追悼アデス×クルーゼ
 

小説 灯呂様

[ 追悼 ]





鳴り響くアラート。叫ぶクルー。

数分もすればきっと耳に届かなくなるだろうことは容易に理解できた。
こんな時に冷静な自分に、思わず苦笑が漏れる。
貴方の無茶な戦い方に、慣れてしまったからでしょうか。

ねぇ、隊長。きっと貴方も冷静なんでしょうね。

でも少しだけでいい 泣いてくれませんか


貴方が出撃するたび、同じ言葉を口にした。
「隊長自らですか?」
行って欲しくなかったから、無駄だと判っていてもそう言った。
戦闘に出るより、艦にいた方が死ぬ確率は少ない。
だが本当の理由はもう一つ。

死ぬ時は貴方と一緒が良かった

砂漠の虎、バルトフェルド隊長はラゴゥ爆発の間際に抱き合った恋人にその身を救わ
れたという。
私は貴方を救いたいとは思えませんが、貴方と触れ合って最期を迎えたいとは思う。
モビルスーツの爆発と艦の爆発では比べ物にならない。二人とも死ぬだろうから。

最期くらい、みんなに見せ付けてやってもいいんじゃないですか?
深い深いキスをして。今までにないくらい唇を貪って。
最期の最期に貴方の首筋に紅く、たった一つの小さな花を咲かせる。
それだけできたらどれだけ幸せだったか。

今となっては叶わぬ望み


もう今更伝えることなどありません。
愛してるの言葉もたくさん告げた。どれだけ愛してるかも示した。
貴方からもたくさんの想いを受け取った。

あぁ、幸せでしたね。

とてもたくさん幸せでした。

貴方の肌に手を這わせ、貴方の唇に己のそれを重ね、貴方は全てを受け止めた。

貴方と 愛し合えた



貴方はとても弱い人でしたね。
自分を強く見せるため、本心を隠し続けて、己を壊してしまいそうでした。
私の前でたくさん泣いてくれました。全て曝け出してくれました。

私の死を知って以外で、もう泣かないで下さいよ?
私以外の誰にも慰めさせないで下さい。
その涙を見れたのは私だけのはずだから。




艦がそろそろ限界を告げる。
ほとんどのクルーが覚悟を決め、先程まで騒がしかった艦内は静まり返り、アラート
だけが響く。
貴方は傍にいないけど、貴方とほとんどの時間を過ごしたこの艦がその代わりと思い
ます。

座っていた腰を上げ、心の中で隊長に向かって最後の敬礼を向ける。


--------また酒の席に誘って下さいね 隊長






うううう(T□T)
爆発音や危険を知らせるアラームが、耳鳴りのように頭に響いてきました…
アデスの最後の言葉があああ〜(T◇T)
うっうっうっ…
たくさん泣いて、泣き終わったら
次に向かって歩いていかなければですね
素敵な小説を本当にありがとうございました(∋_∈)///

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