三蔵サマ総受け
小説 遊亜様

『0611』






土埃だけが舞う何も無い土地を走り抜けると、ようやく建物が立ち並ぶ景色が見えてきた。

「そろそろ町に入りますよ」
「やっとメシが食える〜」
「今更だが、食い意地ばっか張ってんじゃねェよ」
「ホンット、今更だな」
「さあ、着きまし…た……!」

運転していた八戒は何故か急にジープを道端に寄せ、一旦停車させた。

「そうだ、確か今日は……」
「それ、何書いてあンのか、やっぱすっげー気になるわ」

悟浄の興味は、何か呟きながら八戒が見ているシステム手帳に向いているようだ。

「あ!」
「な、何?!」

突然大きな声を上げた八戒に、悟空が驚いて身を乗り出した。

「やはり今日は特別な日でした」
「何だよ、びっくりさせんなよー」
「あはははは、スミマセン」

人の良い笑顔を見せられると、後ろで密かにビクッと反応していた悟浄もそれ以上は文句が言えない。

「で、何なんだ?」

一人動じなかった三蔵が、八戒をチラと横目で見ながら問い質す。

「お世話になっているサイトが開設されて丸二年なんです」
「は?」
「さい…と? 何それ、食えんの?!」
「文脈を考えろっつーの、バカ猿が」
「何だよ、知らねーんだから訊いたっていいだろ!」
「食えるかどうかしか判断の基準がねェのか、てめぇの頭は」
「悟浄だってエロいことしか頭にねーじゃんかっ!」
「何だと、このヤロ!!」
「やるかー!!」
「うるせェんだよテメーら、静かにしろっ」

いつもの如く取っ組み合いになりかけた後部座席へと三蔵が銃を向けた。
銃口がほとんど額に付きそうな距離に、二人は慌てて口を噤む。

「で?」

三蔵はややいらつきながら前に向き直ると、再び八戒を促した。

「二周年の記念日だったんです」
「この前、一周年ってのをやったばっかだよな?」

悟空は、今夜は無礼講だと思いっきり飲み食いできた日を思い出して、自然と涎を垂らしている。

「それは僕達の旅でしたが、二周年はSHURANさんです」
「酒乱? 誰のことだ?」
「いえ、人では無く……」

説明し難い部分は、やや困ったような表情を見せただけで済ませた。

「それと」

三人の顔に張り付いている疑問符には構わず、八戒は淡々と進める。

「今日はある方のお誕生日でもありまして」
「誰だ?」
「貴方に縁の深い方です。 美声の持ち主で、可愛らしくて真っ直ぐで素敵な男性」
「そんな奴には心当たりが無いがな」
「いいんですよ、貴方に関する事柄は、僕が全部覚えておきますから」

にっこりと微笑まれた三蔵は、フンッと鼻を鳴らして八戒から顔を背けた。

「とにかく、僕達にとっても無関係とは言えない日なわけでして」
「なあなあ、じゃあ、ご馳走食えんの?」

悟空が目をキラキラと輝かせながら三蔵と八戒を交互に見ている。

「結局はそれかい」
「どうでしょ、三蔵。 構いませんか?」
「別に、今日が何の日だろうと食事は摂るんだし、祝いたければてめぇらで勝手にすればいいだろ」
「ありがとうございます」
「わーい、お祝い〜! 食い放題〜〜〜!」
「なあ……」

はしゃいでいる悟空の横で、悟浄が神妙な声を出した。

「三蔵様よぉ、今回は大丈夫なんだろうな?」
「何がだ?」
「落し物とか忘れ物とかしてませんかあ、ってこったよ」
「あ、僕も気になるので、先に確認させていただきたいんですが」
「チッ、これがありゃいいんだろ」

三蔵は袂に手を入れると、一枚のカードを取り出した。

「おー、ちゃんと持ってんじゃん。 いいコだね〜、三ちゃんは」
「殺すぞ、てめぇ」
「三蔵、念の為、僕が預かっていてもいいですか? どうせ支払は僕がしますし」
「好きにしろ」

三蔵がぽんと放り投げたカードを八戒がキャッチした。

「今夜は楽しくなりそうですね」



 ◇ ◇ ◇



「では」
「乾杯っ!」
「何かわかんねーけど、おめでと〜!」
「………」

先にビールとコーラが運ばれると、四人は美味そうに喉を鳴らして飲み干した。

「おかわりー!!」
「ピッチが早いですね〜、まだ料理も注文してないのに」

苦笑しつつも、八戒のグラスも既に空だった。
途中、休憩も入れずにここまでずっと運転してきたのだ。
労働の後のビールほど美味いものは無い。

「今日はお祝いだったよな、何でも頼んでいいの?」
「ええ、どうぞ」

悟空の注文は簡単だ。

「じゃ、メニューのこっからここまで全部!!」

それは、悟空にとって至福の瞬間。
もちろん、食べている時はさらに天国にいるような幸せなひとときなのだが。

その横では、悟浄が珍しくメニューを真剣に読んでいる。
その目が、とある料理の名前でぴたっと止まると、ごくりと唾を飲み込んだ。

「俺、これ! この、え…エ…エビ……」

たかが料理の注文だというのに悟浄は興奮気味で、顔にも酔いによるものでは無い赤味が差している。

「エビチリ追加でお願いします」

一言が出てこない悟浄の代わりに、八戒が横からさらりと注文した。

「え……」
「ですよね?」
「あ……ああ……」

何でわかったのかと不思議がる悟浄だったが、すぐに店員に向き直った。

「エビ、大きいのにしてね〜!!」

(欲望が渦巻いてますね、悟浄)

悟浄の思惑などお見通しの八戒は、自分も同類かと心の中で苦笑する。
前の席を見ると、いつもと変わらず仏頂面で煙草を吹かしている三蔵の姿が目に入った。

店内は適度に混んでいて、あちこちで賑やかな声が上がっている。
そんな中に居ても、時折、三蔵の周りだけが違う空間のように感じられるのだ。
誰も寄せ付けない、壮絶なまでの鋭さ、強さ、美しさ。
この人物と自分が行動を共にできるのが信じられなく思う時もある。
傍に居るのを許すような言葉を貰えてからの八戒は、それまでとは違い、気兼ね無く且つ前向きでいられた。
それでも、時々こんな風に、三蔵はやはり稀有な存在なのだと思い知らされてしまう。
そんな時、八戒は特権を与えられた者のような喜びを感じ、ぞくりと身体が震えるのだった。

「三蔵は?」
「適当につまむ」

一応希望を聞いてみたが、ふーっと煙を吐き出してから出てきた言葉は素っ気無いものだった。

「わかりました、では以上で」

メニューを店員に渡すと、後は料理を待つだけだ。

「今日は食うぞー!」
「って、いつもじゃねーかよ」
「コーラ、おかわりー!!」
「って、早ぇーよ、何杯目だよっ!!」

どこかうきうきとしている悟浄はいつもよりノリが良く、悟空相手に楽しげにツッコミを入れ捲っていた。



 ◇ ◇ ◇



一時間後。

「まだかよ……オーダー、通ってんだろうな……」

悟空が頼んだ量が多かった為か、悟浄が待っている一品はなかなか出てこなかった。

「悟浄、飲み足りないんじゃないんですか?」
「え……、いや、まあボチボチとな。 夜はまだまだ長ェんだし」

メインイベントが始まるまでは酔っ払うわけにいかない。
そう思った悟浄はいつもよりもややスローペースで飲んでいた。
悟浄に勧めた八戒は、普段の調子で淡々と酒を愉しんでいるようだ。

「さ、さ、八戒、お前さんこそぐっと行きな、ぐっと!」

(コイツを酔わせンのは無理かもしれねーけど、ちょっとでも……)

悟浄に徳利を差し出された八戒は穏やかに微笑むと、注がれた酒をぐいっと飲み干した。



 ◇ ◇ ◇



二時間後。

「おっせーな〜」
「どうしたんですか、悟浄」
「い、いや…何でもねぇ……ちょっとトイレ」

まだ目的の料理が運ばれてくる気配が無いのを見て、悟浄は席を立った。

「一体、何品頼んだんだ」

空いていたので借りた隣のテーブルにまで皿が溢れている状況を見て、三蔵が溜息をついた。

「これでもまだ来てないのがあるんです」
「何だ?」
「悟浄が一番愉しみにしている一品」

嬉しそうに人差し指を立てた八戒を見て三蔵が訝しげに眉を顰めたところへ、待ちかねた皿が運ばれてきた。

「おや、丁度来ましたよ」
「そのエビチリ、うまそー! こっちにも廻してー!」
「はいはい、ちょっと待っていてくださいね」

八戒が先に、三蔵と自分の皿にエビをひとつずつ取り分けた。

「はい、悟空どうぞ。 三蔵も、温かいうちにどうぞ」

三蔵はそれまでの料理も少ししか口を付けなかったが、皿に載っている赤い色が食欲をそそる。

「うめー、これ最高っ!」

悟空の喜んでいる声を聞き、三蔵がエビを箸で摘んだ。
ぷりぷりとした身が口元に運ばれる。
この店でも、使われているエビは一口で頬張るのは無理なほどの大きさだ。
半分噛み千切ると、口の周りが赤く染まった。
咀嚼しながら、舌がソースを舐め取る。

(やはり、エロティックな三蔵というのも捨て難いですね)

八戒の目が、眩しいモノでも見るように細められた。
向かいの席にさり気なく視線をやったまま、自分もエビを口に運ぶ。
三蔵と同じように口の周りにソースが付いた。
舌で丁寧に舐め取る。
目の前に在る唇を見ながら舌先を動かすと、そこを這っているような錯覚に囚われた。

(三蔵……)

三蔵が残りのエビを口に入れる。
尻尾を出そうと歯と唇を使った時、またソースに塗れた。
赤い舌がチロチロと動く様は官能を刺激する。
八戒の口元も同じように動いていた。
三蔵の舌が外に出ている時に自分も舌を出すと、それ同士が触れ合っているような感覚に襲われる。
直接的な触れ合いによるものではない、脳内変換による交わりのような甘美さ。

(三…蔵っ……)

ある種の恍惚感に浸りつつ、八戒はようやくエビを食べ終えた。

(食事ひとつにこれほどまで神経を使うとは…)

三蔵の口の周りは綺麗に拭われ、舌が淫らに動き回った形跡はもうどこにも残っていない。
八戒は知らずに入っていた肩の力を抜いた。
やや疲れを感じながらも、どこか心地良い。
手酌で酒を飲んで一息ついたところに悟浄が戻ってきた。

「あれっ?!」

悟空が今まさにテーブルに積み上げようとしていた皿を見て、思わず声が上がる。

「ん、どうしたんだ?」
「そ、それ……」
「さっき来たけど、美味かったぜー。 あ、悟浄の分、残しとくの忘れてた」

てへへと頭を掻きながら笑っている悟空を呆然と見つめていた悟浄は、三蔵と八戒の皿に目をやった。

「あ……」

どちらにも赤いソースが少しだけ付いていて、「エビチリは食べ終わりました」 という状況が聞かずともわかる。

「くっそー、愉しみにしてたのに………」
「わ、悪ぃ、悟浄そんなにコレ食べたかったのか? んじゃ、もう一皿追加しようよ、な」
「いや、いい……」
「落ち込むなって、まだまだ他にもいっぱいあっからさ!」

食べ物に関してはいつも喧嘩になる二人だが、今回は珍しく争いにもなっていなかった。
酷くしょぼんとしている悟浄を見た悟空が、普段とは違う様子に悪いことをしたと思い、慰めてさえいる。

「いつもこうならいいんだがな」

和やかな雰囲気を見て、三蔵がぼそっと呟いた。

「そうですね」

八戒がにこやかに相槌を打ち、徳利を掲げながら店員を呼んだ。

「あ、スミマセーン、これと同じ物を」



 ◇ ◇ ◇



三時間後。

「これ食えよ、うまかったぞ。 あ、これも!」
「チクショー、こうなったらとことんまで飲んでやるーーーっ!!」
「いいぞー、悟浄〜、飲め飲めー!!」

自棄になりはじめた悟浄を見て、元気が出たと悟空は嬉しく思った。
喧嘩したいわけでは無いが、落ち込まれているよりは暴れている方がいい。
そんな二人の様子を、八戒はずっと穏やかな微笑を崩さないで見ていた。

エビチリを注文しようとした時から、悟浄の思惑はわかっていたのだ。
望みはひとつ、花祭りの時の再現。
わかっていたけれど、別に阻止しようとは思わなかった。
寧ろ、悟浄が見たがっている三蔵の姿は自分も見てみたい。
だから、悟浄の企みに密かに乗ろうとした。

が、結局は八戒だけがいい思いをした結果に終わった。
そうだとは悟浄は知らないままだが、予定していた愉しみを味わえなかったのは事実だ。

たまたま。
悟浄はタイミングが悪かっただけ。
ただ、それだけのこと。
別に八戒や悟空が何をしたというわけでも無い。
だから、悟浄はやりきれない思いを誰にもぶつけられなかった。

これからだってまだまだ機会はあるだろう。
そう思い、あとは飲むに徹した。
斜め前に座っている三蔵は少し酔ったのか、目元から頬にかけて薄っすらと赤く色付いている。
その姿を肴にしながら……。

「スミマセーン、これと同じ物を」

最初から何の変化も見せない八戒の爽やかな声が、落ち込んでいる悟浄の耳を通っていった。



 ◇ ◇ ◇



四時間後。

散々食べて飲んで、喋ってはしゃいで満喫したのか、悟浄と悟空はいつの間にか静かになっている。
周りの客も少なくなったようで、店内はさっきまでの騒々しさが嘘のようだ。
八戒はやっと落ち着いて飲めると、徳利を掲げた。

「スミマセン、これと同じ」
「何本目だ、それ」

八戒の声に反応した三蔵だったが、目の焦点は合っていない。

「三蔵、楽しかったですか?」
「ふんっ、別にいつもと変わらん」
「僕は楽しかったですよ」
「そりゃ良かったな」
「おかげさまで」

酔っているとは見せないように無理にいつもの口ぶりで話す三蔵を、八戒は愛しさを込めた瞳で見つめた。

「デザート頼みましょうか。 葛きりなんていかがです?」
「悪くねぇな」
「ええ、一緒につつきましょう♪」

(これは、抜け駆けでも何でもないですよね?)

店員を呼びとめて追加オーダーする八戒は、いつも以上に生き生きして見えた。



 ◇ ◇ ◇



「そろそろ看板なので……」
「あ、もうそんな時間でしたか」
「先にお勘定をお願いしたいのですが」
「わかりました。 ではこれで」

伝票を素早く確認すると、八戒が三蔵から預かったカードを店員に手渡した。

「よく食べましたね〜、金額を見てビックリしました」
「おまえの方がビックリするぜ…」

平静と何も変わらない八戒ののんびりとした口調に、悟浄は慄きを隠せない。

「ま、払うのは俺じゃねェからな」

この旅を指示した三仏神。
きっと、今夜の様子もどこかから見ているのだろうが、目的さえ果たせば文句は言うまい。
そう思って、三蔵は何を気にするでもなく煙草を燻らせた。

するとそこへ、先ほどの店員がやや固い表情で戻ってきた。

「あの〜、すみません……このカード、使えないみたいなんですけど」
「え?!」
「は?!」
「あ?!」
「すぴー……」

三人が驚いた横では、満腹になった悟空が既に寝息を立てている。

「使えないってどういうことですか?」
「発行元に問い合わせないとわからないのですが、このカードは受け付けないので精算ができないのです」
「そんな……」
「他にカードをお持ちでしたらそちらを」
「クレジットカードはそれ一枚なんです。 よね?」

八戒が確認すると、三蔵は黙ってこくりと肯いた。

「では、現金でお願いできますか?」

そう言われた八戒が三蔵を見る。
三蔵は視線を悟浄に移した。

「何で俺を見んだよっ!」
「持ってねェのか、この役立たずが」
「スミマセン、ちょっと待っていてもらえますか?」
「はあ…」

八戒が 「何の問題もありませんよ」 という笑顔を見せたので、店員は一旦奥へと引っ込んだ。
が、その姿が見えなくなるとすぐに、悟浄の顔から血の気が引いた。

「もしかして、また無銭飲食しちまったのか?!」
「そういうことになるな」
「って、落ち着いて煙草なんか吸ってる場合かよっ」

悟浄が食って掛かからんばかりの勢いで噛みついたが、三蔵は素知らぬ顔で煙草を口にしている。

「何故、使えないんでしょうか……」

八戒も慌てる素振りなど欠片も見せず、悠然と構えて考え込んでいた。

「確か、悟空がひとりで勝手に好きなだけ食い捲った、って時があったな」

三蔵が天井に向かって煙を吐き出しながら記憶を手繰り寄せる。

「ええ、花祭りの日ですね」
「既に限度額をオーバーしてたのか?」
「その可能性は考えられなくもないですが、その後、宿屋では問題無く使えましたよね」
「止められてたわけじゃねェってことか……」
「天界とでは、システムに時差でもあるんでしょうか?」
「とにかく、原因はこの猿だな?」

会話に割り込んできた悟浄が、悟空の胸座を掴み上げた。

「起きろバカ猿っ!! テメーのせいで厄介なコトになってんだぞ、コラッ」
「うーん、何〜、もう飯ぃ?」
「ンのヤロ、目ぇ覚ませっつってんだろーがっ!」
「ん? どしたの?」
「また、支払いができないんです、ボクら」
「何で? 三蔵のカード、ちゃんとあったじゃん」
「それが使えなくて……」
「テメーのせいなんだよ」
「何がだよ、何でだよ?!」
「いつでも好き勝手に食いやがって!」
「花祭りの時に使い過ぎたのが原因のひとつかなあ、と考えていたんですが」
「え…」
「今日も 『こっからここまで〜』 ってアホみたいな注文の仕方しやがって」
「だってどれも美味しそうだったし…。 残さず食べたからいいだろ!」
「残さなかったのはえらいですね。 でも、それとこれとは問題が違うので」
「…………、『ふー。』」
「って、どっかの誰かさんの真似してんじゃねーよっ」
「悟空、お箸で遊んじゃいけません」
「う……」

ぴりぴりしている場を和らげようと、ちょっとふざけて、煙草を咥えている三蔵の真似をしてみた。
が、その場にそぐわなかったのか、悟浄に怒鳴られ、八戒には叱られてしまった。
三蔵を見ると、素知らぬ顔で煙草を吹かしてはいるものの、こめかみの辺りがぴくぴくしているようだ。
悟空はしゅんと項垂れたまま、テーブルに突っ伏した。

「……」
「悟空、怒ってるわけじゃありませんよ」
「……」
「今日は全員が飲み食いしてるんですし、全員の責任ですから、皆で今後の対処について考えましょう」
「……」
「ね?」
「………ぐー」
「呑気に寝てんじゃねーよっ!!」

遂に三蔵のハリセンが炸裂した。
八戒はあははははと乾いた笑い声を立てている。
悟浄はやれやれという表情を浮かべながらも、これから自分達が立たされるであろう場面を想像していた。

この危機的状況は初めてではない。
過去、大変な目にも遭ったが、オイシイ思いもしていたのだ。

(ここの店員の制服もなかなかイケてたよな。 きっと、似合うはず……)

そっと三蔵を盗み見ては、ニヤケる頬を隠しきれないでいる。
待ち構えている苦労を嘆くよりも、目の前にぶら下げられようとしている悦楽に心を奪われている悟浄だった。



 ◇ ◇ ◇



「予想通りの展開になってきたな」
「もしかして、カードを使えなくされたのは観世音菩薩ですか?」
「ああ、そうだ」
「何故そのような…?」
「俺も見たかったんだよ、もう一度」
「は?」
「金蝉…いや、三蔵のエプロン姿をな」
「…………」
「どうした? 二郎神」
「いえ、もう何も言いますまい……」
「とにかく、今日はめでたい日だ」
「それで、シャンパンですか?」
「二周年と誕生日に、乾杯!!」
「何かにつけて飲もうとされるんですから」
「これからも、アイツラのコト、よろしくな♪」
「観世音菩薩、一体どこをご覧に? …と言うか、誰と喋ってらっしゃるんですか?!」
「くくくっ」

下界の騒動は余所に、天上界には今日も平和な時間が流れていた。








ありがとうございます〜(〃T∇T〃)!!///
三蔵一行に某お方
(←何故伏せ字(^^;)の誕生日と、このヘンサイトの2周年(遊亜さんに教えていただくまで、全然気付いてなかったです///(^∇^u//)を祝っていただけるなんてーーーーーーっっっ
エビチリ萌え(≧∇≦)//そして、三ちゃんのエプロン姿はオイラも絶見たいですとも!!
原作とドラマCDのオマケドラマエピソードをこんな素敵なアニバーサリーストーリーに
料理していただけて(*^∇^*)//嬉し過ぎなのですっっ//あまりに嬉しい出来事でした//
遊亜さんvサイトを支えてくださってありがとうございますvこれからも主任として頼り切らせてくださいませ///
活動はけっこう以前からなんですが、サイト運営は2年分が色々と積み重なってます♪
まだまだ容量はありますので(笑)ステキな作品をコレクションさせていただけたら
幸福なのです(*^∇^*)一緒に楽しんで参りましょう♪//
オマケ画像はヘタレで申し訳ないです(∋_∈)//
オイラのは何か祝いになってないかも(T□T)


『0611』オマケ画像v
エプロン三ちゃん♪→



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