『自覚』後編




私の中でされるがままにする彼は、普段の彼からはとてもじゃないが想像できない。

誰にも心や身体を許さない、そんな風に見える彼だから。

「あ・・・アデス・・・ッ」

彼のモノにゆっくり触れる、それだけなのに彼は敏感に反応してくれた。

初めて・・・なのだろうか、そうには見えないが・・・。



彼の噂には信じられないものが多い。

あの歳で隊長になったのは身体のせいだとか、評議会の連中の床の世話をしているだ
とか。

プライドの高い彼が、そんなことをすると思うか?

そんなことで地位を固めるくらいなら、一生二等兵で構わない。彼はそんな男だ。



「隊長・・・」

彼を安心させようと、名を呼び頬に触れ徐々にキスを上半身から下半身へ。

キスをしながら、頬に触れていた指を彼の蕾へ埋めていく。

手で扱かれていただけの彼の身体は物足りなさを感じているのか、彼は私の名を呼び
急かしていた。

「アデス・・・ッ、早く・・・!」

焦らすか焦らさないか、私の中で素早く二択が迫られた。

だが、私もいい加減限界が近付いている。

「ん・・・あぁ・・・ッ!!」

無理に急いで慣らした場所から一気に指を引き抜くと、彼からは甘く濡れた声が漏れた。

「・・・力、抜いてて下さいね」

そう告げ終わるか終わらないかのうちに、私は彼の中に自分の猛ったモノを突き入れた。

「・・・つッ!」

やはり多少痛みを感じているらしい彼は、小さく悲痛な声をあげて私を迎える。

だが私自身、彼の締め付けには痛みを覚えていた。

「・・・ッ、ゆっくり息吐いて・・・力を抜いて下さい・・・ッ」

「んぁ・・・はッ・・・あぁ・・!」

彼の身体から少し力が抜け、それに気付いた私は静かに腰を動かし始める。

出し入れするたびに彼の口からは無意識にか甘い声が漏れ出る。

「ふ・・・あぁ、あっ!!」

目には透明な涙を溜め、声を堪えることすら忘れて彼はひたすら喘ぎ続けた。

その彼の様子を見て我慢の限界に達した私は、彼を気遣い激しく動かしていなかった
腰を次第に速くする。

「・・・ッ!!ぁ・・はぁっ、あぁ!!」

「く・・・ッ、隊長・・・!」

ほぼ同時に果てた私達は、ゆっくりとそのままベッドに項垂れ、彼は完全に意識を失っていた。







朝、目覚めると彼はまだ隣で眠っていた。

仮面を付けたまま行為に及んだため、今になっても彼は仮面を付けていた。

・・・どんな顔をしているんだろうか。

彼の美しい金髪に触れ、いつかは素顔を見せてくれるだろうかと考える。

すると彼は静かに目を開け、きょろきょろと周りを見渡した。

寝惚けているわけでもなさそうだが、彼はこの状況を理解していないように見える。

裸の自分と私、乱れたベッド、脱ぎ散らかされた軍服とバスローブ、それに加えて腰の痛み。

これだけ揃えば何が起こったのかということは容易く想像できる。

「あの、隊長・・・おはようござ・・」

言いながら彼に手を伸ばすと、彼はベッドの上で後ずさり、突然私を拒絶した。

「来るな・・・」


呼吸が 止まったような気がした

何故突然そんなことを・・・?何故ですか・・・?そう聞きたくても聞けなかった、
答えを聞きたくない。

「私は・・・お前とこういう関係になりたくはなかったのに・・・やはり、酔っていたようだな・・・酒など呑むんじゃなかった・・・」

更に追い打ちをかけるように、彼は呟く。

知らず知らずのうちに鼓動が速くなってゆく。

誰か助けてくれ、鼓動が速過ぎて・・・耐えられない。

「だったら・・・・何故・・・」

やっとのことで搾り出せた言葉、それはとても掠れていて、彼に届くかどうかも判らない。

「お前を・・・愛してるからに、決まってるだろう・・・」

耳を疑うことしか出来ない、彼の言葉があまりにも矛盾していたから。

「どうして気付いてしまったんだ・・・この気持ちに。自覚しなければ・・・良かった・・・」

それは、私にとって最上級の告白だということを、きっと貴方は知らない。



「私もお前も軍人だ、いつ死ぬか判らない戦場の中に身を置いている」

突然語り始めた彼の声は、少し涙ぐんでいるようにも聞こえる。

「お前が死ねば、私が辛い・・・そして、こういう関係になってしまえばお前への想いは増えるだけだ」

私はお前を失いたくない、彼は静かにそう言ってくれた。

「お前は知っているか?遺された者の苦しみを・・・お前にそんな想いはさせたくないんだ・・・」

彼はその痛みを知っているから。

「遺された者の地獄は、一生続く・・・死ぬまで自分を責め続けることがどれほど辛いか、知っているか!?」

彼は未だその地獄の真っ只中で生きているのだろう。

「もうこんな想いはしたくない、させたくない・・・だからお前とも・・・」

彼の言葉はそこで途切れた。

こんな時でも涙を流すことのない彼を、強いと思えない。

泣けなくなってしまった彼が、とても辛く見える。



「大丈夫です、隊長・・・」

優しく彼を呼ぶと、彼はすっと顔を上げ私を見た。

「貴方も私も、そんな想いはしない。貴方が死ぬ時は、私が死ぬ時ですから」

貴方が死ねば、私は後を追うだろう。

貴方に突き放されただけで、鼓動がおかしくなってしまう私には、貴方なしでは生きれない。

「お前が死んだら、私が後を追えばいいのか?」

「えぇ、そしたらあの世で一緒です」

「・・・そうか、そうだな」

すると彼はいつもの微笑みで私を見た。

大丈夫、私の知ってる「ラウ・ル・クルーゼ」だ。



「・・・完全に迷いが吹っ切れたわけでもない、いつ恐怖に負けるとも判らん・・・
だが・・・」

「だが?」

「もう、後戻りはできない。ということだけは判ったよ。お前は私を離さない、
そうだろう?」

・・・あぁ、もう。本当に貴方には敵わない。


何があっても離しません どこまでもお供致しますよ





小説  灯呂 様


クルーゼ隊長の誘い受けが!色っぽいです〜(〃∇〃)
アデスの実直振りにドキドキしてしまいました///
隊長の甘えっぷりも可愛いです///(〃T∇T〃)!
お酒で酔ってる隊長が!もうアデスでなくても押し倒します(笑)
いや、アデスは我慢の人なのですが、真面目一直線な男も、こんな色っぽい隊長を前にしたら、絶対落ちます!
素敵な隊長をありがとうございました(*^∇^*) 
そしてこのお話にはまたまた甘いオマケ付きですv『禁止』って何を禁止?フフフ
///灯呂さんのフラガ×クルーゼも近日アップさせていただいちゃいます!お楽しみに(*^∇^*)

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