diary
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1月26日 (土)  ファンダメンタルズ

次回(2014年)のヴェニス建築ビエンナーレのディレクターをつとめるレム・コールハースが、テーマの発表をしています。そのテーマは〈ファンダメンタルズ〉。〈ファンダメンタルズ〉は、建築家ではなく建築についてのビエンナーレであり、ここしばらくのビエンナーレが〈現代〉を謳い上げるものであったとすれば、〈ファンダメンタルズ〉は歴史に焦点をあてるのだそうです。(ファンダメンタルズとは、基礎とか、基本、原理といった意味です。)

 レムは、これまでにもたびたび意表を突くテーマを取り上げてきましたが(アトランタ、ラゴス、ジェネリックスペース、、、)、時代の先端をぐいぐいと切り開いている彼が、〈歴史〉をテーマとすることには、やはり意外性があります。
 もちろん、単に過去のカタログを作りたいわけではなく、この100年の変遷を観ることで、現代を捉えようというのでしょう。第一次世界大戦が勃発した1914年から来年の2014年の百年間に、モダニティがどのように受容されてきたのか。それを各国のパヴィリオンでも行うとしています。本当でしょうか。これまでは、ディレクターはテーマ展示をアーセナルなどで行い、各国の展示は個別に任されていたのですが、そうした枠組みも変えるということでしょうか。

 これまでは、日本では日本館での展示ばかりが話題になって、ディレクターによるテーマ展示はそれほど注目されていませんでしたが、次回は変わりそうです。まだ1年半以上ありますが、今から話題が続きそうです。

 以下のAbitareのサイトに、レムによるテーマ説明の英文があります。ビエンナーレのサイトも確認しましたが、そちらにはまだイタリア語でしか掲載されていませんでした。

http://www.abitare.it/en/architecture/koolhaas-biennale/

(イマム)


1月25日 (金)  アーネスト・サトウ 写真展 Light and Shadow

いい本を読んだり、いい映画を観たりすると、人に薦めたくなるものですが、本日観た「アーネスト・サトウ 写真展 Light and Shadow」について。

展示されている写真の何とチャーミングなこと。写真史に明るくないので素人のコメントですが、バウハウス系のモダンな画面構成の見事さにはっとしつつも、またシャッターチャンスの的確さに驚き、しかしそれでいて緊張を強いるものではなく、そこここにユーモアが顔をのぞかせる。サトウ氏の息子さんであります佐藤守弘氏を存じ上げていて、守弘さんのチャーミングさは亡父譲りなのだとひとりで感じ入った次第。風景もきれい、人物も味わい深い。食えない政治家も、人なんだなと思わせるところが、サトウ氏の優しさなのでしょうか。

 と書いても、これを読んでいる方の多くは建築関係者で、興味を持たれてもわざわざ会場まで足を運ばないかもしれませんが、実はこの展覧会のギャラリーの空間、一歩足を踏み入れて、軽く驚き、都内にこんなギャラリー空間があったのか、1年ほど前にオープンしたというのに今まで知らなかったとは、僕の情報アンテナもまったく感度が低いものだと、まずは反省。旧倉庫の空間は、空気がたっぷりとしていて、壁、床、照明、と空間の要素どれもが気になる具合で、それでいて空間全体としては静謐で、展示をまったく邪魔しない。特注というケースも見ものです

 ギャラリー916は、写真家上田義彦さんが、企画・運営されているギャラリーで、昨日はちょうど会場にいらしてお話しを伺うことができたのですが、もちろん倉庫からの改装も、上田さんの手によるもの。建築関係でいえば、昨年末に、鹿島出版社から美しい大判のミースの写真集を出した方といえば、ピンとくるでしょうか。そのミースの写真集で使われている、柔らかく、少し中に空気を含んだような紙。それとこの展覧会のもつ雰囲気、ぜひ比べてみてください。会期は一カ月近くあります。

アーネスト・サトウ 写真展 Light and Shadow
http://www.gallery916.com/exhibition/lightandshadow/

(イマム)


1月20日 (日)  建築洋書

Arch Daily、 普段は、トップページの新しい情報にさっと目を通す位なのだが、今日は週末ののんびりした気分でトップ見ていたら、publication というカテゴリーがあり、そこには新しい建築図書や雑誌の情報がまとめられていて、いろいろと新しい洋書の情報を得ることができる。これは嬉しい。
しかし、興味を引かれた本の値段を調べようとamazon.co.jpで検索すると、ことごとく扱われていない。洋書はたいていのものがamazonで手に入るようなイメージが持たれているが、実はそうではない。特に、建築といった専門のそれもマニアックともいえるものは、品ぞろえが弱いようで、amazon.co.jpが扱っている本はそれなりにメジャーなものに限られる。もちろん、本場のamazon.comであれば扱っている建築書も格段に多いが、調べたところ、日本のamazon.co.jpとamazon.comは連動していない。まだ試したことはないが、amazon.comで注文して、船便で送ってもらうのだろうか。しかしそれでは、送料が無料というamazonのメリットがない。かくして世界各地で出版されている本の情報を得、またその本を入手するということは、ネットの時代になっても今なお自由自在にというわけにはいかない。

http://www.archdaily.com/category/publications/

(イマム)


1月19日 (土)  ファン・パレス@CCA

準備している本の中で、セドリック・プライスの「ファン・パレスの」図版を使いたく、さてしかし使用許諾をどこに問い合わせたらいいものか。セドリックの最後のスタッフであった斎木さんに問い合わせても良くわからないとのことで、しかし斎木さんのアドバイスもあって、カナダ建築センター(CCA)のセドリック・アーカイブを探してみると、はたしてありました。

フィリス・ランバート(近代建築史に詳しい人であれば、ピンとくる名前ですね)が20年ほど前からディレクターを務めはじまったCCAは、さまざまな建築家のドローイングなどのアーカイブがある。それも数枚あるというのではなく、特定の建築家やプロジェクトの図面やスケッチなどをまとめて一括して保存していて、総数は10万枚を超すという。例えばアルド・ロッシで検索すると469点。ジェームズ・スターリングでは1524点とでる。アンソニー・ヴィドラーの最近のスターリングについての本は、このアーカイブにあたってまとめたもの。

さて、セドリックについて検索すると452点と出て(検索により関連するものも含まれるようだが)、さらにファン・パレスに絞ると73点。嬉しいことドローイングにはサムネイルもついている。一口にファン・パレスといっても、さまざまなヴァリエーションのものがあり、ゴードン・パスクといった関係者のテキストなども保存されている。マニアにはたまらないだろう。そして、私は無事、自分が探していたドローイングが、ここに保管されていることを確認することができた。

CCA http://www.cca.qc.ca/en
ファン・パレス検索結果http://svrdam.cca.qc.ca/search/bs.aspx?langID=1#s=fun%20palace&p=1&a=kw&nr=1&nq=1

(イマム)


1月18日 (金)  テンプル大学東京スタジオ

定期的に通う非常勤講師とは別に、ときどき特別講義や講評会などに誘っていただくことがあるのですが、今年のひとつめはテンプル大学東京校での特別講義。同校での建築スタジオが今週からはじまり、その冒頭にて東京について話しました。タイトルは、「東京:コンテキスト・アンド・メタボリズム」。この建築スタジオは、友人のジム・ランビアーシさんが受け持っているもので、9人のアメリカ人の学生が、日本に4ヶ月間滞在します。僕が先の秋にも参加した、ブリティッシュ・コロンビア大学の東京スタジオに似ていますね。

このテンプル大学日本校、実は学生が2000人もいて、校舎も麻布十番という好立地。土地勘のあるエリアなので、最近もこの前は何度も歩いているのですが、ここにアメリカの大学の日本キャンパスがあることには気づきませんでした。

テンプル大学東京スタジオの成功を祈っています。

テンプル大学日本校 http://www.tuj.ac.jp/jp/about/index.html

(イマム)


1月16日 (水)  プロスペクター 打合せ

山本君、南さんと、あるプロジェクトの打合せ。途中クライアントの方も加わって内容を相談し、建設会社の方にも参加いただき見積の依頼。

(イマム)


1月15日 (火)  europa house

散歩のついでに足を延ばして広尾まで。一年ほど前にできた、ヨーロッパ・ハウスを外から見学。EUの日本代表部のオフィスと住居からなる建物ですが、こんなところにあるのですね。もちろん、セキュリティーが厳しく、建物内には一歩も入れず。

(イマム)

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1月14日 (月)  大雪の東京

本日の東京は大雪。これだけの雪は、久しぶり。
ここ何年かは、妻有の芸術祭の関係で真冬の新潟に行くことがあり、そこでは積雪数mということはざらであったので、雪の中歩くのは、慣れているといえば慣れている。とは言うものの、新潟の雪と東京の雪は質がまったく異なり、こちらの雪はみぞれ交じりでべちょべちょ、すぐに靴や衣類が濡れてくる。
いずれにせよ、雪の中歩くのは楽しい。見慣れた街並みが新鮮。

(イマム)

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1月13日 (日)  taiwan strait atlas

AAの時の師ラウール・ブンショーテンが、台湾でここしばらく継続して行っていた、エコロジカルな都市づくりに関するプロジェクトが、分厚い本としてまとめられたようだ。
まずは、この本を紹介している動画を見つけ、説明をしているラウールがすっかり白髪になっていることにびっくり。しかし、彼らしさはまったく変わっていないところが面白い。
早速、アマゾンjpで探したのだけれども、残念ながら扱っていない様子。どうすれば入手できるだろうか。

http://www.kickstarter.com/projects/chora/taiwan-strait-atlas-manual-for-a-smart-region

ついでにラウールのスタジオCHORA のフェースブックページがあることも見つけ、そこから、ラウールのユニットにいたときに、仲が良かった台湾人のシージェイともつながる(シージェイ・リムとは別人です。ともにロンドン仲間なので、紛らわしいのですが)。

(イマム)

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1月9日 (水)  感応するデバイス

私が関わっていますデザイン活動〈foro 08〉 の、次回のトークイベントのお知らせです。

T.27 感応するデバイス

櫻井稔さんは2008年、独立行政法人 情報処理推進機構より天才プログラマーの認定を受けるなど、若くして注目を浴びているデザイン・エンジニアである。彼は、ロジックを土台としたエンジニアリングの世界と、感性を主体とした造形家の世界両方に均等に重心をかけている希有の存在である。エンジニアリングの世界では感性派に見なされ、造形世界では論理派と見なされ、彼はそのどちらも楽しんでいるようである。彼が目指しているのは恐らく「共鳴する道具造り」であり、二進法世界と人の感覚的な成分をいかに等価に扱えるか、という事がテーマだと思う。彼はそれを実現するために可能な限り基礎的なプログラミングから自ら手がけ、まさに「粘土をこねるように」プログラムを組むという途方も無い事をしているのである。

◯スピーカー
櫻井 稔/SAKURAi minoru /デザイン・エンジニア
1982年生まれ、東京藝術大学美術研究科デザイン専攻修士後期(博士)課程在籍。デザインから考えるコンピュータ文化の研究、作品の製作活動を行っている。2007年独立行政法人情報処理推進機構(IPA)未踏ソフトウェア創造事業、未踏ユース一期においてスーパークリエイター認定を受ける。
2008年株式会社Fillotを設立し、分散ストレージIznaStor(現CloudStationDDS)
を開発。現在、Takram design engineering インターンとして在籍中。
Workshop on Interactive Systems and Software(WISS) 採録/ベストプレゼンテーション賞、地球マテリアルブックがグッドデザイン賞など、受賞多数。

◯第27回トークサロン概要
・聞き手 松下 計/MATSUSHITA kei/ アートディレクター 、グラフィックデザイナー
・オブザーバー(予定):西森陸雄、今村創平、橋本夕紀夫、皆川明、生駒尚美
・2013年1月23日(水) 19:00(予定)
・会場: 新宿御苑「ガーデンキッチン」
・参加費:3,000円( フィンガーフード、ワイン代含む)

その他詳細、申し込みはforo08 のサイトにて、ご確認ください。
URL : http://www.foro08.com

(イマム)


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