ナルト×イルカ&カカシ×イルカ♪
小説 桃木苺実様
ナイショだけど、俺の夢は火影になることと、もうひとつ。
イルカ先生をお嫁さんにすることだってばよ。
「ないしょのはなし」
イルカ先生は、俺がアカデミーにいたときの担任で、顔に大っきなキズのある中忍の先生。
すぐ怒るし、ゲンコツは痛いし、女っ気ないし口うるさいガンコジジイみたいだけど。
何でかな。
俺はイルカ先生のことが、大好きだ。
俺だけじゃない、他のみんなも、あのイケスカナイサスケまでイルカ先生のことが好きみたい。
うるさがってても、誰もイルカ先生をイヤだとか悪く言わない。
いちどもそーゆーのを聞いたことがない。
これって、けっこうスゴイコトじゃね?
そりゃあ、サクラちゃんみたいに可愛くも、ヒナタんとこの先生みたく色っぽくもナイけどさ。
てゆーかそもそも、イルカ先生は男、なんだけど。
でも、俺は。
まえから好きだったけど、でも。
あの、額当てをもらったとき。
イルカ先生が俺のこと認めてくれてるって知ったときから、ずっと。
お嫁さんにすんならぜったいイルカ先生って、決めてたんだってば。
「ねーえ、イルカ先生?」
「何だ? ナルト。お代わりはさせてやらんぞ」
一楽でラーメンを食べながら言い出すと、イルカ先生はそんなことを言ってまたずるずるラーメンをすすり始めた。
うーん、場所の選択を間違ったか。
しょーがない、プロポーズはまた今度にしとこう。
「イルカ先生、じゃあさじゃあさ、チャーシューいっこちょうだい!」
あっこら、と箸で止められる前に、どんぶりに残ってた最後の一枚を奪い取る。そして取り返される前にさっさと口に入れてしまった。
しょーがねえなあ、と溜め息をついて笑うイルカ先生。
なんかこーゆーの、すげーいい感じ。プロポーズはなかなかできないけど、しばらくはこのまんまでもいっか。
なんてのんびり構えてたら、知らないあいだに、俺と反対側のイルカ先生の隣には、カカシ先生が陣取ってた。
しかも、俺ってば判っちゃったんだってばよ。
そのカカシ先生の、片っぽしか見えない目が、エロ本読んでるときみたいな感じでイルカ先生のこと見てるってコト。
だから、言ってやった。
「カカシ先生、イルカ先生のことヘンな目で見んなよな!」
「んー? 変な目ってどーゆーのかなー?」
「なんか、なんか! 女のひとの胸見てるときみたいな目ぇしてるってばよ!」
相変わらず例のエロ本を読みながら、カカシ先生は憎たらしいくらい動じてない。
どころか、ハハ、とか笑って。
「ん〜、ナルト君、キミけっこうスルドイねぇ〜」
パタンと本を閉じてポーチにしまって、俺の頭をぐりぐりとかきまわしてきた。
そんで俺の顔を覗き込んで、にいっと目を細めて言った。
「ま! でも俺と張り合おうなんて百年早ーいよ」
その、余裕たっぷりの言いかたが、なんかすっげームカついたから。
「カカシ先生、なんかやらしー目でイルカ先生のこと見てねえ?」
カカシ先生のいないとこでコッソリ告げ口してみたんだけど、んなわけねーだろ、なーんてイルカ先生ってばちっとも信じてないみたいに笑ってて。
ああもー、心配だなあ!
イルカ先生は俺のお嫁さん(予定)なんだから、もっと気をつけてくんなきゃ困るってばよ。
だって悔しいけど、今はまだ俺ってばただの下忍で。
上忍のカカシ先生はもちろん、イルカ先生にもまだ敵わないのが、現実。
つまりさ、つまりさ。
イルカ先生がピンチになっても、俺、助けてやれねーってことじゃん……!?
それってダメじゃん!! 俺ってば、急いで強くなんねーと!!
予定変更。
まずはカカシ先生がイルカ先生にナンカしねーように見張りながら、マッハで強くなってやる!
そんであっという間に火影になってやる!
そしたら今度こそ、ちゃんとプロポーズしてやっから。
待っててくれよな――――イルカ先生!