世紀末ダーリン
猛×等々力耕平小説

小説
吉野さま


『可愛いヒト』



俺がおかしいのかな。

だって、耕平がおかしいんだ。

俺だっておかしくなっちまうよ。

耕平が…可愛い、なんて。



最近、耕平は…何というか、可愛いというか、艶っぽくなった気がする。

前は本当に格好良くて、面白くて、時々、情けなくて…それでも、とにかく格好良かった。

そりゃ、今だって格好いいけど、時折見せる憂い顔が妙に色っぽくて。

俺は妙な気分になっちまうんだ。

「なぁー、耕平、何かあったのか?」

憂い顔の理由が気になって、耕平の部屋で尋ねてみる。

耕平はキョトンとした顔で俺を見つめ返してきて。

ああ、もう、それが可愛いんだってばっ。

「どうして?」

「だって…何か、最近、元気ない顔すっからさ…」

「………」

「耕平?」

「…っかー!!俺は嬉しいぞっ、猛!そんなに俺のことを見ていてくれるなんてっっ」

ついでに”可愛いなぁ、猛はっ”なんて付け足されて抱きしめられながら、耕平のが可愛いなんて言ったら

どんな反応するのかな、なんてことを思った。

耕平はゆっくり俺から離れると、とても穏やかな笑顔で俺を真っ直ぐ見つめた。

「ありがとな、猛。あと…心配かけたみたいで、ごめんな」

「し、心配なんか…」

「猛、もうすぐ卒業だろう?」

「?う、うん」

「そしたら、今みたいに学校で会えたりはしないんだなぁ、って思ったらちょっと淋しくなってな。顔に出てたか」

俺もまだまだだな、なんて言いながら苦笑する耕平がどうしようもなく愛おしかった。

俺だって耕平の側にいたい。

一秒だって離れたくない。

離したく、ない。

「耕平…」

「ん?」

「…卒業くらいで俺達は変わんないよ。もっと、良い方向に行けるかもしれないし」

「た、ける…?」

言いながら、俺は耕平の身体を床に押し倒しながらキスをした。

きっと、初めて、お互いに目を開いたままのキスだった。

「ん…た、猛…ちょっ…待て、お前…これ、変…だろっ」

「どこが?」

「ど、どこがって…」

動揺しながら抵抗してくる耕平を見下ろす。

俺もドキドキしてるけど、きっと、耕平もそうなんだよな。

ああ、北海道の夜を思い出しちまうよ。

心臓が壊れそうなほど、ドキドキしてた。

けれど、とてつもなく幸せだった。

あの、暖かな朝を覚えてる。

今も愛おしくて堪らないんだ。

「猛?」

「…俺…俺だって耕平をもっと愛したいし、幸せにしたいし、守ってだってやりたい!!」

「猛…」

「だめ…なのかよ…?」

ガキの我が儘なのか?俺の思い上がりなのか?

俺の想いはお前を困らせるだけなのか?

「…だめなわけ、ないだろ」

耕平は腕を伸ばして、そっと俺の頭を撫でてくれた。

子供扱いじゃない、と判るのはその手が僅かに震えていたから。

「耕平…」

「俺は全部、お前のもんだよ…」

「耕平もちょっとは怖い…?」

「…少し、な…。ちょっと…どうしていいか、分からない…」

「そんなの、俺だって。でも、耕平がしてくれるみたいに優しくするから…」

「じゃあ、俺は猛みたいに可愛くしてないとな」

「大丈夫、耕平は可愛いよ…」

「猛も…いい男になったもんだ」

頭を撫でてくれていた耕平の手がゆっくりと俺の頭を抱き寄せて、キスを促す。

今度は瞳を閉じて、甘い口づけを。

それから、初めて、耕平を俺が抱く。

初めて耕平を上から見下ろして。

耕平が漏らす声はとんでもなく甘く、響く。

いつの間に俺の身長は耕平に追いついていたんだろう。

切なげな顔は次第に艶を見せて、俺を挑発してるみたいだ。

何だか、とても、満ち足りた気分だった。



「う…ん…?」

「おはよぉ、耕平っ」

「う…?ぅわぁああ!?ったぁっ」

朝、起きた耕平は至近距離にあった俺の顔に驚いたのか、俺の腕枕に驚いたのか、

寝起きにしては、もの凄い勢いで俺から離れて、また、その勢いで壁に頭をぶつけてしまった。

「いっつぁあー…っ」

「だ、大丈夫か?耕平」

「お、おうよっ、だ、だい、大丈、夫…っ、ちょ、ちょっと、お、おおおお驚いただけ、だっ」

そんな真っ赤な顔で大丈夫って言ったって説得力なんか、ちっとも無い。

おかしさと愛おしさが一緒にこみ上げた。

「っはははっ、やぁっぱ可愛いぜぇっ、耕平っ」

「たっ、猛…っ」

俺は狼狽えたままの耕平を腕の中に抱き戻す。

俺の肩に顔を隠すようにする耕平がとても可愛かった。

「こ、こんなこと、ヘボ作や高杉に知られたら何て言われるやら…」

「何だよ?気になんの?」

「そういうわけじゃないが…」

「じゃあ、いいじゃん。今の幸せ、噛みしめようよ」

「…そだな…」

そして、俺達は遅めのおはようのキスをした。

とりあえず、今が木曜日の朝8時37分であることは耕平が気付くまで無視し続けよう。


                            
                        END



耕平可愛いですーーー!猛×耕平ってば萌えーーーーー(≧◇≦)!!!
やはりKは、こういうベクトルでないと萌えられないんだなあと、しみじみ実感しました(笑)。
やっぱり耕平は受けよね!そしてやっぱり年下攻めは萌えだよね(≧∇≦)!
年下に攻められて、ちょっとタジタジになりながら(ううっ萌える!)も、
この二人はラブラブだし、耕平の声は関さんだから、追い詰められた時に発揮してくれる包容力って、
すごい深くて!(≧◇≦)きゃーーー////
とても胸ときめきまくりで読ませいただきました!続編も是非!




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