気づいてくれた…僕に。この人だけ。
誰も僕がわからなかったのに、彼だけが。
それ以来彼が気になって気になって。そして僕も気づいた。彼を愛してしまったことに。
異界の月の神秘的な光が、暗い部屋に差し込んでいる。ここはシドの自室。
数々の機器を発明する彼は、発明に専念できるように、というコモディーンの最中心人物であるナーヴの配慮があって、こうして1人部屋があたえられているのだ。
けど、最近は1人じゃない日が多い。夜に限っての話ではあるが、最近の彼の部屋には、もう1人いる事が多いのだ。
「ん…ぁっ…か…ぜ」
白いベットのスプリングが軋む音が、部屋に響いている。そしてそれに呼応するように、紡がれる悩ましげな喘ぎ声。
「はぁっ…んぁ…ぁ」
この部屋の主シドは、毎夜のように彼と身体を重ねていた。馴れ初めといえばいいのか、2人の始まりもこんな月の夜だった。
その日は何故か眠れずに、いつものようにジェーンの軌道を確かめに行った。自動運転にしてあったために甲板には誰もいない…はずだった。そこには壁にもたれて座る1人の男が
いた。黒いマントの男。カエルにされた自分に唯1人気づいた人が…。
その時に、2人きりになったりしなければ。
自分の心に宿ったこの気持ちを伝えていなければ、この人と自分がこうゆう関係になる…なんてことはなかっただろう。
全ては、その時から始まったのだ。
愛するジェーンの甲板の床で、身体を重ねたその夜から。
「あ…っ…んぁ…っ」
敏感な部分を舌先で撫でられて身体が震える。なぞる様にそっと肌を巡る指や舌に翻弄されて、いつも何も考えられなくさせられてしまう。
「んぁ…ん…っ…」
感じて感じて意識を失うと、彼はもうそこにはいなくて、
でも身体に負担をかけないように、後始末はいつもちゃんとしてあるのだ。そんなところにも、彼の優しさを感じてしまう自分がいる。そう…基本的に優しい人なのだ。彼自身は…どう思っているかはわからないけれど。
「も…っ…ダメっ…あ…んぁ…っ…」
いつまでも決定的な刺激を与えない相手に抗議するように、首に回している手の力を強める。焦らされているような気がするのは気のせいだろうか。
「んん…っん…」
これが返事の代わりなのか。唇を強く吸われた。
舌を絡めて丹念に濡らされて、卑猥な水音が部屋に響く。
「ん…ふ…ぅん…っ」
口づけを続けた状態から、手のひらを下へと移動させたのがわかる。そしてすぐその後に、後ろの双丘の間に軽い痛みが走った。
「あ…つ…っ…ん…」
指が入ってくる、はっきりとした質感を感じる。いつもは銃のトリガーにかけられている逞しい指を自分の中に感じて、身体の震えが止まらない。
「あ…かぜ…っ…はぁ…ぁ…んっ…」
中をかき回されて、指先に愛撫される。すがりつくように相手を掴んでいた手に力をこめると、こめかみに湿った唇を感じた。
「んぁ…っ…」
その瞬間。さんざん中で動き回っていた指が外に出ていった。その微かな解放感の後、指なんかとは比べものにならない質量を、後ろに感じる。
「くっ…あ…っ…」
熱い…
苦しいほどの熱量…
それが体内を侵す。
「ああ!…ん…はぁ…っ…ぁ…」
ゆっくりと律動を繰り返す熱。その間の身体の浮遊感。いつもそれがたまらない気持ちにさせる。まるでこのままどこかに行ってしまいそうな…。
「あ…んっ…んん…」
異次元へと導いていくような、強い腕。一見細く見えても鋼のように強い、身体。
お願いだから…ここにつなぎ止めて。
「はぁ…っん…ぁん…ああ…ぅ…」
ふと、白い褥に僕の身体を縫いつけている、彼の腕に力がこもる。繰り返される動きに、リズムの変化を感じて。彼の絶頂を知る。
「んっ…あ…風…っ…あ!…はぁ…んっ」
体内の熱をもって、最高天まで追い上げる彼のリズムに、四肢がバラバラになりそうだ。
「あ…ぅぅん…っん…はぁっ…んん…」
今にも何かに飲み込まれるような、そんな感覚を覚えて彼の瞳にすがる。
そのいつも澄んだ琥珀色に、僕が映っている。
「あ!…っああ…!」
僕の中で、彼の熱が弾けるのを感じた…。その熱いモノが僕の体内の一部になっていく。
溶かされるような感覚。
もう…
そしてそのままだんだんと意識が遠のいて…
目覚めた時僕は1人。
真新しいシーツの上に、キレイに処理された身体。
温もりくらい…残していってもいいのに…
彼はまたいつもの様に甲板で、1人座っているのだろうか…。
END
うわーーー//色っぽいシド受けです〜vvv!!
本編では、なかなか良い攻めがいないなあ…と思っていたのですが
こうして読ませていただくと、風×シドって色ぽくて良いです(〃∇〃)
流石結月さんです〜!!
夜のジェーンで二人きり//風は何考えてるか分からない所が
素敵キャラさんでv シドも恩情に流される感じが大人的v
カッコいい小説ありがとうございましたv