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リンネ Rinne
自由を得るために全てを捨てたおじいちゃんは、
捨てられていた幼いリンネを宝物のように大切に育てた。
寝る所がない時も、食べる物がない時も、
リンネに苦労はさせなかった。
おじいちゃんの生きがいはリンネと、
若草色のノートに書き綴った俳句だった。
俳句はおじいちゃんにとって、明るく生きるための応援歌だった。
おじいちゃんが良い声で口ずさむ俳句は、いつしかリンネの子守唄になった。
雪の降る寒い日、
おじいちゃんはリンネをお腹に包んだまま冷たくなっていた。
リンネが目を覚ました時、おじいちゃんの姿はどこにもなく、
路上におじいちゃんのノートとエンピツだけが転がっていた。
リンネは爪がすりきれるまでおじいちゃんを探した。
くじけそうになったらノートを開いて、おじいちゃんの俳句を大声で詠んだ。
おじいちゃんの応援歌にはげまされ、リンネの旅は続いた。
ある日リンネは小さな右手にエンピツを握ると
白いページに自分の俳句を書いた。
たくさんのたくさんの毎日が過ぎ、白いページが全部埋まった時、
リンネは写真館で写真を撮ってもらった。
誇らしげに今の姿を撮ってもらった。
穏やかな春の陽射しの中、幸せそうに笑うリンネがいた。
野原の真ん中で永遠の眠りに着いたリンネがいた。
おじいちゃんとふたりで楽しそうに歌会をしているリンネが空にいた。
穏やかな
