サクラ大戦
ブレント×火車
小説 こきび様
「小さな羽、降るとき」序章
−太正14年2月−
その日、陸軍大臣・京極慶吾は悩んでいた。というのも、自分の秘密、陸軍大臣を隠れ蓑にして秘密結社・黒鬼会の総帥をしている、ということが、わずかなミスから「ある人物」にばれたのである。
その人物とはブレント=ファーロング、亜米利加で急成長を遂げている企業、ダグラス・スチュワート社の重役である。
京極は無用なトラブルは今後の計画に支障をきたすし、このことをうまく利用しようと考えたので、ブレントにある取引を持ちかけた。それは、互いの情報交換。
しかし、ここで重要な問題が起こった。だれがブレントとの情報交換を受け持つかである。京極自身は、天笠四郎をはじめとする「陸軍大臣としての部下達」には黒鬼会の存在を明かしていないので下手に動けない。
そうすると、黒鬼会幹部の鬼王と五行衆のうち誰かということになる。
鬼王。鬼の面が目立つ。「はずせばいい」という声もあるが、この面はある理由から決して外してはならない。
金剛。彼の性格はよく言えば豪快、悪く言えば単純なので話し合いとか、情報収集といった仕事には向かない。
土蜘蛛。6本の腕が目立つ。このことは本人自身もよくわかっているらしく、めったに他人の前には出ない。
木喰。黒鬼会が保有する脇侍・改や魔操機兵の開発、整備に手一杯。
水狐。本来、この手の任務は彼女が一番適しているが、彼女には帝国華撃団への潜入調査という重大な任務が控えているため、無理。
「そうなると、あやつしかいないな・・・。」
この京極の決定が選ばれた当人の運命を変えてしまうことになるとは、
当人も京極も予想していなかった。
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