ああ!オレが傍についていたら・・誰にも手出しはさせねーのにっ!
おまえが苦しんでいるのを見るのは辛い・・
ああ早く仕事を終わらせてオレの傍へ来てくれ、直江。
きっとオレが守るから・・おまえを(照)
修羅場中の直江のメール
高耶さん・・・
(いつもはべらべらとめどなく喋る直江なのだが、高耶さんの優しい言葉に
一瞬ハトが豆鉄砲をくらったような表情をして、
そののちその愛しさに押し潰されそうになりながら、
切なさのまじった笑顔で高耶さんのメールを何度も読み返していた)
どうしてこんなに、あなたという魂の吐き出す言葉は
こんなにも慈悲に満ちているのだろう
とまどう事無くまっすぐに見つめてくるあなたの瞳を
あなたの汚れを知らない至上の美である瞳を
今オレはあなたの言葉の中にすら見い出している
あなたが愛しくて・・・死にそうだ
待っていて・・・
かならずこの腕で、あなたの全てを抱いてみせるから・・・
修羅場なんかに負けはしない。
闘いながら、キツい程あなたを想っている。
愛していますよ・・・
高耶・・さん・・・
そうしてしばらくマックの画面を見つめていた直江は、
コミ○で高耶さんに会う事だけを心の支えに、べたぬり作業にもどって
ゆくのであった。
しかし・・原稿とは手間のかかるものだな。
早く終わらせてオレの高耶さんを夜景の綺麗なあのホテルに誘って
(騙して連れ込んで)
あの人は何度そういう目に会っても、いつだって初心な反応であわてて
みせてくれるから、可愛くてたまらなくなる。
夏は服も解放的で脱がせやすいからな。この前はシャツを破いてしまって
怒られはしたが、・・・そうだな、手を縛る時は長袖のシャツの方が
やりやすいがTシャツではな・・・(直江??)
いやいや、高耶さんは腰も細いし、おシリも小さくて形が良くて
何を着ても似合う。あの人は脱いでも最高だから・・・(長いので以下略)
はっっもしかして
こんな事ばかり考えているから原稿が終わらないのか??
まあ、まだ夜は長い。
高耶さんが可愛過ぎるのがいけない。
こうして直江は、夏の短い夜を高耶さんの事ばかり想って
悶々と過ごしているのだった。
ああっ愛している
高耶さんっっっ
遠吠えが熱帯夜にこだましていた。
あきれかえった高耶さんのメール
(画面を見つめ、しばし口を右手で抑えながら赤面して固まる高耶)
お、おまえ・・なんてこと考えてるんだよっ
読んでるオレの方が恥かしいだろっ(赤面)
だけど・・
嬉しかったぜおまえの気持ち(照)
オレだって会いたくてしょうがなかった。
おまえのいない夜は耐えられない・・
ああ、なんかオレ今日はヘンだな、おまえにこんなこと言うなんて・・
でも、我慢の限界なのは本当はオレの方かもしれねーな。
もうすぐおまえに会える・・
それだけがオレの今の支えだ。
愛している―――直江・・
感動した直江のメール(しかしこの直江…一体何やってんだ(-▽-u)
高耶さん・・・
直江は高耶からの意外な程の熱いメッセージにものすごく胸を
どきどきさせていた。
もう原稿はほとんど終わりだ。
今から高速をウィンダムを飛ばして会いに行ってしまおうか・・・
しかしまだ細かい作業が続くためそうもいかず、仕方なく直江は
お得意の妄想の引きだしを開ける事にした。
今夜は ぷ-1825番あたりがふさわしい。
場所は夜景の綺麗なホテルの最上階のバー。
高耶さんはオレの勧めたさりげなく強いカクテルにほんのり酔って
うっとりと気持ち良さそうに夜景を眺めている。
少し熱を帯び夜景を映し出す瞳がうるんで、その色っぽさにオレは我慢が
きかなくなる。
適当な事を言って、高耶さんを階下のスイートへと誘い込んだ。
ああ、支払は勿論ゴールドカード。橘家の家族カードで支払は兄だ。
特に仕事をしている訳でないオレは考えてみれば、黒いスーツで高級車を
乗り回し、いつもボロボロになって帰る不信な弟なのだが、使途不明
であっても、カードの支払時に義明のいた場所が特定できるのは、兄にとって
嬉しい事らしい。いい兄だ。いつも申し訳なく思っている(本当かっっ)
先日その兄に高耶さんを紹介した時の事も思い出す。
やっぱりお前に似ているな・・・と照れ臭そうに笑った高耶さんのあの
笑顔が焼き付いてはがれない。愛しくて愛しくて人目もはばからずあの人を
抱きしめてしまった。いつまでもそうしていたかったが、高耶さんが腕の
中でもがもが暴れまくったので(その感触がまた最高なのだが)
そのまま押し倒したくなるのを我慢するのが酷く辛かった。
まったく高耶さんは罪な人だ。
それはともかくスイートに連れ込まれた高耶さんは頬を赤く染めて手持ち不沙汰
そうに落ち着きなくしている。可愛い・・・・
オレは高耶さんをシャワーに誘った。
一緒に入る事に恥ずかしがる高耶さんが可愛くて、そのままベッドへ
とも思ったが、ここはこらえてオレは大人の余裕の笑みで高耶さんの手を
少し強引に引いてシャワールームへと向かった。
鏡の前で後ろから抱きしめてズボンのフロントをはずしてあげる。
何するんだ!!と高耶さんがあわてる。
脱ぐのを手伝ってあげているんですよ・・・
唇を高耶さんの耳に触れさせ、低い声でそうつぶやくと、腕の中の身体が
びくりと震えたのが分かった。
それだけでもう我慢の限界だった。
このままシャワールームで・・・という事に心を決める。高耶さんは自分が
そこまでされるとはまだ気付いていないだろう。恥ずかしそうにうつむいて
なんとかオレの手から逃れようとしているが、ゆっくりさりげなく動くオレの
手に翻弄されはじめている。
シャワールームは配管の関係で実はけっこうアノ声が漏れるのだが、まあ
かまいはしない。いや、むしろ世界中に聞かせてやりたいくらいだ。この人が
オレという快楽に溺れるあの啼き声を。
きっと世界が狂う。それを○×○に世界中が××を始めそうな程。
ムッ!!!!しかしやはり高耶さんの声を×××にしていいのはやっぱりオレだけだっっ
(勝手だな・・・)
はっ・・・しまったもうこんな時間か・・・折角の妄想だが続きはまた今夜だな
原稿を完全に終わらせてしまおう。
ああ・・・高耶さん・・・愛していますよ・・・
直江はとりあえず、今日の妄想を少しお休みする事に成功した。
ああ・・・オレの強すぎる理性が・・・ニクい。(一生言ってろ!!)
めげない高耶さんのメール
元気でやってるか?
あの日・・おまえと会った日のことがもう遠い昔のように感じられる・・
まだほんの1週間しか経ってないのにな。
おまえがいないと寂しいぜ・・
今からこんなじゃ今度会えるまでもつかな、オレ?
はっ!・・こんなこと言ってるとまたおまえが良からぬ妄想しそうだな(笑)
前回もらったメール読んで・・正直オレは画面の前で吹き出したぜ!(爆)
まったくおまえときたら・・・ι
オレがいてもいなくても考えることはいっしょなんだなι
・・・っていうか妄想でオレを辱めるのはやめろ!
そんでもって、それをオレに送りつけるのは・・やめ・・てくれ。
(↑嘘です!本音は嬉しいからもっと送ってくれです(笑))
オレの方が・・妄想でイッちまうだろι
・・・・・・・・・・・・(赤面)
はぁ〜・・ヤベ・・まったくおまえと付き合ってるとこっちが狂いそうに
なるぜ(苦笑)
でも、愛してるぜ、直江(照)悔しいけど・・な。
仕事が一段落したら、またメール送ってくれよな。
オレ・・待ってるから。
性懲りもない直江のメール(T▽T)
・・やめ・・てくれ。
ここまで読んで、直江はふかしていたパーラメントを既にいっぱいの灰皿に
押し付けて、きつく眉根を寄せた。
高耶の掠れた声が、頭の中でリフレインする。
メールでのやりとりだけで交される愛情が、今夜はひどくもどかしい。
ちゃんとあなたをこの腕に抱いて
あなたの声が・・・聞きたい・・・・
忘れようもない高耶さんの声はどんな時の声も、勿論あんな声だって
いくらでも頭の中で再生できる。
けれど今は、あなたの声を・・・・聞かせて欲しい。
喉をあおのかせて、裸体のあなたが震える様をオレに見せつけながら、
オレの名を・・・呼んで・・・欲しい・・・
しかし、オレの妄想とは一体・・・??
直江はぐるぐるしている時、無意識に手がメールを打ち込んでいる事に
まだ全然気付いていなかった。
そう言えばシャワールームの妄想はまだ続きが仕舞われたままだったな・・。
直江はまたお得意の妄想の引きだしを・・・・あっ、無い、妙だな
はっ、オレとした事がしまい間違えたのか!!なんてことだ・・・
このあたりか?
と、近くの引きだしを開けてみる。
そこは直江が仕事で詰めている、都内の高級マンションの一室だった。
今日は高耶さんが修羅場のオレにわざわざ食事を作りに来てくれていた。
食事もシャワーも済んで、今は新しいシーツに顔を半分埋めて、
きっと可愛らしい顔をして眠っているはずだ。
今夜はまだ、一度もあの人に触れていない・・・。
こんな夜は駄目だから
きっと俺は・・・
「直江?」
「高耶さん!・・・どうしたんです?・・・・眠れないんですか」
「仕事・・・大変そうだな、まだ・・・終わんねえのか?」
タオルケットと枕を片手に書斎に現われたパジャマ姿の高耶さんに、
オレは少し驚く。仕事は遅れているが長帳場になるものだ。
今日ばかり無理する事も無いのだが、今夜は仕事にうちこんでいたかった。
「そうですね、まだ少しかかりそうです。高耶さんは先に寝ていてください」
なるべく優しく聞こえるようあの人にそう語りかける。
しかし高耶さんはまたもや意外な行動に出た。
「んじゃ、俺、ここで寝るわ。邪魔しねえからさ」
そう言って書斎の二人掛けの黒い皮張りのソファーに陣取ると、
タオルケットを抱き込むようにして、高耶さんはうずくまって眠ってしまった。
「た・・高耶さん?!」
高耶さんが何故そんな行動に出たのか、オレにはしかし分かっていた。
いつもなら今頃オレの腕の中で、あの人は全てを預けきってしまっているはず
なのだから。
けれどこんな夜は駄目だ。
多分始めてしまったら、・・・高耶さんを滅茶苦茶にしてしまう
どんなに「嫌だ」と叫ばれても、やめてあげることなんか出来ない
全部をさらけ出させて、泣いて抵抗されてもまだ絞り出させて
二人で夜に狂い続けて、もう二度と、離れていられないくらい・・・
あの人をオレの狂気が支配したがって
胸から血を溢れさせながらこんなに叫んでいるのに・・・
人を恋しがる猫のように、高耶さんはオレの妄想に犯されながら
傍らであどけない寝顔を見せている。
こんな危険な男を側にして安らかに眠るあなたは
まるで恐怖映画のヒロインか、従順に儀式を待つ生贄のようだ。
小さな身じろぎや一つ一つの呼吸がオレの中の獣を煽るのを
あなたは全然気付かないまま・・・
こんな夜はもう駄目だ・・・
オレはMacintoshのシステムを終了し、ゆっくりと書斎机から離れて
高耶さんに近づく。
今夜のオレに優しさなんか期待しないで
どうしようもなくあなたを欲しがるオレを・・・許して
そうして、生贄を食らいつくすようなその儀式は、
深い貪るような口づけから突然に始まった。
気の毒な高耶さんのメール
高耶は愛用のデスクトップパソコンの前で固まっていた・・
「一体あいつは何を考えてんだ・・・ι」
興奮のためか羞恥からなのか・・頬は紅潮し、手はじっとりと汗ばんでいた。
左手で髪を掻き上げそのまま額を押さえる。
「・・なんか熱出てきたみてーだ・・寝よ。もうダメだ・・オレ」
やっとの思いでパソコンの電源だけ落して・・慌てて布団にもぐり込む。
(・・・なんて奴だ!離れていても・・オレを冒し続けるつもりかっ!
もうやめてくれ・・なおえ・・たのむから・・これ以上オレを狂わせないで
くれ・・でないと、オレそのうちおまえの妄想通り、おまえの部屋に・・
ダメだ!そんなことは絶対に・・あいつの思い通りなんかにならない!
でも・・・・)
布団の中で直江の妄想と戦う―――。決して落ちてはいけないと自分に
言い聞かせながら、やがて睡魔に呑み込まれていく・・
夢の中でも直江に犯され続けるとは知らずに・・