『 GAME,Start? 』
小説 遊亜 様
「何だ、今夜は月が綺麗だな」
「・・・それ、さっき僕が言ったんですけどね・・・」
「・・・・・・」
ちらりと八戒に目をやった三蔵は、読んでいた新聞をテーブルへ投げると体ごと窓へと向き、
憮然とした顔を頬杖で支えた。
再び、静かに流れる時。
しかし、八戒は今度はそれほど間を置かず、つと立ちあがってドアのそばまで行くと、
ぱちんと照明のスイッチを切った。
暗くなった部屋に、月明りが溢れるように差し込んでくる。
「今宵の月は、この方が愉しめるでしょう」
「そうだな」
言いながら、三蔵はふうっとひとつ息を吐く。
「・・・見事なまでに綺麗だな」
「貴方も綺麗ですよ、三蔵」
椅子まで戻ってきた八戒の口元には、いつもとは違う微笑みが浮かんでいた。
「そうやって月の光を浴びている貴方は美しい」
「・・・それっぽっちのブランデーで酔ったのか?」
月を見たまま、三蔵が問いかける。
「いいえ、酔ったと言うなら、貴方に・・・それとも、この月に・・・」
「ふんっ・・・・・・・・・、で?」
「はい?」
三蔵はテーブルの向こうにいる八戒の表情を読み取ろうとしてみたが、
顔の半分は影になってしまっているせいか、うまくいかなかった。
しばし、見つめ合う格好の二人。
「あー、気にしないでください。僕は今、自分の趣味を満喫しているだけですから」
「はあ?」
「誰にも邪魔されず、貴方を独占すること」
「・・・?!」
「僕の目には貴方だけが映っている。そして、貴方の瞳にも、今は僕だけが・・・」
一瞬、八戒の見えないはずの右目がきらりと光ったような気がした。
三蔵は息苦しさを感じていた。
・・・こいつは、何を求めている・・・?
「・・・見ているだけでいいのか?」
つい、出てしまった言葉。
「それ以上を望んでもいいんですか?」
八戒の微笑みが深くなった。
ぞくり・・・
三蔵は、体が奮えたように感じた。
が、自分の中で起こった己の理解を超えた衝動が飛び出していかないように、努めて平静を装う。
「命が惜しくねーならな」
無意識に、懐に忍ばせていた手がぴくりと動いた。
「やめておきましょう、まだ先は長いですから」
それに、と八戒は月を見ながら続ける。
「今日の月も素晴らしいですが、満月は明日なんですよ」
八戒は、うーんとゆっくり伸びをした。
「明日はお団子でも用意して、みんなでお月見しましょうね」
「・・・あいつらに風流が理解できるのか?」
「あはははは、やだなあホントのこと言っちゃ」
朗らかに笑った八戒は、三蔵がいつも見ている彼だった。
「楽しければいいんですよ。・・・でも、あの二人が一緒だと賑やかすぎて、
僕達も月を眺めるどころではないかもしれませんね〜」
その分、今夜は思う存分見ておかないと。
そう言った八戒の眼差しは、再び三蔵に向けられていた。
「・・・勝手にしろ・・・」
見られるくらい何だというのだ、減るもんじゃねーし。
開き直った三蔵は、自分に向かう視線を特に意識しないようにし、いつも通りに振る舞うことにした。
しかし。
今までとは何かが違っていた。
何かが、始まった気がした。
八戒は、「先は長い」と言った。
“その時”が来れば、何がどうなるというのか。
始まったものはやがて終わりを迎える。
そこに待っているのは・・・?
でも、今は・・・。
「三蔵、コーヒーのお代わりは?」
「ああ」
*
心の底に隠し持っているのは、純粋で淫らな欲望?
それとも、剥き出しのままの野望?
本音を吐いてしまえば、そこにあるのは・・・多分、愛情。
想いが叶うならば・・・きっと最高・・・・・・。
けれど今は、まだ・・・。
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最遊記のヴォーカルアルバムVol.1を聞かれた方にはたまらない八戒×三蔵です(#^o^#)!
あのドラマの後が、こーーーんな素敵なことになっていたなんて〜!!
臆面も無く、三蔵を賞賛する八戒もステキですが、
三蔵の反応も三蔵らしくて可愛いです〜///
三蔵さまの歌で『GAME』って、歌詞がめちゃめちゃエロいんですよね(∋_∈)
けれど今はまだ…ってことで、続編とかもお待ちしてます!
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