綺麗な彼を可愛いと思う。
そんな彼を見ることが出来るのは私だけだ。
それだけで十分だった。

「…アデス」
「はい」
「…キスがしたい。側へ」
「喜んで」

私はテーブルを回り、彼の側へ。

彼はゆっくりと立ち上がり、その瞬間に私が口づけて抱きしめた。
もう、愛は抑えない。抑えられない。

舌を絡ませ、息を混じらせて。
背中に回した手は次第に動かして。
右手は彼の金髪の中に潜らせ、左手はその細腰を撫でる。
時折、彼の身体がビクッと震え、耐えるように私の軍服を強く掴む。

「っはぁ…っあ…ふ…っ」

どれほど、口づけていただろう。
しばらくして唇を離して、彼の唇から漏れる甘い声を聞きながら、今度は彼の耳元に唇を寄せた。

「こんな時でこんな所ですが…構いませんか?」
きっと、彼は何のことだろうとは思わなかっただろう。
苦しげに息をする合間に答えてくれた。

「別に…いつだろうと、どこだろうと…構いやしないさ…」
「感謝します」

本当にもう私は限界だった。

もう一度、口づけながら私は彼の上着の前を開いて、手を止めた。
「…何で中に何も着てないんですか」
「…着るものなのか?」
「…まぁ、構いませんが。今は」
不意な順序で現れた彼の素肌は予想以上に白く、細い。
二つの突起は雪に隠れたナナカマドのようでひどく美しい。
私は彼の首筋にキスを移して、その赤に右手を移した。
「っあぅ…っ」
途端、彼は今までにない声で啼き、身体を震わせた。
が、私は止まらなかった。いや、”だから”と言うべきか。

「ア…デス…ッ」
「側におりますよ…ほら」
私は身体を屈めて彼の赤に口づける。そして、そこにも激しい口づけを。
「っは…うっ」

彼はもう私にしがみつくようにして立っているのがやっとだった。
力を失った彼の細い手が私の腕を掴んで、やんわりと制止を訴えた。
私はとりあえず、それに素直に従った。
「止めますか?」
「…座ら…せろ…っも…立ってら…ない…」
絶え絶えな声での命令に私は従い、彼を支えたまま椅子に降ろした。
誘うように投げ出された身体と、いつもに増して艶っぽい表情。じっと見つめる私に彼は気付いたのだろう。
「…構わないと言っただろう?来い、アデス」
「…はっ」

私は彼の前に跪いて、ゆっくりと彼のブーツを脱がせる。
焦らされているのはお互い様で。
彼は足に触れる私を布越しに感じては眉をひそめて反応を押し殺す。
私はその彼を感じる度に愛おしさを募らせた。

部屋の中はひどく静かで、お互いの息づかいしか聞こえなくて。私は焦ったように随分と荒々しく、彼の下部を覆う布を取り払った。
上着を羽織ったままというのが余計に色っぽい。
そんなことを思っていたら、突如、彼の手に胸ぐらを掴まれ、引き寄せられてキスをされた。
「…あまり、見るな…」
そう、甘い声が耳元で囁いた。

貴方は今、どんな顔をしてるのだろう?
私は椅子に乗りかかりながら、彼の肩口に顔を埋め、右手を彼の首から徐々に下へと下げていった。
「…続けますよ?」
そう言って、彼が小さく頷くのを確認してから私は彼の欲望を右手で柔らかく包んだ。

「っあ…あぁ…」
私はとても近くで彼の漏らす声を聞いていた。
それは身体中に響き渡り、私を煽る。
私の欲望は既に張り裂けそうになっていた。
そして、右手を更に進ませ、私は早急に彼の中に入ろうとしていた。
「っい…つぁ…っ」
彼が悲痛な声を上げたので思わず、手を止める。
私の武骨な手を受け入れるには彼は繊細すぎた。

「か…まうな…続け、ろ…」
そうは言われても、彼を無闇に傷つけるつもりはない。
私はふと、尻目に紅茶用のミルクを見つけ、それに手を伸ばした。
「…それで濡らすつもりか?」
「何もないよりはマシでしょう?少し我慢して下さい」
「当分、ミルクティーは飲めなくなりそうだな…」

彼の苦笑を見届けてから口づけて、再び彼の中に指を忍び込ませた。
「っく…冷た…んん…っ」
椅子から滑り落ちそうになる彼を身体とキスで繋ぎ止める。
彼の中に入り込んだ指はもう根本まで入り、私は中を探るように指を動かした。
「っあ、あああぁ…っ」
途中、彼の最も感じる箇所を触れたのだろう。
彼は叫び声にも近い声を上げ、首をのけ反らせた。
この時、私には誰か来たら、等と考える余裕はなく、しきりにそこを攻めた。

荒くなる息。

紅潮する肌。

漏れ出す声。

全てがとんでもなく愛おしかった。

「はぁ…あぁ…あ、アデス…も…いいか、ら…」
「…はい、私も…限界です」
私はズボンのジッパーを降ろして、大きくなった欲望を彼に突きつけた。
彼の足を支えながら、椅子に全体重をかけて、彼を貫く。
彼の痛みはもう声にならなかったのか、ただ、ひたすら耐えるように私をきつく抱きしめていた。
「っ…はぁ…は…ん…」
次第に彼が甘い声を漏らす。
私も彼の痛みを和らげようと、至る所に口づけを繰り返していた。
「…動いて、大丈夫ですか?」
「ん…」
私がゆっくりと腰を動かすだけで彼の身体は跳ね上がりそうなほどに反応する。

今は。

今だけは彼は私だけのものなのだ。
そう思うと、身体はどんどんと熱くなる。
「あ、あっ…アデ、ス…ッ」
「クルーゼ…隊長…っっ」
私は彼の中で、彼は私の胸の中で、同時に果てた。







意識を飛ばした彼が再び、目覚めたのは30分ほど経ってからだ。
私はハンカチを水で濡らして彼の身体を軽く拭き、身なりを整えて、彼の目覚めを待っていた。

再び、向き合って座り、眠る彼を見つめていると、とんでもない幸福感に襲われる。
そのことに心を奪われ、彼の意識が戻ったことに気付くのが遅れた。
「…何を笑っている?」

突如、彼の唇が動き、漏れだした低く甘い声に急速に心を持って行かれる。
私は思わず、右手で自分の口元を隠した。
「…笑ってましたか?」
「ああ…アデス、何時だ?」
私が笑っている理由を彼が突き詰めなかったのはきっと、分かっているから。
彼と共にいる幸福感から笑顔が零れたこと。

私は右手を外して、懐中時計を取り出しながら素直に笑って見せた。
「今…3時過ぎですね」
「行くか。アスランを待たせ過ぎたな」
「…大丈夫ですか?」
先に立ち上がった彼を私は少し心配を込めて、見つめる。
彼は強気に笑い流した。
「大丈夫じゃないと言ったら船まで抱きかかえて行くのか?」
「お許し頂けるなら」
私の返答が意外だったのか、彼は一瞬押し黙って苦笑を漏らした。
「そんなヤワじゃないさ。行くぞ、アデス」
「はい」




そうして、私達は部屋を出て行く。
二人きりで過ごした、この部屋を。
貴方の香りを残すことすら悔やまれてならない。
独占欲は一層強まり、嫉妬心は更に燃え上がる。

店を出る最後、支配人に向けた儀礼的な笑みさえ奪いたい。
私はこんなに激しい男だったのかと自分で驚いていた。
その私に貴方は笑ってくれるから。

密かに甘さを含んだ声で名を呼んでくれるから。
私は、見たこともない永遠を願っていた。

「…ヤワじゃないなら今夜、もう一度、大丈夫ですか?」
「…殺す気か?」


END

小説吉野さま



はうううーー(*^▽^*)クルーゼ隊長の殺し文句に、マジ殺されまくりです!
色っぽいですーーーー(≧∇≦)何かコーヒーのミルク見る度にこれから色々妄想してしまいそうなんですが(笑)
読んでるオレはすっかりアデス艦長の気持ちに…(照)
アデスは誠実で頼りがいがあって、吉野さん曰く『森のくまさん(笑)』的キャラ
ですが、いわゆる、番犬…つまり『ポチ』なんですよね。犬は当然攻めです。
その中でもポチは受け臭い攻めとしてすごく好みです(笑)吉野さんのアデス可愛いです///ポチ攻め。

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