55・フィンセント切られた四本のひまわり種を蒔く人夜のカフェテラスはね橋

はね橋

パラソルをさした婦人とはね橋 ラングロアのはね橋

昨年、ゴッホのはね橋を、2作品観ることができました。

 

 田舎の人間て、悲しいものですね!尾道市立美術館に、『パラソルをさした婦人とはね橋』が来た時、『ゴッホのはね橋が来た!』と町中が、喜びました。よく行く、喫茶店でも、すごく話題になってました。私も時間を作って、2回ほど行きました。


 はね橋で有名なのは、『ラングロアのはね橋』の方で、一般に、ゴッゴのはね橋、というとこちらの方を指します。1888年3月に描かれたもので、大きさは54×65cmで、クレラー・ミュラー美術館にあります。多分ゴッホは、運河の堤防に立って、そこから見える風景を描いています。はね橋の上には、馬車が描かれ、渡っています。手前では、洗濯?をしている人でしょうか、忙しそうな人たちが7〜8人描かれています。湖面の描写が見事なのと、葦とかの水辺の雰囲気を捕らえています。この作品を観た時は、優しさが伝わる気がしました。


 一方、題材は同じでも、『パラソルをさした婦人とはね橋』は、少し離れたところから描いています。これは、1888年5月に描かれたもので、大きさは49.5×64cmで、ヴァルラフ=リヒャルツ美術館にあります。橋の上のパラソルを持った婦人は、影として描かれています。二本のポプラ(糸杉ではない)?がアクセントになり、湖面にも、その影があるみたいです。向かって右端の赤い屋根の家に橋守が住んでいたらしいです。この橋を、橋守が『ポン・ド・ラングロワ』と呼んでいたらしいです。尾道市立美術館で、この作品を観た時は、とても嬉しかったです。何かドキドキしますし、感動しました。二本の木の左の雲の描き方が、少し間抜けみたいで、ゴッホらしいです。

 はね橋は、ゴッホが、2月21日にアルルに到着して、最初のころに、題材にしたものです。1888年2月〜1889年5月まで、滞在したあいだに、200点を超える絵画と、100点以上の素描を制作しました。そのきっかけになった一連の作品がこれです。ゴッホは、『ラングロアのはね橋』のことをテオ宛ての手紙の中で、記載しています。一連のはね橋の作品を受け取った後に、その返事としてのテオからゴッホ宛の手紙の中で、テオは、ゴッホの絵の今までの絵とのアルルでの絵の一番の違いを、その明るくなった色彩であることを告げています。アルルで、独特の明るい色彩が開花したのでした。

一応、クレラー・ミュラー美術館の作品について終えます。
でも、また気になった作品について、コメントしたいと思います。
次は、ロンドン・ナショナル・ギャラリーの作品です。

(2004年6月6日作成)