フラガ×クルーゼ
クルーゼ隊長追悼

小説 遊亜様




『神慮』








私の素顔を見た時のおまえの表情が忘れられない
何故、おまえがあんなに辛そうにしていたのだ?
私の背負った宿命の哀しさを、おまえも感じたからなのか?

不幸な宿縁だな、ムウ・ラ・フラガ
私がおまえを感じるように、おまえもまた私を感じて、悲しみまでもその身に引き受けねばならぬのだから

願わくば、もう少しおまえと言葉を交わしたかった
戦いの無いところで
MS越しでは無く、仮面越しでは無く、真っ直ぐに見つめ合って

おまえがこの顔に誰の面影を重ね合わせようとも、今まで生きてきた人生は私のものだ
それを恥じたり悔いたりはしていない
そのことを、おまえに伝えておきたかった

なのに……
勝手に先に逝くな……

世界は歌のように優しくは無い
………が
ムウ、おまえが先に足を踏み入れたそちらはどうなのだろう?
こんな私でも、腕(かいな)を広げて受け入れてくれるだろうか?

「っ!……」

コックピットがやられた
もう操縦不能だ
私の役目もそろそろ終わりらしい
キラ君が突進して来る
これから先の世界は、彼らの世代に託そう

「あ……」

不思議だ
痛みは無い
畏れも無い
私を包み込むのは、ただ満足感のみ
何も遺せないこんな身体でも、この世界に生きてきた証を刻み付けることができたと信じて

「ああ………っ」

ムウ、待っていてくれ
私もすぐにそちらへ行く

次は、静かに過ごしたいものだな
おまえも望むのならば、共に……
許されるなら、ずっと………











スペシャルエディションDVD3巻記念
隊長がフラガ機の残骸を見た時
はっとした、あの瞬間
様々な想いがあったはずなのに
本編では流されてしまって…
今は、彼の想いをゆっくり噛み締めて…///
素敵な作品ありがとうございました///


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