炎の転校生
伊吹×滝沢

『勝負の行方』

  

校舎はすっかり夕闇に包まれ、無駄に居残っていた生徒達も大方が帰路にある。
さっきまで異常に密集したギャラリー達の熱気につつまれていた体育館脇のプールも、主役が気絶して退場とあっては、今頃はすっかり閑散としているのだろう。

俺、伊吹三郎は、その騒ぎの中心人物、滝沢昇を肩にかついで、保健室に連れて来ていた。

「誰もいねえのか…」

保健医はもう帰宅しているようで、室内には人気がない。
『面会謝絶』と書かれた立て看板があったので、それをドアの外に出して、内側から鍵をかける。
濡れた水泳パンツ一枚だけの格好で気絶したままの滝沢を、俺はベッドに放り投げた。

「ううっぐっ」
滝沢は小さく呻いてその細い身体を身じろがせる。

「気づいたか」
「……イ…伊吹?…俺は一体……あ!勝負は…」
「水泳部の奴が勝負前に一服盛りやがったみたいだな、てめえは途中で溺れたんだ」

あいかわらず巻き込まれ型の滝沢は、運動部同士の争いに何故か巻き込まれて、今日は朝から、あらゆる運動部相手に勝負し通しだった。
滝沢に勝てた運動部に、予算を多く配分するとかしないとか。

ラグビー部のごつい連中に押し倒されるようにタックルされ、剣道部には竹刀でめった打ちにされ、あらゆる球技のボールを叩きつけられて、それでも根性だけで立ち上がるコイツに、無責任な観客達は歓喜の声を上げていた。
そして最後に挑んだ水泳で、…こいつは溺れたのだ。

「一服盛られた…?あっ!!水泳部の親切な人が、勝負の前にケーキと紅茶を御馳走してくれた…あれが!!」
「まあ単に、お前の足がつっただけなのかも知らねえが。レフェリーの勝負の判定が付く前に、俺がかっさらって来てやったんだ、ありがたく思え」

正確に言えば、判定を下そうとする審判を殴り倒してから…なのだが。

「伊吹…お前って……ホントは良い奴だったのか…」

少し驚いた幼い表情を俺に向けて、滝沢は、長い睫をしばたかせる。
それがあまりに無防備に思えて、…付け込んでやりたくなった。

「フン、ついでに言えば、溺れたお前に人工呼吸してやったのも俺ダ。命の恩人に礼を言え」

本当は逆さにして背中を叩いて水を吐かせただけなのだが、気絶していた滝沢には真実は分からない。

「そうか…ありが…………………ふへ?人…呼…エエエエエエエ!!!!?」

衝撃に身体を硬直させた後、滝沢は顔を真っ赤にして、涙目になりながら、おろおろとしだす。まったく、こんなにからかうのが面白い奴は他にはいない。

「何だ?もしかして、お前、初めてだったとか?」
「ああああううううう〜〜〜〜〜ふうあああ〜〜あうあうあうあう〜〜〜」
「………」
どうも、未経験らしい。

…つまり今ならお初をいただけるという訳で…


そう気づいたと同時に、男相手にそんな事で興奮している自分に気づいて、俺は内心衝撃に見舞われていた。だが、たとえ男であっても、滝沢が相手となるなら、話しは別だ。
涙まみれで混乱の中にある滝沢は、頭をかかえてベッドの上でゴロゴロ転がっている。
俺とキスしたということが、そんなにショックだというのは気に入らないが…。それよりも…

「…悪かったなァ、気絶してる時で。初めてはしっかり記憶に残しておきたいモンだもんなあ」
「!」

水着一枚の姿の滝沢だが、首にはあいかわらず白いハチマキを巻いていて、俺はそれを掴むと、ベッドに倒し込むように引いた。
「ぐっ! …なっ何っ…を!!」
ベッドに仰向けに倒された後、俺に馬乗りに乗られて、滝沢は焦りまくる。めいっぱい感情が表情に出るこいつを構うのは、本当に愉しい。

だが、そう考えているのは俺だけじゃない。学校中の奴らが、滝沢の吐き出す熱を求めている。
…それが俺は面白くない。
こいつが俺以外の奴らと熱く戦うことが許せなくて、…転校したこいつをわざわざ追って来てしまった程に。

「細っこい身体だよなあ…こんな身体で何だって俺と互角に闘えるんだか」
自分の下に敷きこんだ滝沢の身体を、抵抗する腕とらえて完全に押さえ込んだ。

滝沢と俺とではやたらと体格差がある。
滝沢の細い首、細い腕、細い腰、そして、ひざ頭を付けた時に内股に隙間ができる細い足。
日に焼けない質の白い肌、好みの薄い胸には淡い色のつつましい飾り。
小さい顔、涙目になってる大きめの瞳。感情豊かで芯のしっかりした性格。


…何だ…何もかも…俺の好みなんじゃねえか…


小さい口に顔を近づけると、押さえてる腕や乗り上げてる腰が震えるように抵抗を示す。
滝沢はさっきから、「やめろ」とか、「血迷うな」とか、震えながらあわあわ叫んでいるのだが、その声も嗜虐心をそそらせるだけだ。

そう言えば、こいつの悲鳴も…俺好みだ。

「抵抗したって無駄だ。お前の武器はスピードだからな。それさえ殺して押さえこんじまえば、体格差には勝てねえよ。それにこの時間じゃ、助け呼んだって誰も来ない。あきらめな」
残酷にそう告げると、滝沢の両腕をひとまとめにして、頭の上で、ハチマキを利用してベッドヘッドにくくりつけた。(ハチマキって便利だ。)
滝沢の首の後ろの付け根に手を添えて、逃げられないように固定する。
ゆっくり顔を近づける。

小さな唇に、俺の口が触れようとする間、俺は妙に神聖な気持ちになっている自分に気づいていた。
多分、一度触れてしまったら、もう後戻りはできない。…するつもりも…ない。

震えながらきつく引き結ばれている滝沢の唇に、そっと唇で触れた。
何度かそれを繰り返してから、舌で唇を辿るように嘗めてやると、余計に震えが大きくなる。固くなに閉じている唇を開かせるのは、その手の経験が豊富な俺には造作も無い。必死に抵抗を示している滝沢を少し可哀想に思いながら、手加減してやるつもりは全然なかった。

唇を寄せながら、空いている手で細い身体の線を辿る。弱い部分を撫でると逃げをうつ反応を楽しみながら、小さな胸の突起を指でつまんだ。
「ひっ…う…」
更にしつこく弄ってやるまでも無く
「ひう… …やっ」
涙声まじりの悲鳴を上げてしまった滝沢の、開かれた口の形に顎を指で押さえる。
「あう…あ……んっんんんん〜!」
それを唇でふさいで、閉じることを許されない歯列を舌先で辿ってから、吸い上げるようにして滝沢の舌を逃れられないように絡めとる。
濡れて熱い味がする。

ざらつく舌で滝沢の舌全体を包み込むようにして蠢かすと、生々しい感触を無理やり与えられた滝沢は、
「ンッンッ…ンッ………ンッ」
くぐもった悲鳴を漏らしながら、押さえ込まれたままの身体を震わせた。

刺激を与えただけ、小さな悲鳴が上がる。
それがたまらなく俺には心地良い。
他の誰でもなく、滝沢が、俺の与えるものに反応している声だから。

深く唇を奪ったまま、空いている手で、滝沢の身体を下の方へと辿る。馬乗りになって押さえている腰を少しあげて、その下に敷き込まれていた滝沢の海水パンツの縁に指をかけ…ずらした。
腰骨のあたりからゆっくり中心に指をすべらせていくと、その指の動きに気づいた滝沢が、またくぐもった声を漏らす。

他人のモノなんかを手にすることがあるとは思ってもいなかったが、俺のでかい掌の中に収まった滝沢のそれは、暖かくて滑らかで、可哀想なくらい緊張して小さく震えていた。やはり、どういう訳か、妙に神妙な気持ちになる。

ゆっくりと唇を解放すると、上手く息継ぎができないでいたのか、滝沢は身体を折り曲げるようにして咳き込んだ。脅えた涙目を俺に向けて何か言おうとするが
「!ッやっ…やめっ……やっやだ」
そのタイミングで掌の中に収まっていたものに刺激を与えはじめた。
滝沢が俺の指の微妙な動きに翻弄されている間に、顎を押さえていた手をずらして、あばれる足から海水パンツをずりおろして片方の足首から抜いてやる。足を少し開かせて、何も隠せないようにしてから、膝で乗り上げて固定した。

手首を頭の上で縛られ、何も隠すことを許されない裸身を晒したままの滝沢の姿を、俺は存分に観察できた。捕らえた獲物の活きの良さと、痩身ながら適度に鍛えられた滑らかな肌…上気した頬、身体をひくつかせる敏感な反応、心地良い涙まじりの声。そして弱点は俺の掌の中。

「やっ…やう……アッアっア…」
軽く握って親指の腹でくびれの裏に細かく振動を与えてやると、滝沢は背中をしならせて、首を打ち振った。ベッドヘッドに繋がれた手首が痛々しくひきつる。

「お前のことだから、他人に触られんのは初めてなんだろ? たったこれだけでも、もう駄目そうだもんなあ。でも折角だから、どのくらい我慢できるもんなのか、試してみるのも良いかもな」

もう片方の手を根元に添えて、人差し指と親指の輪で軽く根元を締める。
すっかり息があがっている滝沢が、脅えた視線を俺に向ける。そうやって俺を見ていればいい。俺だけを見ていればいい。

「なあ…滝沢。これは…勝負だ。お前が我慢できなくなって、俺に許しを懇願するならお前の負けだ。負けたらお前は何もかも全部が俺のもの。何でも言うこときいてもらうからな。逆にお前の痴態に俺が耐えきれなくなって、お前を侵っちまったら、…その時はお前の勝ちだ。いいか、勝負だからな、勝っても負けても文句言うんじゃねえぞ」

どっちに転んでも美味しい展開。
指先だけでいたぶり続けて、鳴かせまくるってのも良い。身体中の弱い所を見つけて、舌でも可愛がってやるってのも良い。なかなか根をあげないなら、下の口に言うことをきかせるのも、指でならこっちの負けにはならないし。
相手をねじ伏せるのに、いくらでも方法がある。

涙目で息を震わせている滝沢。

こいつのこんな顔は、まだ他の誰も見たことがない。

俺に負けちまえばいい。
それでもって、全部俺のものになっちまえばいい。

俺以外の誰かに、お前が熱くなるのが嫌なんだ。

押さえている身体を伸び上がらせて、俺は涙のにじんだ滝沢の瞳に、何度も口づけをした。
「………伊……吹…」
掠れたその声に名前を呼ばれて、何かに胸の中を打たれる。その正体が分からないまま、俺は滝沢を抱き締めていた。


“負け”ってことが、相手に自分の魂まで捕らわれひれ伏すってことなら、
俺はこいつに、とっくに負けちまってるのかも知れない。

そんな事を、ぼんやりと思いながら。









小説 見国かや…
うわああ(T◇T)尻切れですみません〜(汗)
これ、勝負モノなので、勝ち負けどっちでも決着は良いんですが
どっちが良いでしょう?
もし続きを妄想されてしまって、うっかり書かれてしまった方がいたら
是非是非読ませていただきたいです(≧∇≦)//
勝ったのと負けたのと両方読みたいです〜//どっちでも無くても面白いですし//
滝沢くんが負けたら、何でもさせ… がふがふっ//
リクエストはピノコ様の『ズバリ「小説で炎の転校生の伊吹×滝沢くん」!!!わたしはすでに成人を迎えているので堂々とエロを希望します。(笑)』でしたv
ちゃんとしたエロにならなくてスミマセン(T◇T)でも滝沢くんを鳴かせるのは
すっごく楽し…がはがはっけほっ
はあはあ…また宜しくお願いいたしますvって言うか続き書かれませんかっ//(爆)




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