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【柴田 徹 : 縄文時代の集石と石材採集可能地の関連 2003年5月】


集石に関しては、その形態や構造、用途などに関して論じられることが多い。その用途とのかかわりから、膨大な量の礫に関して、赤化、付着物、接合関係の記述は詳しくなされることが多い。しかし、礫の岩種名(石材名)に関する記載は、極めて希であると言わざるを得ない。更に、礫の採集場所に関する具体的な検討は皆無に等しい

集石礫の採集地と推定される場所を構成する礫の岩種組成と、集石の岩種組成をきちんと比較することにより、集石のために運んだ礫だけを使っているのか、不要となった石器も集石に利用しているのか、集石と認定した礫の中に集石には利用されなかった石器が混ざっているのか等を明らかにすることができるのではないだろうか。

また、遺跡の保存という観点からも、集石においても岩種名を初めとする、できるだけ多くの記録を残す必要があるのではないだろうか。

そこで武蔵野台地および神奈川県の集石および焼礫について、その岩種組成を調べ、それぞれの採集地として推定される多摩川・武蔵野台地および相模川・境川・走水礫層の岩種組成と比較しながら検討した。

明らかになったことは、
集石構成礫の岩種組成には、明確な地域性があることである。
しかもかなり狭い地域性が認められる。

そして、その地域性は、遺跡近くに存在する礫の採集可能地を構成する岩種組成に規定されていることがわかる。

つまり、
集石の礫には近くにある礫を岩種の選択なしに用いていることを数値をもって明確に示すことができた。


※ 図をクリックすると拡大図がご覧になれます。

多摩川および武蔵野台地構成礫の岩種組成
(柴田徹,日本考古学協会第69回総会,2003.5)


武蔵野台地の集石・焼礫の岩種組成
(柴田徹,日本考古学協会第69回総会,2003.5)




※ 図をクリックすると拡大図がご覧になれます。

相模川・境川・走水礫層の岩種組成
(柴田徹,日本考古学協会第69回総会,2003.5)


神奈川県出土の集石・焼礫の岩種組成
(柴田徹,日本考古学協会第69回総会,2003.5)



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