「嫉妬…されちゃいますね」
「誰にだい?」
「おわかりでしょう?アスランと、イザークにですよ」
「…そして私はまたそのために、ディアッカに嫉妬されるんだろうな」
「何かありましたか?ディアッカと」
「大したことではないよ。子供の遊びに付き合っただけだ」
「子供の遊び…ですか」
「……」
「…覚えておいて下さい。貴方にとって、これが遊びでも、僕は絶対に…」
「愛してもいない人を抱いたりは…しませんから」
「…肝にめいじておこう」
美しく、白いしとねに横たわる人へ。
まばゆくばかりの金糸を指に絡めながら、僕は思う。
このまま、ずっとこうしていられたらと。
時が止まってしまえば、貴方は永遠に僕のもの。たとえ心はここになくとも。貴方はここにいるから。
それだけで…それだけで…。
「どうして僕に抱かれるんですか?」
彼の白い首筋に唇を寄せながら、そう囁いてみる。すると貴方はため息をつく。
「…何回目だ?ニコル…毎回聞くだろう?いい加減…聞きあきたぞ。その質問は」
そう、もう何度目かのこの質問。でも彼はいつも答えをくれない。何も、見せてはくれないんだ。
「怒らないで下さい。そうですね…僕も少し言い飽きましたよ」
「じゃあ、言わなければいい。本気でそう思うのなら」
彼はそう言いながら、僕の指に自分の指を絡めてくる。焦れている合図だ。
彼の身体は快楽に弱いから。
焦らされるのは、好きではないようで。
でも言葉にするには恥ずかしいのか、いつもこうやって合図をしてくれる。
「意地悪ですね」
彼のモノに指を絡めながら、それでも僕は言葉を続ける。
「何の…事だ…っ…あっ…」
「わかりませんか?」
「…はぁっ…っ」
耳元から首筋にかけて、丹念に愛撫をほどこした。彼の肩が小刻みに震えるのがわかる。本当に…感じやすい身体。
でもわかっている。それが僕のためじゃないこと。わかっているから…息苦しい。
「こうやって聞いていればいつか、貴方の胸の内にあるもの…。いつか話したくなるかも、しれないじゃないですか」
そう、貴方の心を捕らえて離さない人の事。
「秘密主義の…貴方の事を」
だから聞かずにはいられない。なぜ僕に抱かれるのかと。
貴方には子供の遊びかもしれないけど、僕は…僕は本気で…貴方を…。
「貴方が真意を話してくれるなら、それが僕にとって辛い答えでも構わない」
それでも本当の貴方を知りたいから。
「…かわってるな」
「そうかもしれません。でも、貴方も十分かわっていますよ」
「そうかもしれないな…肝にめいじておこう」
貴方に恋した僕は不幸かもしれない。けど辛くても辛くても、貴方が好きだから。
僕は貴方を幸せには出来ないけど、こうやって貴方を愛することくらいしか、出来ないけど。
どうか貴方に安静が、たった1人の人との確かな時間が…訪れるように、戦おうと思う。
全ては僕の愛した、世界で一番ズルイ人のために。
願わくば神よ。
この美しい人に。
幸せな時間を。空間を。
END