ささやかな幸せ…。


「ただいま帰りましたよ。双葉」
お兄ちゃんの声がします。

あれ…私座ったまま寝ちゃってたようです…。
「お帰りなさいお兄ちゃん」
飛び起きると、ばさりと私にかけてあったお兄ちゃんの上着が落ちる…。

「あ、あれ。いつ帰ってこられたのですか?」
おにいちゃんは柔和な顔をすると、
「つい、さっきですよ。双葉の寝顔はたいそう可愛かったですよ」
「お兄ちゃん!」
恥ずかしくて顔が熱くなっています…
私の顔を見てお兄ちゃんはくすくす笑ってます〜。
もう、お兄ちゃんったら…

「いや、失礼。さて、双葉、私の上着を取って下さい。依頼料が入ったことですし、たまには外で食事でもしましょう」
「え、で、でもお家賃を払わないといけないですよ」
今月も赤字なのに…
でも、嬉しいです…お兄ちゃん。

「大丈夫ですよ、双葉。きっちり依頼料もらってきましたから。家賃を払って来月の生活費のことを考えても、外で食事をするぐらいは十分残りますよ」
「え、で、でも…」
私が口ごもりつつもお兄ちゃんに上着を渡すと、
「さあ、双葉も上着を着なさい。今日は銀座の煉瓦亭にでも行きましょう」
「え、ええーっ! 煉瓦亭ですかー! えーと、何を食べようかなぁ。オムライスもいいし、ポークカツレツもおいしそうだし、でもやっぱりライスカリーかなあ…」
私が何を食べるか考えていると、お兄ちゃんが衝撃の一言。
「そして、資生堂パーラーか千疋屋でデザートを食べましょう」
お兄ちゃんがにこにこ笑っています…

私はお兄ちゃんの首に飛びつきました!
「ありがとう、お兄ちゃん。だーい好き!」


……
………

そして、これはまた違うお話…。

「次回、『美少女探偵双葉の冒険! 思いは続く…』」
「見てくれないとかじっちゃうぞ!」
「うじゅ〜」

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