【柴田 徹 : 代表的な石材の移動ルート推定 2002年5月】 2000年度の日本考古学協会第66回総会においては、石鏃(せきぞく:やじり)に使用された主な石材である黒曜石とチャートの使用比率の地理的分布をもとに、縄文時代中期の南関東における使用石材から見た地域性と両石材の移動について論じた。 2002年5月の日本考古学協会第68回総会においては『使用石材から見た下総台地内の地域区分と石材の供給地について』の発表をした。 「石材が入手しやすい場所には石材は大量に運び込まれ、入手しにくくなるにつれて運び込まれる量は減少することは自明の事」と仮定すると、「採集可能地に近いほど、移動ルートに近いほど大量に石材は搬入される」との結論が得られる。 遺跡(遺跡を含む地域)から出土したある石材の出土量に、一定の方向に向かって増加する傾向が認められるとすれば、その増加する一定方向とは、採集可能地および移動ルートの方向を示している可能性が高いと言えるだろう。 そこで、例えば石鏃に使用される代表的石材である黒曜石とチャートの出土比率を集成することにより、量的な地理的変化を明かにし、収集可能地の推定および移動方向・ルートの推定を試みた。 また、妥当性確認のため、機器分析による収集可能地推定結果との比較も行った。 以下は、代表的な石材の移動推定図(2002.5/第68回日本考古学会発表)である。 遺跡における石材の出土量および出土状態と採集可能地との地理的関係から、石材収集可能地の方向、および石材が移動したことやその移動方向、移動ルートを推定する方法は、機器分析に比べ1点ずつの精度は落ちるものの、ほとんど全ての石材に対して適用できるという利点を有している。 また、出版されている報告書も利用できることから、考古学の分野では極めて有効な方法であると考える。 (ただし、報告書に記載された岩種鑑定の精度が、かなりの高さでなければこの方法を用いることはできない。) |
※ 図をクリックすると拡大図がご覧になれます。 代表的な石材の移動推定図(柴田徹,第68回日本考古学会,2002.5) |
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