『終焉に捧げる星』
シーゲル&パトリック×クルーゼ
小説 紫水様
「黄道同盟」(パトリック・ザラの嫉妬)
C.E.50
シーゲル・クラインとパトリック・ザラは、プラント内での自治権、貿易自主権の獲得を訴え、政治結社『黄道連盟』を結成した。
C.E.61
パトリック・ザラは、反コーディネーターの組織によるテロに出会うが、一命を取り留める。
危機感を覚えたザラは月面都市『コペルニクス』に、身分を隠してアスランを留学させる。
そのテロは、車に車をぶつけて爆発させる自爆テロで、車には、シーゲルと、パトリックが乗っていた。その二人を助けたのが、警察病院の救急室に勤務していた研修医のラウ・ル・クルーゼであった。
その縁で、パトリックは、クルーゼ医師を担当医に決め、更に退院時には金銭的援助まで申し出た。
クルーゼは、プラント評議会議員であることを前面に出すパトリックが、プラントの権力を握る者に為る事に掛け、自分の望みのために身を委ねる事を受け入れた。
パトリックはシーゲルと作り上げた政治結社『黄道連盟』にも参加してくれることを喜び、自らが連れて回った。
クルーゼは、この『黄道連盟』の構成員の新しい知識技術を貪欲に吸収し、プラントと地球理事国達との、政治と力のバランスを密かに見詰めていた。
C.E.62
今期はパトリック・ザラの地元のディセンベル市の会合のため、クルーゼは、定時に救急室を出て、迎えに来たパトリックのエレカに同乗して出席するのが普通だった。
パトリックは、クルーゼ一人で出席することを嫌がり、又、いろいろな案件で討論していても、自分の元から許可なく他の部屋を覗くことすら禁じた。
クルーゼも、まだ見学中の身で、正規の同盟員ではないので、おとなしくパトリックの陰に隠れていた。
今夜の会合は、クルーゼが休暇の夜で、パトリックの屋敷から直接やって来た。
今後の日程を詰めるためにパトリックは呼ばれて行き、その後ろを付いて行くつもりのクルーゼに、シーゲルが声を掛けた。
クルーゼもこの二人の仲を知っていたので、許可を取らずに、シーゲルの政策検討室に入り込み時間を忘れてしまっていた。
「クルーゼ!クルーゼ!明日は定時出勤だろう?送るから!」
「クルーゼ君、パトリックがお呼びだ、あの声では相当いらついているな、続きは今度にしよう。
おやすみ。」
「ありがとうございました、でも、今度はシーゲル様のプラントでの会合とお聞きしていますが、ちょっと無理ですね。勤務の後でアプリリウス市までは・・・
此方で行われるときにいらっしゃいましたらお話をお聞かせください。おやすみなさい。」
と、微笑んで席を立った。
スクリーングラスをしているので口元しか分からないが、優しく答えられるとつい微笑みを返す気になる声だった。
金色の肩まで伸ばした髪を軽く揺らし周りの人々にしなやかに、優雅に会釈をして、部屋を後にした。
後ろで、シーゲルに、デートの約束はしたか?振られたか?などと口々に言う声が聞こえていた。
ドアを開けた所の廊下では難しい顔をした男が立っていた。
***
無言で前を歩く男。パトリック・ザラ。40歳に手が届くかというぐらいの歳ながら、シーゲルと共にこのプラントの最高評議会の評議員である。
背が高く、姿勢の良い細身のそれでも弱々しさはなく、若いながらも威厳のある端正な、いわゆる貴族的容貌を持っている。生まれながらの支配者的な雰囲気を持っている男だった。
そして、今夜は二人が主宰する政治結社の『黄道連盟』の会合日であった。
クルーゼは、シーゲルとパトリックが自爆テロに遭ったとき研修医でありながら担当医になって以来の付き合いだった。
『黄道連盟』には、パトリックが連れて来るようになり、人々は主催者二人の命の恩人として暖かく迎え入れてくれた。
相変らず、目元を隠すスクリーングラスと、手袋については違和感を持たせはしたが、命の恩人で、主治医だと紹介されると、何か事情があるのだろうとすんなりと認められた。
それ以来、パトリックが会合に参加する時は必ず連れていた。そして、送り迎えを自らがしていた。シーゲルには、姫君にぞっこんか?と、冷かされるほどだった。
「何かあっては申し訳ないからな。連盟の若手にも眼を光らせておかないとな。」
「分かったよ、気を付けよう、若手の女性陣にもな?結構目を付けて、言い寄り掛けているのもいるしな?
パトリック、お前も送り狼にはなるなよ?」
「シーゲル、下種な物言いはもう止めろ、若くはないんだぞ俺達も、妬いているのか?
シーゲル、先に結婚をしたのはお前だったな、約束も反故にして...」
「ああ、分かった、分かった!それ以上今更なことを言うな!冗談の通じない男になったな、面白くないぞ?」
「お前のように優しいだけではこれから理事国側にも、プラント側にも通用しないからな...」
クルーゼのいないところで交わされたある日の会話だった。
***
駐車場で黙って運転席に座ったパトリックの隣にいつものようにクルーゼが座る.
「どうかなさいましたか?お疲れですか?ご気分でも?
早くお屋敷に戻られるのがよろしいでしょう。」
パトリックは声を掛けられても不機嫌な顔隠すこともなく、口を閉ざしたままハンドルを握っていた。
エレカは指示通りに発進をし道を選んだ。が、暫くしてクルーゼは行き先が違うことに気が付く。
「どこへ?」
「逆戻りだ、もう一晩泊まって行け。聞きたいことが出来た。」
「明日は定時の出勤だと・・・」
返事も途中にパトリックの片手が伸び、クルーゼの頭が捕まえられ引き寄せられる。
噛み付かれるように口付けられる。
自動運転とはいえ、危険を冒しての行為に、クルーゼは、パトリックの狂気の芽を感じた。
なされるままに大人しく屋敷に着くのを待った。
車内から連絡をしていたので、執事に驚かれることなく屋敷の本館から、離れへパトリックの後を付いて行った。
執事には、何故この屋敷に連れて来られるのか理由は知られいた。
あの、アスランたちが月に旅立った夜に行われた、約束の・・・
あの夜から、クルーゼは恥ずかしくて、情けなくて、目も合せられなかったのだ。
いつも変わらず、丁寧に応対してくれる執事に、それでも声を出して挨拶をすることすら出来なかった。目を伏せ、会釈するのが精一杯だった。
彼には、パトリックに散々弄ばれた後の始末や、洋服のクリーニング、食事の用意、家や勤務先までの送迎までしてもらうことも多々有り、申し訳ないとは思うのだが・・・
しかし、気まずさを感じることの無いように気配りをする人物で、クルーゼは救われていた。
もう夜も更け、日付も変わろうかという頃の来客にも、いつものように淡々とご主人の世話をしているといった様子だ。
クルーゼは離れの先程出て来たゲストルームに引っ張り込まれると同時に、そのままベッドまで引き摺られ放り出された。抗議の声を上げる間もなく、馬乗りに押さえ込まれた。
「クルーゼ、シーゲルと何を話していた。うん?
私の元から了解もなく離れるなと言って置いただろう?何を話していた?」
「ううっ・・・うんん・・・」
胸の上に馬乗りになっているハ゜トリックは、自分の息子をズボンから性急に引っ張り出すと、クルーゼの頬を両側から強く押し口を開かせ、半立ち状態の物を押し込んだ。
スクリーングラスを剥ぎ取り床に捨てた。頭を両手で押さえつけ腰を動かした。
二人とも衣服はそれ以上乱れる事無く、ただ、ベッドの軋みと揺れ、クルーゼのくぐもった息遣い、パトリックの荒い呼吸が部屋に満ちて来た。
「クルーゼ゛!・・う、ううん・・うんっっ!!!」
パトリックは満足の吐息を吐き、クルーゼがパトリックの放たれたモノを飲み込む姿を、唇をゆっくり引き上げ薄笑いを浮かべながら見た。
そして、再度問い糺した。
パトリックは息子をクルーゼの口の中で遊ばせていた。再び勢いを増して来たモノに塞がれながらも、答えるクルーゼ。
「同盟の旗揚げの頃の・・・もう昔話だと・・・お二人の・・・馴れ初めから話し出して・・・下さいました。・・・それだけです・・うう・・・うぐっ・・・」
話を無理にすることで、喉奥を刺激され、むせそうになったのを見て欲望を引きずり出した。
唾液は細い糸を引き、奥に見え隠れする赤い舌が更にパトリックを欲情させた。
「!!!」
噛み付くようなひどい接吻を与えながら、クルーゼの衣服をもどかしげに荒々しく剥ぎ取りにかかった。
ここで抵抗しようものなら、初めて、抵抗した日に平手打ちをされ、部屋の隅に倒れ込んだことがあってから、クルーゼは、なされるままに身を委ねる事にしていた。
パトリックの怒りの感情が何処にあるのかに気が付く。
『嫉妬だ』シーゲルと私とに?傑作だな?パトリック?
『黄道連盟』に行くまで、パトリックに愛されていた身体は、残り火に火を付けられたようで、すぐに反応を返しかけた。
しかし、シャツを口に詰め込まれ、更に、残りの布地で目隠しをされる。
ネクタイで、手首を背中で括り上げられる。
うつ伏せにされ、まだ、昼間の名残の疼きを持っていたところを、慣らしもされずに、パトリックの怒りそのものを表しているような、猛々しくいきり立ったモノで深々と穿たれた。
「くうっううっっ!!!」
声が出ない代わりに金の髪と上半身がパトリックの目の前で舞った。
何度も散らばる金の糸を手で撫で、指に絡め口付けた。
その度にクルーゼの中に埋められたモノの角度が変わり、更にくぐっもった悲鳴を上げることになった。
昼間からの続きで慣れていたと言っても、痛みはひどく、傷つきシーツにシミを作るほどだった。
パトリックの狂喜を、その血の色はなだめることが出来ず、更にクルーゼのくぐもった悲鳴が欲情をかきたてただけだった。
パトリックの腰の動きは止まる事無く、何度もクルーゼの中で精を放っても満足せず、クルーゼの腰を離すことがなかった。
クルーゼの名を呼び、自分に付いて来ることを何度も強要した。
口を塞がれているクルーゼは、返事も出来ずに、ただ金の髪を降り続け舞い上がらせることしか出来なかった。
痛みと苦しみで朦朧となった、クルーゼは、肩をシーツに付け頭を沈み込ませていた。
閉じられたまぶたからは途切れる事無く涙が零れていた。
精を尽くしたとばかりにクルーゼの背に倒れ付したパトリックと、すでに気を失って揺す振られるままのクルーゼ・・・
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