最初(ハナ)から期待しちゃいねえよ。
他人にも――自分にもな。
独りの部屋で煙草に火をつける。
なんで生きてる。
死ぬのが面倒だからだ
もう、死ぬことを考えることすら。
『殺してくれ』そう願うことすら面倒で。
何もかもが、もう。
生きてることと、死ぬことの――ふたつの間にどんな違いがある?
独りでなくなった場所で、緩く紫煙を吐き出した。
何で生きてる。
死ぬのが億劫だからだ。
刃の下に首を差し出すのも、地面に横たわるのも永遠に目を閉じることも。
絡み付いているものを振り切っていこうとすれば、千切れたそれは血と脳漿を撒き散らすだろうから。
何もかも分からなくなる間際に多分聞こえてくるだろう、自分を罵る声を聞くことや。
俺に腹を立てて立てて立てて、それでもそれだけでココロの中を埋め尽くしてしまえない奴等の貌を最期に見なくちゃならねえなんて。
それじゃ、おちおち死んでもいられねえ。
それなら、生きてるほうがずっと簡単だ。
少しばかり期待してるから、自分にも――他人(あいつら)にも。
後ろ指を指されたくなけりゃ、這いずってでもついて来いとあの瞳(め)が言うから。
人はそう簡単に変わらない、変われないと悪態を吐きながら今日も。
それでももし、側にいることだけで痛みを与えてしまう時には。
手を伸ばして。
こうやって緩く腕をまわして――抱いてやればいい。
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