今日の北海道経済は、バブル崩壊後の長期不況の下で、最悪の状況に陥っています。
少子・高齢化が急速に進む中、経済・社会の厳しい変革の波は北海道に様々な構造改革を要求しています。ここで、北海道の持つ広大な自然環境を最大限に活用した、北海道独自の産業形態を発展させなくてはなりません。
それは、食糧の生産であったり、また観光や保養の場を提供することであったり、他様々な「北海道の個性」を生かした産業です。
- フロンティア精神あふれる人材育成・育成基地
- 安全で良質な食糧生産供給基地
- 創造性あふれる産業展開基地
- フロンティアとしての地球環境保全基地
- 文化の香り高い、豊かでゆとりある多様なライフスタイル基地
- 北方圏諸国・東アジアとの国際交流基地
私が今最も力を入れて取り組んでいるのが新千歳空港のハブ化です。ご承知のように首都圏においては、もう空港能力に余裕はなく、手づまりの状態になっています。国土交通省では、規制緩和によって民営化を図るという公設民営化案が検討されています。しかし、その対象は、羽田・成田・中部などが考えられているようですが、新千歳は入っていません。
私は、新千歳も当然この中に含め、民間投資を呼び込むべきだと考えています。
なぜならば
- 地理的に見ても、東京から800kmも欧米に近く、たとえば私たちが成田経由で欧米に行く場合、飛行機は約1時間後に北海道近くを通ります。私たちは全くムダな時間と費用をかけていることになります。
- 私たちだけではありません。北日本や東北の皆さん、そして首都圏の人たちにとっても、夜遅く羽田を発ち、新千歳で乗り換えていく方が極めて便利になるのです。
- さらに、新千歳空港の国際ハブ化は、北海道の経済に大きな波及効果をもたらすことは明らかです。
今や「大航空時代化」と言われる中で、限りない可能性を秘める新千歳空港の国際ハブ空港化は私たちにとって夢が広がるプランです。
21世紀北海道の発展のために、ぜひ、その実現を目指したいと思っています。
急速に進む高齢社会対策は、少子社会対策とともに、21世紀におけるわが国・あるいは北海道にとって最重要課題の一つであります。
わが国の総人口に占める65歳以上の高齢者人口比率は、2000年の国税調査で5.7人に1人でありましたが、2025年には3.5人に1人、2050年には3人に1人以上になると推定されています。
しかも高齢化水準は 全国平均に比べ北海道が高くなっており、さらに深刻です。
世界トップクラスの高齢社会に、私たちは今、まぎれもなく直面しているわけです。
こうした超高齢社会に適した社会と経済のあり方を目指して、年金・医療・介護・雇用・社会参加・住環境など多様な施策の一層の充実が求められていることは言うまでもありません。
昨年4月、スペインで開催された「第2回国連高齢化世界会議」において、「高齢化に関する国際行動計画2002」が採択されましたが、その中で、「すべての高齢者は安全と尊厳のもとで歳をとり、かつ完全な権利を有する市民として経済的・政治的・社会的活動に全面的に参加し続けるべきである」とうたっています。
この宣言を強く胸に刻みながら、私はすべての高齢者が生きがいを持って健康で長生きできる社会を実現したいと願い、これからも微力ながら全力を尽くしてまいりたいと考えています。
かつて経験したことのない超高齢社会への対策は、表面化した問題への単なる対症療法ではなく、思い切った発想の転換による革命的改革が必要です。
経済、社会、教育、文化の分野を網羅した保健・医療・福祉の新しいシステムの構築や、これを支える人材の育成が大切であります。
もう一つ、ぜひ強調しておきたいのは、人間の加齢・高齢に対する人々の肯定的な考え方の啓蒙、高齢者が社会に対して重要な貢献を果たしているという世論認識の醸成についてであります。
単に施設の充実やシステムの構築ができたとしても、これらを支える人間はもとより、社会を形成する人々すべてが高齢者をいたわり尊敬し、共に役割や喜びを共有している仲間として日本と北海道の構成員であることを認め合わなければ、「仏作って魂入れず」ということになりかねません。
つまり、高齢社会問題を社会保障や福祉、経済問題にとどめるのではなく、教育や社会・国家観の課題にまで広げて、日本人の文化・伝統にもっと深いまなざしを向けた論議をすることの必要性を私は痛感しています。
最近、「暮らしに安心、家族の笑顔」というキャッチフレーズを使わせていただいておりますが、これには上記のような”高齢社会に対する私の思い”も込めたものであります。
だれもが逃れ得ない「いつか来る道」に、いつも光が当たるよう頑張ります。
私たちのふるさと北海道は、今、確かにピンチと言っても過言ではない極めて厳しい社会経済情勢です。しかし、私たちは知恵を出し合いプラス思考で、この苦境をチャンスに変えていかなければなりません。今日の礎を築いてくれた先人の熱い思いを今一度私たち自身のものとし、勇気をもって新しい北海道をつくっていくべき時だと思います。
私は、その中心にある哲学の一つは「道州制」だと考えています。高橋はるみ知事は、「地域主権で暮らしを変える、日本を変える」と語り、21世紀の新しい社会モデルとしての道州制実現に並々ならぬ情熱を傾けています。北海道が提案している道州制の考え方というのは、子育て、福祉、農業など9つの分野で権限移譲や全国一律の基準緩和によって北海道独自の政策を推進したいということと、行政の円滑な推進を図るため組織の見直しを行うというものです。
小泉総理は全国の先駆けとして大いに期待しています。それに加えて、今や北海道の政治力も一段とパワーアップされてきており、心強い限りです。こうした時代背景を踏まえ、今まで言われ続けてきて“官依存”から脱皮し、道民による道民のための豊かな北海道づくりを、みんなで築いていこうではありませんか。
私は、北海道の景気回復をはじめ、福祉、環境、教育などを中心に取り組んでおりますが、こうした課題を前進させるためにも、道州制をぜひ実現させるべきだと考えております。多くの困難があることは承知しておりますが、1869(明治2)年、北海道開拓使が置かれて以来、北海道の歴史を営々として築いてきた先人たちのフロンティアスピリットに改めて学びつつ、北海道の魅力、可能性、潜在力を最大限に引き出し、夢のある大地・北海道を目指し、皆様とともに歩んでいきたいと決意を新たにしております。
皆様のご理解とご支援を心からお願い申し上げます。