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私は、先生の言葉にほっとした思いで、素直に父に学生寮に入り、勉学に励みたいと申し出ることが出来た。
父は、屋敷からでも通学が出来ると、寮生になることを渋った。だがクルーゼ先生の一言で許しが出た。

「評議員の屋敷から毎日の通学は目立ちますよ。アレがザラ議員のご子息と・・・SPをお付けになりますか?
まだ一般学生の集まる校内にある学生寮の方が目立たないと思いますが・・・・・」
頼もしい先生に嬉しくなった。そして、これからも週末帰ってきたら来てくれる事を約束してくれた。



そうしてディセンベル市郊外の総合大学に入学した。 

学生としては自分がどうやら一番年齢が若いようだった。だが、学業に年齢の差はなかった。そしてご機嫌なことに、週末に帰ると、先生が来てくれるから、キラと別れて少し悲しい毎日だったが、随分と楽しい日々が送れるようになったと満足だった。




そう、アレを見るまでは・・・・



それは少年期?の無垢なる時代の終わりを告げる事件だった。








私は週末帰ってから、先生が来ていると聞くと庭に行くのが楽しみになっていた。
そこはアスランの子供部屋と、来客用のゲストルームの建物との間を埋め尽くすように薔薇が咲いていた。
薔薇の中で、風に金の長めの髪をなぶらせながらゆっくりと歩いている、先生の姿を声を掛けずに見るのが好きだった。

金の髪は光をはじき、柔らかく肩や背を風に任せてなぶらせていた。その立ち姿は薔薇に負けてはいなかった。
すらりとした背の高さ。何かを想いながら、伏目がちに薔薇に手をやる、その指先の形から腕、肩に至る線は優美な曲線を描き、身体全体を優雅に表していた。
金の長めの髪、白い肌、白いたっぷりと布地を取ったドレスシャツ、スリムな黒いパンツの立ち姿は一幅の絵画と言ってよかった。

そんな彼にアスランはただいま帰りましたの声も掛けられず、ただ見蕩れていた。

そんなクルーゼ先生の姿を今日も見られると楽しみに帰宅したアスランだった。


その日まで、余り気が付かなかったのだが、珍しく週末に屋敷にいた父親が先生の名を呼んだ声を聞いたのだ。
自分の部屋からそう遠くないところで返事をする先生の声に驚き、窓から先生の姿を探した。

「名前を呼んでおくれ・・・・クルーゼ・・・・」
「はい、パトリック・・・・」

姿は二人とも見えなかったが、聴いたことのないほど優しい父の声と、先生が言ったこともない父の名前を呼ぶ声に驚いたのだった。そっと窓辺に隠れながら二人の姿を探した。
そして父親の後姿を見つけた。父は誰かを後ろから抱きかかえていた。すっぽりと・・・・

「クルーゼ・・・・」
「パトリック・・・・」
返事をしたのは先生・・・・そして父親は前に抱えた人間の向きを返させ顎を掴み口付けた。

「!!!!」

危うく声を出しそうになって口を押さえ、窓から床にへたり込んだ・・・・

『――ク・クルーゼ先生!!・・・・・』

そして人影が動きゲストルームの一つの扉の閉まる音が、驚きへたり込んでいたアスランに聞こえた。
何も考えられずに身体が動いた・・・・

足音を忍ばせ先生が使っているゲストルームの窓辺に急いだ・・・
薄地のカーテンが引かれ中が窺えないようになっていたが、辛うじて端が折れ曲がりアスランの目線から部屋の中の様子が見られた。その時のアスランの脳裏には覗き見の後ろめたさは存在しなかった。

少し開けられた窓からは中の二人の会話は聞き取り難かった。それでも中の二人の行為は見て取れた。
見たことの無い二人の仲のよさ。
父親が先生を抱き締め頭を抱え口付けを交わしているのを、じっとただ見詰めてしまった。

父親と母親とのキスシーンも余り目にしたことの無いアスランには、まるで映像の中の一コマのように現実離れした感覚だった。
そして、白いシャツを剥ぎ取り、ベッドへクルーゼ先生を押し倒して行く父親の姿。それでも先生は何も言わずされるままに衣服を脱がされて行く。
つぶさにアスランは嫌悪の情も無くただ見詰めていた。
先生の身体を後ろから襲い抱き締める様子を・・・・・

微かに洩れ聞こえる声は先生の声で、目の前で先生の身体の上でうごめく父親、まだ自分は衣服を纏い、白く綺麗なしなやかな先生の身体を貪っていた。
先生が仰け反る、しなやかに弓なりになる背中は美しく、空を舞う金の髪が美しく、微かな先生の声は聞いたことの無い高い細い声で、もっと聞きたいと想うほどで・・・・・

今まで見たことの無い、何も身に付けていない、白い細い腕が、しなやかな細い足が、父親の首に回され、背に絡みつく頃、これもアスランは見たことの無い父親の裸身を見ることになった。
自分の背に絡みついた足を肩に乗せ、片手を先生の身体の真ん中に置き何かを掴み、片手でズボンのベルトを外し中から男のモノを取り出した。

そして近くのテーブルから何かを取り指に付けるとそれをどこかに塗りつけた。
そこまでは見ることが出来たがその後はアスランの視界から外れた。

ただ、その後の出来事はクルーゼ先生の望まぬことらしく、今まで聴いたことのないそれでも押し殺した悲鳴を耳にした。父親は暫く先生の身体に何度も腰を押し付けていたが、漸く足を下ろさせ自分の着ていたシャツをゆっくり脱ぎ始めた。
上半身すら脱いだところを知らないアスランはこの後どうなるのか、足がすくんだまま見詰めるしかなかった。

先生の身体から離れうつ伏せにさせると、今度はズボンを改めて脱ぎ始めた。
口がカラカラになり、窓枠にかけた指先が血が巡らず白くなりかかっている事にも気付かず、アスランは成人した男の身体を改めて見ることになった。

自分より遙かに筋肉の付いた父親の身体。又その真ん中に見たことも無い屹立した男のモノを見せ付けられた。
アスランは、クルーゼ先生がベッドから動かずにそこにいることが不思議とも思わず、この後どうなるのかを見詰めていた。
その屹立したモノが先生の背後から、腰の下、尻の間に消えて行くところを目にした。そして、押し殺した悲痛な叫びを聞くことになり、アスランはそのモノが先生の身体に押し込まれたのではないかと想像した。

二人の行動は更に続き、身体を絡め合い、後ろから襲い掛かられ、クルーゼ先生の身体が苛まれて行くところ、悲鳴が悲鳴だけではなく、甘い蕩けるような声に変わるところ、そこへ父親の優しげな声が混じるようになったところ、どれもアスランには初めてのことだった。

父親がその部屋を出て行ったことも余り覚えてはいなかった。頭が真っ白になった感じで呆然と薔薇の中に立ち竦んでいた・・・・






この出来事はアスランを寡黙にさせ、次の週から帰宅させる時間を早めた。

そして、二人の様子を観察させた。
そして、その行為は昼間だけでなく、アスランが寝た後もクルーゼ先生の部屋に父親が出向き、続けられていることに気が付いた。
その覗き見るという行動がいけない事だと気が付き始めていたが、二人の行為をどうしても見たかった。

クルーゼ先生の見たことのない乱れる様子は、その押し殺されてもまだなお零れ聞こえる声は、アスランの身体を熱くさせて行った。
そして、二人の行為の後、時折、執事が先生の身体を労わりながらお世話をしている様子も目にした。
この行為を執事も黙認していることが、先生の裸身を執事も眼にし、浴室まで抱えたり着替えをさせたりしている様子を見ることが、アスランには耐え難く、胸が詰まる感じを覚えるまでになった。



誰も触らないでほしい・・・私の先生に・・・クルーゼ先生を誰にも渡したくない・・・
父上・・・・貴方の代わりに、私が先生の隣に立ちたい・・・・
そして、父上、貴方の代わりに抱き締めたい・・・・
抱き締めて、あの唇に口付けをしたい・・・・
共にベッドで抱き合いたい・・・・


寮に帰っても、父親に抱かれ声を上げる白い裸身が頭から離れず、身体が熱くなり夜中に起き出すこともあった。しかしまだその身体の熱が何から来るもので、どうなるのか、どうすれば良いのか今ひとつアスランの頭には理解し切れてはいなかった。
身体もまだ眠っていた・・・・
ただ、次にクルーゼ先生に出会う日にちのみが頭を占めるまでに追い詰められて行った・・・・


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