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【柴田 徹 : 岩種組成からみた礫群構成礫 2003年5月】


礫群を構成する礫は、石器に比べ点数が多く、且つ大半が様々な程度に風化しており、一部は礫表面がタールなどによって被覆されている。そのため、石器のように1点ずつ丁寧に観察・鑑定できにくいと同時に、石器以上に大まかな精度の鑑定とならざるを得ないのが現状である。

本稿では、武蔵野台地および相模野台地における複数遺跡の礫群を対象に、

 1)礫群構成礫は岩種選択の結果であるのか
 2)構成石材の岩種組成に地域性が存在するのか
 3)石材を採集した場所の推定は可能か

という視点から、できるだけ精度の高い鑑定結果をもとにした岩種組成を検討した。

すると、遺跡の礫群の岩種組成は、近くに存在する礫層もしくは礫層上を流れる河川の河原の岩種組成と驚くほど一致することがわかった。

また、一方で、大和市と綾瀬市の遺跡では岩種組成に違いが存在する可能性が高いことが明らかになった。このことから、比較的近い場所に複数の礫の採集可能地が存在した場合、遺跡に最も近い場所の礫を用いたと推定できる。つまり、礫の採集場所が共通の地域内に位置する遺跡においては、礫群礫の岩種組成が同じであり、たとえ距離が近い遺跡でも礫群礫の岩種組成が異なる場合は、異なる場所で採集した礫を用いたと考えられる。

結果として礫群礫については、@岩種選択はない、A地域性が明瞭である、B近くの礫層または河原で石材を収集した可能性が高い、ことを明らかにすることができた。

これは、地質学の既知の情報から全てを説明するのではなく、
考古学から得られた情報をもとに礫層の存在や近くの河原に礫がかつて存在したのか否かといった自然環境を推測できる可能性を示唆していると言える。

更に可能ならば、考古学側の情報をもとに行った地質調査結果を用いて、考古学の事象を説明するという研究手法を考えることもできるだろう。

今回報告した事例で得られた結果を確実なものとするためには、更に多くの礫群礫と河原礫・礫層礫の岩種鑑定が必要である。また、石器石材と同様、詳細で精密な議論をしようとするほど石材の岩種鑑定精度と安定性が問題となる。

鑑定基準の安定性をいかに確保するか、今後の課題としたい。


※ 図をクリックすると拡大図がご覧になれます。

武蔵野台地の礫群礫の岩種組成
(柴田徹,石器に学ぶ第6号,2003.5)


多摩川及び武蔵野台地の礫層の岩種組成
(柴田徹,石器に学ぶ第6号,2003.5)




※ 図をクリックすると拡大図がご覧になれます。

礫群・相模川・境川の岩種組成
(柴田徹,石器に学ぶ第6号,2003.5)




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