フラガ&クルーゼ
小説 上条結月様

MISERY  









何もかも汚い。

何もかも醜い。

欲望の中から生まれた赤子。

薄汚れた、血にまみれたカラダ。

死に蝕まれゆく己を憂い、苦しみを吐き出し助けを求めても…誰にも聞こえなかった。

何もかも、遠くて届かない。

お前さえ…何も。


あの日まだ幼かったお前と私。
私が静かに近づいてゆくと、お前は振り返り私を見た。
その蒼い瞳に不思議そうな色を宿して。

そう…何も知らない無垢な子供の目で。
この汚れきった私を。

私はお前に会う前からずっと、お前を憎んでいたよ。

この世界と同様に。






大切な人がいるだろう。
守りたいモノがたくさん。

愛してくれる人がいるだろう。
心の底から真に。


私を止めたいか?
お前の全てを奪おうとする私を。壊そうとする私を。





憎しみの連鎖はとめようが無い。
争いで流れる血も。失われる命も。

足掻いても足掻いても、人は憎みあい殺しあう。

それはいつの時代も法則。人が人であるゆえの。

それに抗うのか…?

愚かな人であるお前が?

お前だって、私が憎かったくせに。殺したかったくせに。

所詮人は人。

お前も。

私も。


それを断ち切ることなく死んでゆくのだ。











それでもまだ抗うというのなら。

その翼で私を祝福に来い。



私だけの死神。






END





隊長とフラガ
彼がフラガに向けていた憎しみも
そしてあったはずの違った想いも
隊長にもっと語らせてあげたかったです
フラガに、直接、熱の伝わる距離で…。
素敵な作品をいただけて感謝していますv

←ガンダムSEED目次へ

←SHURAN目次へ