動基礎学習」。学校林の間伐とロープワークなどを、昼食(ラーメン)を挟んで行なった。「間伐」は野外学校敷地にある森林の整備とマキの材料作りを兼ねてのもの。樹齢20〜30年程度のカラマツやハンノキをノコギリを使って切り倒し、これの枝を払って運び出し、輪切りにしてマキの材料とする。この日も気温は30℃前後の暑さで、皆んな結構マイッタ・・・。ロープワークはタワーの下で、基本になる「もやいむすび」をはじめ、「とっくり」「かぶと」などの結び方を学習した。

学校林の間伐

切った木を運ぶ

切り倒す

枝払い

ロープワーク

 夕食のメニューは、ベーコンリゾット、牛肉とキノコのホウ葉蒸し焼き。リゾットはコッフェルにいつもより多めの水を入れ、これにコンソメ、ベーコン、ミックスベジタブルを加えて炊いて出来上がり。蒸し焼きは牛肉の上にスライスしたシイタケをのせ、これをホウの葉で包み、さらに濡れ新聞でくるんだものをカマドの下に置き、これに薄く土をかけてこの上で火をたいてしばらく待つと出来上がり。黒コゲになったものが一つあったようだが・・・。
 夜はログハウスで学習会。いよいよ翌日から前進基地へ移動するが、ここでの生活の注意(熊が出たら・正しい携帯トイレの使い方etc)を身につけた。その後はごえもん風呂に入り、この日もマイ・ホーム?の小屋で就寝。

出来上がった夕食

男子勢ぞろい


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3日目(8月8日) 天気:晴  前進基地へ移動!  
 この日も6時に起床。朝のつどい・体操を済ませ、朝食作り。この日のメニューは「茹で上げスパゲティー&野菜サラダ」。スパゲティーは茹で上げた麺にお茶漬けのりをあえて出来上がり。美味しかった!
 この日は前進基地へ転戦するため、小屋を撤収したり、食器類を念入りに洗ったり、装備をチェックしたりと大忙し。10時半には移動準備をすっかり終え、自動車に分乗して移動開始!
 前進基地は、野外学校から日高山脈の中へ15`の山の中。今年の移動は約10キロを自動車、残りを徒歩とした。この日も30℃近い猛暑だったこともあり、歩き始めて1時間ほどで、川の中での水遊びとなった。川は「戸蔦別川」、水温は10℃前後と非常に冷たい。
 その後、1時間ほどかけて前進基地まで徒歩移動、到着は15時頃だったかな…。
 ちなみに前進基地は「電気・水道」はもちろん無し。携帯は圏外、トイレはテントの中にポータブルトイレを設置したもの。もう、逃げられない!
 到着後は、ただちにテントの設営、夕食作りとあわただしく進んだ。夕食メニューは「ぶた丼&みそ汁」。ごはんを飯ごうで炊き、この上にタレをからめて焼いた豚肉をのせれば出来上がり。なんとか暗くなる前にあとかたづけも終わり、焚き火を囲んで反省会ののち、翌日の登山に備えて早めに寝た。

朝食を食べる

前進基地へ移動

休憩中

川流れ

夕食のぶた丼
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4日目(8月9日) 天気:晴  十勝幌尻岳登山  
 この日は登山のため5時に起床。あわただしく朝のつどい、朝食(レトルトご飯+レトルト丼=牛丼or中華丼、ミニカップめん、バナナ)を済ませ、登山の準備にかかる。準備を整えて出発したのは6時30分。登山の編成は参加者8名にスタッフ8名。
 野外学校の夏の登山は、十勝幌尻岳と決めている。標高は1846m、十勝平野はもとより、釧路方面からも一番大きく見える山であるのが一番の理由。しかし、最近はその険しさゆえか登山者があまり多くなく、登山道も荒れはじめた。とにかくキツイ山で、「とっても急な登り」と、「急な登り」が交互に現れる。ここを5時間程度をかけて登り、下りも4時間ほどかかる。登山口(前進基地)との高度差は1200mほど。ちなみに野外学校の登山は「ひたすら頂上を目指す」のではなく、体調・体力に合わせ「どうしても無理だ」と自分が判断したときには、そこで撤退するように指導している。周りの人に迷惑をかけず、自力で無事に下山できれば、それで100点満点である。
 さて、出発した一行は沢沿いのルートや旧林道を90分ほどかけて最終水場に到着し、大休止。ここからは尾根に取り付いて急な登りが稜線まで続くもっとも辛いルート。ここを登り始めてまもなく、参加者1名が地バチに刺されて(応急処置のおかげで大事には至らず)スタッフが付き添って下山。さらに1時間ほど進んだところで、もう1名が体力の限界を感じてギブアップ(スタッフの付き添いで無事に下山)。残りの6名+スタッフで頂上を目指し、正午ころ登頂達成! 頂上からの視界は雲がかかっていたため絶景とはいかなかったが、時おり見える日高山脈の主体部、ホシガラスの群舞、ナキウサギの鳴き声などを楽しみ、午後1時に下山開始。急な斜面をなんとか下り、午後4時50分、全員前進基地へ帰り着き、スイカを食べてほっと一息ついた。「いや〜お疲れさんでした」


登山出発前

最終水場

急な登り

頂上目前(一樹)

柾己くん

啓くん

門くん

三世さん

夕奈さんとスタッフ

十勝幌尻頂上

 夕食の「煮込みウドン」を食べ、翌日の朝食のパンを小麦粉から練って一次発酵をさせる下準備を終えたのち、疲れた体を癒すように、この日は早々とテントへもぐりこんだ。
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5日目(8月10日) 天気:晴  サバイバル生活が始まる  
 6時起床。朝の体操ではメンバーよりもスタッフのほうが明らかに動きがぎこちない・・・
 この日の朝食は、前夜に仕込んでおいたパンを焼いて食べる。これは木の枝にパンを巻き付け、焚き火でじっくり焼き上げるもので、カマボコを連想させる風景である。
 パンで空腹を満たしたのち、いよいよサバイバル生活が始まる。野外学校のサバイバル生活の基本は「食料は自分たちの手で調達すること」。与えられる食料は米一人に1/4合、あとは調味料だけ。魚を釣るかフキを調理するかでほぼ24時間を過ごさなければならない。釣りは針と糸、おもりが支給されるだけで、ヤナギの木を竿にし、えさは川虫などを捕まえる。目指す獲物はオショロコマ・・・
 最初に竿に釣り糸、ハリスをしばる方法のレクチャーがあり、自分の釣り道具をまず作る。その後、わらじをはいて釣りに出発するのだが、てこずること1時間半、出発できたのは昼になってからであった。
 釣りは男子班・女子班に分かれ、それぞれにスタッフが2〜3名付き添うという編成、しかしスタッフが釣った魚はスタッフが食べるという「鉄の掟」があるため、スタッフも夢中になってしまう。
 午後4時、満足そうな表情や暗い表情で前進基地へ全員が帰還。釣果は多い者で4匹、少ない者は0、魚体は例年よりやや小ぶりであったが、まずまずの成果というところか。

朝食のパンを焼く

釣りのようす

釣りのようす

カラアゲ

星空観察

 釣った魚は、頭から尻尾まで美味しく食べるために、ほとんどがカラアゲにされ、少しばかりの塩焼きが焚き火の周りに並んだ。あとは河原に生えているフキの調理。これは茹でて皮をむいたのち、油いためにして美味しくいただいた。いずれも量的には不満は残ったようであるが、自分で調達した食料で自分たちの食事をまかなうことができた。
 暗くなり始めた頃から空には星が瞬きはじめ、矢満田先生が中心になって星座観察会が行なわれ、夏の星座、人工衛星、流れ星などをじっくりと見ることができた。

 

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6日目(8月11日) 天気:今日も晴  サバイバル生活が続く  
 この日は昨日の釣りのリベンジをするべく、起きて準備ができ次第スタッフをたたき起こして釣りに行くこととなっていた。女子班は4時50分には起床し、5時15分頃にはスタッフ2名と出かけていった。しかし男子班が全員そろったのは女子が出発した1時間後・・・
 前日のミスを取り返そうとの努力の成果か、女子は2人で10匹の釣果。出かけるときの曇がちの表情も帰ってきたときにはさわやかに!男子班も一部は釣果に恵まれなかったが、全体ではなんとか空腹を満たすだけの魚を手に前進基地へ戻っ来ることができた。
 10時頃から調理に取り掛かり、空腹で動けなるメンバーもなく無事にサバイバル生活を終えることができた。
 その後、前進基地の撤収作業を行い、午後1時頃に下山開始、途中で川遊びをしたのち、自動車に分乗して午後3時に野外学校基地に無事帰還した。
 到着後はテント設営、マキ割り(炊事と風呂用)を行い、ごえもん風呂で汗と垢を流し、夕食のジンギスカン&焼きソバパーティーに望んだ。
 暗くなってからは巨大なアジャ・カナック(キャンプファイヤー)に点火、この周りでロープワークの復習を兼ねた豪華景品付のゲームで楽しみ、天体望遠鏡での星空観察などを行ない、午後10時には全員テントにもぐりこんで、あとは爆睡・・・

ごえもん風呂

乾杯!

ジンギスカン

アジャカナック

星を見る

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7日目(8月11日) 天気:またまた晴  最終日・・・  
 6時に起床、朝のつどい・体操ののち、カマドを使って飯ごうメシと焼き魚、のり、納豆、みそ汁の「朝定食」を作って食べた。
 朝食後は、各班に貸し出されていたコッフェル、フライパン、ガスコンロ、飯ごうなどのクリーニングとメンテナンス作業、さらにテントを乾したりたたんだりの「大あとかたづけ作戦」が行なわれた。
 その後ログハウスで一週間を振り返る感想文を書き、昼食ののち閉校式を迎えた。
 閉校式では各自に校長から修了証書が手渡され、校長あいさつ、各自の感想発表、記念撮影が行なわれ、6泊7日の辛く・苦しき・楽しかったサバイバルキャンプの幕を閉じた。

テントを乾す

鍋類を洗う

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閉校式

最後の記念写真

 
参加者の皆さん、お疲れさまでした。また、サバイバルキャンプへの参加を許していただいた父兄の皆様、ありがとうございました。行事実施に当たりいろいろとお世話いただいた各方面の方々にも厚くお礼申し上げます。
  『みんな〜!またおいでョ!』