夕飯の買い物をしにスーパーへ出かけた。駅前のスーパーは歩いて20分くらいで少し遠いのだが、そっちのほうが安いし、ついでに表を出歩いて太陽光で充電すれば電気代の節約にもなると思って歩いた。
ゾロは近頃滅多に大学には連れていってくれないし(ウイルスに感染してからは、またあんなふうになっては困るとでも思ってやがんのか全然誘ってくれねえ)、今んとこ家事機能ぐらいしか役に立ってねえから、家計の管理ぐらいしっかりやろうと思う。
天気のいい住宅街をぶらぶら歩くと、結構色んなもんを見かけるが、一人で出歩いてるパソコンはやっぱり珍しい。ちょっと得意だ。おれは自立したパソコンなんだ。ゾロのヤロウなんかいなくたってしっかり家事を預かってやれる。
ゾロはどっちかっていうとこうやってオレが一人で勝手に何でもしておくほうが、喜ぶようだ。構われ過ぎると窮屈だと感じるらしい。
近頃段々ゾロのことが分かるようになってきた。
ような気がする。
あんなクソヤロウでも一応オレのマスターであるわけなので、オレはもっとゾロの役に立ちたいが、実際にはそれほど役立てることもないので多少不満だ。
ゾロが女の子だったらいいのに。
理不尽で、矛盾していて、上手くいかない。

オレは、もっとゾロの役に立ちたい。



スーパーの入り口には今月の特売日や定休日のお知らせが張り出してある掲示板がある。
今月の定休日をチェックしようと掲示を見ると、そこにはパート募集のお知らせが張り出してあった。
これだ、と思った。
惣菜屋のパート。
パソコン可、と書いてある。



帰り道、オレは繁華街のほうまで歩いて行き、電化製品やパソコンの部品を扱う店を覗いた。
4万8千ベリー。
消費税を入れると5万くらいになる。
別売りパーツになっている、ケツの穴の値段だ。
非常に不本意ではあるが、これであのクソマスターの役に立てる。オレには十八歳未満使用禁止の機能だってついてんだ。そこらのパソコンよりその辺なら役に立てると思う。
あいつは彼女もいないみてえだし、そのくらいしてやってもいいだろう。
こないだのウイルスの時だって穴があったら入れてくれそうだったし、あいつをオレのテクでめろめろにしてやる。もう役立たずとか言わせねえし、ちょっとだけなら、学校とかも一緒に行ったり、二人で出かけたりする気になるかも知れない。
そう考えるとなんだか嬉しい気分になってきて、やる気がわいてきた。
そうと決まれば、まずはゾロにバイトしてえってことを言って、それと…サイズだな。
取り付けるケツ穴のサイズはAからDまで4種類ある。Dサイズのパッケージには可愛い躍り文字で「まぐなむ」と書かれていた。可愛い必要がどこにあるのか分からない。
まぐなむ。
なんかすげえ言い方だ。
ところでまだケツの穴のことはゾロには秘密にしておこうと思う。
びっくりプレゼントってやつだ。
びっくりプレゼントは普通のプレゼントより効果が高い。…はずだ。
びっくりしてゾロが喜んでくれるだろうかって考えたら、それは非常に良いことだと思えてきた。



帰宅して、料理を作りゾロの帰りを待つ。
今日は遅くなるって言ってた。
暗くなってきたのでちゃんと電気をつけた。電気をつけなくったってオレは関係ないのだが、電気をつけていないと、ゾロはイヤそうな顔をする。
ゾロは12時をまわってから帰ってきた。
「おかえり、メシにするか?」
「ああ……いや、悪ィ、いらねえ」
「え?」
「寝る」
「あ、おい、風呂もいいのか」
「いい」
どさり、と鞄を投げ出してゾロはとっとと布団を出し、あっという間にぐうぐう寝入ってしまった。
そう言えばここのところ学校の課題がどうとか言って忙しそうにしていたし、その上今日はバイトで、さすがにこの筋肉ヤロウも疲れたのかも知んねえ。
結局、スーパーのバイトのことを言いそびれたが、明日話せばいいだろう。今は寝せてやりたい。
気の毒にな、と思いながら、オレはざっと台所の片付けをした。今日の晩飯は幸いにも煮物だったから、明日また温めなおして喰えばいい。かえって味がしみて美味いだろ。
寝入ってしまったゾロの隣りに腰掛け、よく寝てんなあ、と思う。
さて困った。
ゾロがスリープに切り替えてくれなかったから、オレは朝までこのままか。
長時間することがない場合は省電力機能が働くので、あまり電力を使わないポーズでゾロが起きるのを待つ。所謂「待ち受け」の状態だ。通常設定の場合、「体育座り」だ。何故初期設定がこのポーズなのかは謎だ。
電気は消してやったほうがいいだろうか。
消したほうがいいだろう。
一旦立ち上がって、パチパチと紐をひっぱって電気を消す。
ふっと辺りは暗闇になった。
そう言えば、こいつが寝てる間こうして起きてるのも滅多にないことだ。普段はスリープにしてから寝るからな、こいつ。そんで、朝は目覚まし機能で起きるから、こいつが起きるのとオレが起きるのはほぼ同時になる。
……と、いうことはこれはチャンスなんじゃないか、と思った。
つまり、その、ナニのサイズを測るための。
ケツの穴のサイズは、そこに突っ込むモンのサイズで選ばなくてはいけない。ついてはゾロのナニのサイズが知りたいが、ケツに突っ込む時には、ナニは勃起しているはずだ。そうじゃなきゃ挿入出来ねえし。
だが、当然のことながらオレはゾロの勃起した陰茎のサイズを知っていたりはしない。
てゆうか、普段の状態だって見たことねえよ。
けど、朝だったら、パンツの上からだけと、ちょっと勃ってるのをちらりと見ることはある。それが男の生理現象であることはきちんとデータにある。
それを、測りゃいいんだ。
明日の朝、コイツが目ェ覚ます前に(そして目覚ましのタイマーが設定された時刻より前に)ちょっと布団めくってギュッと握れば、計測完了だ。
……明日の朝が待ち遠しい。
そもそも、コイツは彼女もいねえのに、マスかくとことか見たことがない。オレのいないとこでやってんのか。風呂とかか。でもこれからはそんなことさせねえで、どんだけオレがテクニシャンか思い知らせてやる。ザマみろってんだ。



そして朝が来た。
オレはゾロの布団に手を突っ込んで、ゆるく芯を持ってるペニスをパンツの上からギュッと握った。
ぐェ……
気色悪ィな。
けど計測の結果、サイズはCだと判明した。「まぐなむ」の次にでかい。ギュッってやったら
「んッ」
とか顰めツラしてゾロが変な声出しやがった。
ゾロが起きねえように、オレはそーっと股間から手を離した。
あと5分ほどでタイマーでセットされた時刻になる。
そしたらオレはゾロを起こすのだ。
「おはようゾロ、8時に起こせって言っただろ」
って、笑顔で。






05/11/13
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