モモタ Momota

 モモタは、きげんの良い男の子だった。
 花を愛し、風を愛し、蝶々と遊び
いつも生きている事を楽しんだ。

 大きくなって捨てられても
雲を眺めて受け入れた。

 雨に打たれても、寒さに震えても
モモタはきげん良く生きていた。

 きげんの良いモモタはやがて
きげんの良い家族に出会い
流れのままにその家で
きげんの良い日々をすごした。
 年をとって死期を悟って
モモタは最後に写真を撮った。
 『これも自然の流れさ…』と、
最後に飛び切りきげんの良い写真を撮った。

 独りで土に帰ろう。と、
写真を胸ポケットに入れ、家を出て歩いていると
きげんの良い家族が大声で呼んだ。
 豆粒みたいなモモタの背中に
いつもは穏やかな家族が必死で叫んだ。
『モモター!うちで死んだらいいでしょー!』
 
 モモタの心は生まれて初めて熱くなって
なぜだかわからない自然に反する熱さで
でも、なぜだかやっと
心の底からきげん良くなれたような気がして
ゆっくりと家に向かって歩き出した。
 
飛び切りきげんの良い顔で
家に向かって歩き出した。

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