ルビーにくちづけラジオドラマCD
『負け犬のなんでも屋』 2枚組 3,200円
菅野 彰原作 角川書店 通販のみ
関俊彦様は、前回『負け犬の食卓』と同じく中川幹彦役で登場です。
今回のお相手は高橋役であの池田秀一氏です!
作家さんのご希望との事。有難うございました。
おお!仮面の男同士か!と思わず喜んでしまいました。
何気なく押しの強い、前向きな姿のイラストが多い感じのシャアと、
少し儚げな俯き加減のイラストが多いクルーセ゛の一対がなんとも・・・
今回のキャストの勝生真沙子さんを加えて3人、
田中芳樹『アルスラーン戦記』のカセットブックを思い出しました。
>内容(自分の好みの部分が強調されています)
冒頭は負け犬達の遊びから始まります。
この部分はシエルの漫画とほぼ同じですね。
そして、
中川の最初の妻馨さん登場です。
セリフ「(中川は)相変わらずすべっすべのお肌」(爆笑)
「・・・すべて運ばれてくると思い違いをしている大馬鹿者よ!
自分は一歩も動かず文句ばかりのクズ!
拳で殴っていいわよね!! ボカ!!!」
本当に馨様は凛々しくて、惚れ惚れしてしまいます。
そして、多分人生では正当なお言葉の数々。
「・・・貴方がいなくなったら誰かがその席を埋める。・・・
それでも生きていかなければならないのよ。受け入れなさい。」と。
ぐさぐさと切り込んでくるきついお声と反対に、
中川の怯え切った声が堪りませんね。
時折気丈に反抗するかのように振舞うのですが馨様には頭が上がらず。
女性の心を、母性本能?をくすぐるお声が大変可愛いのですね。
次に高橋(CV池田秀一)の登場です。
中川が生きていると知り、慌てて出会いに来るハンサムで色男さん。
中川が作曲の依頼をしろと敦達に名刺を渡した人物。
中川に音楽を諦めさせた張本人。
「逢いたかったよ!!一夜の恋人よ!!!」
と中川を抱きしめて周囲のど肝を抜いた男。
「なにもなかった!!!」と否定しまくる中川。
「無体なまねはしなかったかな?ハニー?」(大爆笑!!)
「泣いていた、この腕の間で。気丈そうな目をしたお前が泣いていた。」
と呟く高橋。そんな中川の態度に心動かされたのでしょう。
男でも女でも自分の腕の中で泣かれたら勝てませんよね?
「生きているのか?」と、高橋のように心配したくなります。
中川は「あんたになりたいと、縋り付いて泣いていたさ。
あんたのように音楽を愛してやれば良かった...」
中川....
お前さん今回何度泣いている?泣かないで欲しい、切なくてたまりません。
中川....切ない顔で言うなよ。
高橋でなくても抱き締めたくなる、聞いてみたくなるよ。
「何が望みだ?どうすれば満足だ?」と。
更に、敦や寅さんに、中川と高橋二人して手錠を掛けられ
曲をつけてと頼まれた時などすることはひとつなのに〜〜
高橋に「1年も放っておいたのを怒っているのだな?
御馬鹿さんだね。困った坊やだ、悪い子だね...」と(大爆笑)
ああ!!!やったね!!言った!!!
とこちらは大喜びしたのに、
あの声とセリフで言われても落ちないとは!
中川〜!お前って奴は不感症か?
高橋〜!お前も手錠に繋がれていながら唇一つ奪えんのか!!
シナリオになくても、アドリブでやってしまえ!!!
と本気に突っ込んでいました。
やっぱり、ルビー風味。しくしく....(涙)
中川「音楽を愛してやればよかった、もう遅い、
ガキのまま大人になれずにいる。」
高橋「まだ何一つすんでいないのに...苦しんで生きている、
普通のこと苦痛も涙も同じだ。愛も信じることも。」
「泣くといい、俺を愛することを、愛することも迷わなくていい、
お前を可愛く愛しく思うのは、多分此の世に俺一人だけだ。」
中川〜 其処まで言われながら、断るな!!愛されていながら拒否するな!!!
馨様には期限が来ても仕上げられなくて、キリキリ絞られていました。
「中川は小さい子供のように王子様を待っているのよ。
今時の女性はもう王子様を待たない。
何もしない場所から幸福へ連れて行ってくれる者、王子様を待っているのよ。
けれども、自分で行きなさい。貴方はそれなりの努力をして生きてきた。
だから、手を貸す人もいる。」
と、馨様から慰謝料代わりのピアノが届く。音楽に戻りなさいと。
中川〜元妻にまで心配されて...
「一人で生きていくんだ」と言っていながら、寅さんには
「俺達じゃないからね。あんたに優しい人が
本当にあんたのためを考えている人じゃない。
助けてくれる人じゃない。」と、言われる。
寅さんも彼なりに悩み、プロテストを受けに行く。
取り残されたような顔をする敦に、中川は
「人それぞれだ。」と告げる。
「君には君の素晴らしい所がある。君が好きだよ。
君が俺を救ってくれた。今度は俺が君を助けないとね。」
「君らが何処かへ行きたくなったら、何時歩き出しても構わないさ。」
格好よく締め括ってくれました。
この作品では胸を抉る言葉も沢山あり、心に沁みこむ言葉も沢山ありました。
「一人で生きていくのは無理だ。」
「どうして生きていくのか?」
登場人物それぞれが素敵な言葉をくれました。
素直じゃない私は、 『でも、何時までやり直しがきくのか?』
と思ってみたりします。
この作品は前回の免疫がまだありまして、
気分が悪くなったりして聴くのを止めようとは思いませんでした。
深く落ち込む前に、高橋や馨様の乱入が新たにあったお蔭ですね。
関様のお声は他の作品ではお目に掛かれないほどの様々な声音がありまして、
本当に素敵でした。聞く価値大です。
お約束のBL色は一杯あります。
しかし、其れよりも『登場人物それぞれの視点で生きるとは』と考えることが出来ます。
聴いた人それぞれに色々な想いが生まれるでしょう。
このラジオ番組は中高生の方がよく聴いておられるのでしょうか?
まだ毎日学校の中のことで精一杯でしょうか?
挫折の経験はいかばかりでしょうか?
既に経験済みよという方もおられるでしょうね。
生きてきた人生の中で自分を全否定されることがどれ程辛いか。
自分のみならず、周りまで巻き込んでしまったら...後悔ばかりです。
負け犬であり続けるのは時には心地好い時もあります。
それでも、人は生きて一歩を踏み出さねばならないのです。
今の時代負け犬は社会的に価値がないようです。
矛盾していますよね。
人にはそれぞれに人と比べられない良いところがある、と言いながら
人よりも、隣の人よりと比べたがる。負けられない、と思う。
負はその人の個性ではないと・・・
努力が足りないのだと・・・
人のサガなのでしょうか?
色々と考えるとキリがありません。
やはり、王子様を待っているのかもしれません。
王子様など今時いないと言うのに。(爆笑)
おしまい 御粗末さまでした m(_ _)m
紫水