【 聞かせて! 又市さん! 】エピローグ


これで、奴(やつがれ)が先生について知っていることは全部でやす
北林藩で別れてからは、先生と会っちゃいやせん
だから、どうしていなさるかは皆目…
元気でおいでなら、いいんでやすがね

おや、そそくさと筆や紙やら仕舞い込んで、帰り支度でも始めようってのか
奴(やつがれ)から聞き出せることはもう無いと……

待ちなせえ!

聞くだけ聞いて、はいさよならってぇのは、虫が良すぎやしませんかぃ
こっちは、裏稼業のことや、表に出せない心の奥底の秘め事まで話しちまったんだ
お客人だって、ただで帰れるとは思ってやせんでしょ?

ふっ、何を驚いてなさるんで
ここに足を踏み入れた時から、こうなることは決まってたんでさ
知り過ぎるってのは、いいことじゃありやせん
人の心の中を覗き見ようとした、その罪は罪


「っ!!……」



……御行奉為






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まだ、会うことのできない哀しみには堪えられるほどの分かれの時。
百介さんは、これからもずっとずっと、
又市さん、あなたのことばかり想って過ごすんですよ(T□T)///
見守るだけのあなたの辛さも…これからなのです。



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