何もかも汚い。
何もかも醜い。
欲望の中から生まれた赤子。
薄汚れた、血にまみれたカラダ。
死に蝕まれゆく己を憂い、苦しみを吐き出し助けを求めても…誰にも聞こえなかった。
何もかも、遠くて届かない。
お前さえ…何も。
あの日まだ幼かったお前と私。
私が静かに近づいてゆくと、お前は振り返り私を見た。
その蒼い瞳に不思議そうな色を宿して。
そう…何も知らない無垢な子供の目で。
この汚れきった私を。
私はお前に会う前からずっと、お前を憎んでいたよ。
この世界と同様に。
大切な人がいるだろう。
守りたいモノがたくさん。
愛してくれる人がいるだろう。
心の底から真に。
私を止めたいか?
お前の全てを奪おうとする私を。壊そうとする私を。
憎しみの連鎖はとめようが無い。
争いで流れる血も。失われる命も。
足掻いても足掻いても、人は憎みあい殺しあう。
それはいつの時代も法則。人が人であるゆえの。
それに抗うのか…?
愚かな人であるお前が?
お前だって、私が憎かったくせに。殺したかったくせに。
所詮人は人。
お前も。
私も。
それを断ち切ることなく死んでゆくのだ。
それでもまだ抗うというのなら。
その翼で私を祝福に来い。
私だけの死神。
END