最遊記
悟浄×三蔵v

小説 欄銘様





―――――――――――――君にTEL――――――――――――――――  
――――――いつ、どこにいてもお前の声が聞きたい
          いつ、どこにいてもお前を確かめたい


「…遅ぇ」
二人部屋なはずの個室で三蔵はため息まじりにつぶやいた。
久々の同室だというのに部屋に荷物をおいたとたん悟浄が部屋をでていってから結構な時間がたってる。
しかもこの同室は悟浄からもちかけてきたものだった。

トンッ
灰皿に新しく灰が落とされる。

悟空達の部屋ともはなれ、部屋には時計の音とときどき三蔵の吸う煙草の灰が落とされる音だけしかなかった。
チッ…
何度目か分からない舌打ちをした時
「ただいま〜!」
静けさを悟浄が場違いな声でやぶった。
ガウンッ
「遅ぇんだよ」
並の人間なら当たっていたろう距離からの発砲をなんとかよけた悟浄が顔をひくつかせながら両手をあげ、降参のポ−ズをとる。
「悪ィ。」
ヒョイと三蔵に小さな赤い包みを投げた。
「?」
これはなんだ、と三蔵は小さく首をかしげながら悟浄を見る。
「あけてみろよ」
優しい笑みをうかべながら悟浄は包みをあごでしゃくった。
ビリッ
「…何だこれは」
包みからでてきたものは…
「携帯。」
光沢の入った四角い黒い携帯電話だった。
「んなの見りゃわかる。なぜこれを俺に渡す?」
「プレゼント。嬉しいだろ?携帯ってさあ、電話だけじゃなくてメールもできるんだぜ?」
にっこりと笑う悟浄へ三蔵は拒否の言葉を返す。
「いらん。返してこ・・・」
しかし三蔵の言葉は悟浄の真剣な表情によってさえぎられた。
「俺さ、不安なわけ。少しでも三蔵がいないのが。だから、いいんじゃない?携帯くらい」
悟浄の本心だった。
ひと時の静寂が部屋を包み紫と赤の視線がからまる。
「・・・もっててやる」
すっとそっぽを向きながら小声でいう三蔵が愛しくて悟浄は優しく抱きしめた。
「サンキュ」
珍しく大人しい三蔵の耳元で小さく悟浄がつぶやいた。 悟浄が部屋に荷物をおいてからすぐに出かけたのは町に入ったときに携帯ショップをみかけたからだった。
三蔵に携帯を渡そうと考えたのは急なことではなく前々からのことで少しの時間でも三蔵を感じていたという気持ち。
だから選ぶのに時間がかかったのだ。
夜になり、いつも先に寝てしまう三蔵を見ながら思う。
白く細い指が自分の贈った携帯で自分へと電話してくる。それだけで悟浄には十分な幸せだった。
…まあ、三蔵からかけてくることは到底ないと思うけどな
先に三蔵が寝てからどれくらいの時間がたっただろうか。
ゆっくりと紫煙をのぼらせながらおもむろにポケットをさぐった。
中からでてきたのは三蔵とまったく同じ携帯。
口元がほころぶのが自分でも分かった。向こうを向いて寝ている三蔵へと目をむける。
「明日かけてみっかな〜」
うかれた悟浄はあることを確かめることを忘れていた。




「ん・・・」
太陽が上のほうからさしこんでくる。そろそろ昼ごろだろうか。
目覚めの一服をするために三蔵はベットの横へと手をのばした。
「?」
しかし手にあたったのはかたい物体。
引き寄せて見ると昨日悟浄から贈られた携帯だった。
パカッ
何気なくひらいてみると
『新着メール1件』
画面にそう出ていた。
「・・・・・・・」
おそらく悟浄からだろう。・・・というより奴しかいない。
そう思いながらも見たいというのが本心で。
メールをひらこうと思った時にやっと気づいた。
「…どうすればいいんだ?」


その頃のんきなゴジョさんは三蔵からの返信を今か今かと待ちわびていた。
自分の携帯の送信箱にはいった三蔵への最初のメール。

――――――Form.悟浄
イイ気分で寝てるから起こさないで出かける。
八戒が食料がキツイから調達のために長めに滞在したいっていってたぜ。
お前も少しは甘えて休めよな。
12時ごろには一回帰るから。
――――――――

何度も打っては消しを繰り返して打ったメール。結局は普通のメールになってしまったが。
それにしても・・・
「メール返ってくるの遅くねえか?」
宿から出てからすぐに送ったから2時間はたっているだろう。
そろそろ太陽が真上にくる時刻だ。三蔵がまだ寝ているとは考えにくかった。
ヒマつぶしに出かけたがもう行くところもない。
「帰っかな〜、愛しの三ちゃんの所へv」
パチンと携帯を閉じて宿へと向かった。







可愛いお話ありがとうございますーーーvvv
またまた可愛い続きもいただいてます!
三蔵さま、へんな所で機械音痴っぽいですよね(笑)
というか世間にうとすぎる!
そういう時に必要なのがヘタレゴジョさんのレクチャーでv
でもわざと自分に有利な違ったこと教えちゃいそうですね(笑)
今回はうれしさのあまり教え忘れてるようですが
次回お楽しみにですv

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