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ピーちゃんとルリ父ちゃん

母の温もりを知るひまもなく捨てられていた幼いピーちゃんは、
温もりを求めてピ^−ピー泣いた。
温もりを求めてさまよい歩いた。
何度か抱き上げられ何度かおろされ、
最後に抱き上げてくれた手は大きくて暖かだった。

たどり着いた家には、堂々とした雄猫のルリ君が居た。
小さなピーちゃんは大きなルリ君の後をついてまわった。
ルリ君も「『うるさいチビ』と言いながら、
お腹にピッタリくっついて眠るピーちゃんをまぶしそうにながめていた。

ルリ君はピーちゃんの父ちゃんになった。
ルリ君はピーちゃんに挨拶から始まり、
ご飯の食べ方、散歩の仕方、男の子の生き方まで事細かに教えた。

夜はピーちゃんが寝つくまで、
ルリ君がこの家にやって来るまでの冒険談を話して聞かせた。
そしてきまって最後にこう言った。
『今は此処に落ち着いてはいるが、あきたらまた冒険の旅に出るのさ』と、

少し大きくなったピーちゃんは、
りりしくたくましい男の子に成長していた。
ルり父ちゃんは自立するピーちゃんの背中を、
チョッピリ寂しそうだが満足げに見ていた。

ある日いつになくおめかしをしたルリ父ちゃんは、
遠出をするピーちゃんを引きとめ写真館に連れて行った。
ふたりで写真を撮った二日後、
ルリ父ちゃんは事故で亡くなった。

ピーちゃんは泣かなかった。
泣きじゃくる家族をなぐさめ、
家に明るさが戻った頃、決心したピーちゃんは長い旅に出た。

毎晩話してくれた
ルリ父ちゃんの冒険話を思い出しながら
長い長い冒険の旅に出た。

いつか誰かに話すため、
長い長い冒険の旅に出た。



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