kinako

私は未知のものが怖い。想像出来ないものが怖い。
だから宇宙の写真が怖い。無限と言う内容が怖い。
地球は丸いのに、その上に立っている自分が信じられない。
「重力がなくなったら?」と思うだけで足がすくむ。
人間以外の、動く生き物が怖い。いや怖かった。
キナコと暮らすまでは・・・・。
猫のキナコは我が家を選んでくれた。
お腹の赤ちゃんと共に我が家にやってきた。
そして私に色んな感情を教えてくれた。

キナコを知るまでは、野良猫を見ても「恐怖」を感じるだけだった。
今は「ご飯を食べているの?」「虫に噛まれていないの?」
「寝るところはあるの?」「冬を越せるの?」
「いじめられていないの?」辛い感情が生まれた。
それと同時に全ての猫を救えない、無力な自分を知った。
胸を張って威張れない自分を知った。猫は人間の生き方を左右する。
愛すれば愛する程、苦難が待ち構える。
それに立ち向かうか逃げ出すか、人生は別れる。
私は1度、キナコの希望を奪った。
私はキナコから赤ちゃんを葬った。
立ち向う事が出来なかった。
苦い経験は人を強くする。
それ以来、キナコと共に生きるため立ち向う方を取った。
猫はご褒美をくれる。
知らなかった色んな喜びの種類を、キナコ達からたくさんもらった。
人間以外の生き物と、生活出来る驚きと幸せ。
あの小さくて可愛い体を、思い切り抱ける。
私の腕枕でスヤスヤと身を委ねて、眠ってくれる。
お出掛けしても我が家に帰って来てくれる。
猫は自分の意思を曲げない強い精神なのに
「こんな私を信じてくれるの?」なんて嬉しくなる。
この世は人間だけのものではない事を、
キナコと暮らして分かった。
全ての生き物は平等に存在している。
キナコを見てるとそんな気がした。
私とキナコの違いが分からなくなった。
私の愛より、キナコの愛の方がズート、
大きいのではないかと思う事がある。
私はキナコと寝る時、
キナコのオデコに私のオデコを寄せ
「キナちゃんの世界を見せて」と
何時もキナコに頼んでいた。
キナコは答えてはくれなかったがオデコを
寄せたまま眠ってくれた。

キナコが死ぬ時,
キナコは私達3人を枕もとに呼んだ。
「一緒に生きて来たね」なんてキナコが
言っているような気がした。
私達は「長い間ありがとう」と答えた。

はじめちゃんが癌になった時猫が来た。
キナコそっくりの猫が来た。

その子はキナコが産みたかった子供を産んだ。
生まれ変わりってあるんだと思った。

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