サクラ大戦 ブレント×火車v

小説 みるふぃー様



毎年恒例・陸軍&黒鬼会恋人自慢大会








陸軍では毎年、特別賞与の前になると「ある催し」が開かれる。



陸軍大臣・京極慶吾が数年前に思いつきで始めたこの催しとは、京極の部下、すなわち陸軍士官たちと黒鬼会関係者が自分の恋人とか、妻・夫を紹介して、その中から一番熱々な二人を決めるというもの。

陸軍大臣と黒鬼会総帥を兼ねている京極だからできる(?)催しといえよう。

毎年なんだかんだいいながらも開催されている。



黒鬼会からは鬼王こと真宮寺一馬が奥さんである若菜と、山崎新之助が藤枝あやめと、それぞれ毎年一緒に出場している。

では、五行衆はどうかというと、まだ一度も出場した者はいない。

しかし、今年は様子が違っていた。



「はぁ・・・・。」

黒鬼会本部にある自分の部屋で火車は大きくため息をついた。

数日後に開催が迫った、陸軍&黒鬼会恋人自慢大会のことが原因である。

そこで、自分の恋人であるブレント=ファーロングを紹介したいと思っていた。

自分たちのことは、まだ周囲に話していないのでちょうどよい機会だと思ったからだ。




だが、そこに大きな問題があった。

陸軍少佐で京極の側近の一人である天笠士郎が、その大きな問題の張本人。

天笠は、“生真面目な軍人”という性格故なのか、自分に恋人ができないからといってひがんでいるからなのかは知らないが、とにかく出場者達に対して文句をつける。

去年は出場者全員にいちいち文句をつけ、一馬・山崎を中心とした全員と口論になった。




自分の場合はそれ以上の騒ぎになるであろう。

なんといっても、恋人が男である。

その上、京極は陸軍よりも黒鬼会を優遇しているため、天笠たちには快く思われていない。

それらのことが理由で、例年以上の文句が出ることは間違いない。



家(ダグラス・スチュワート社・日本支社の最上階にある)に帰った火車は、ブレントにそのことを打ち明けた。

「大丈夫だ。私に考えがある。」

ブレントはそう返事をした。





大会当日。

やはり、天笠は一組目から文句をつけていた。

やれ「年上はいかん」だの、「相手の服の趣味が悪い」だの。

出場者たちから見れば「余計なお世話だ」と返してやりたいが、ややこしいトラブルは去年の一件で懲りているため、あえて言わなかった。



山崎・一馬にいたっては、

「自分達のスタア・藤枝特務中尉に手を出しただけでも許されないのに、これ以上見せ付けるな。」

「今年は奥さんだけでなく、娘まで自慢したいのか。」

と、去年にも増して余計な文句をつけていた。

尚、今年の大会には帝国華撃団関係者も審査員として参加している。

一馬は、審査員席のさくらの所にまで近寄って、彼女のことまで自慢した。

「奥さん・恋人ではない者も自慢した」ということで、一馬は失格になった。



火車の番がやってきた。

火車はブレントを紹介する。

それを見た土蜘蛛が、何かに気がついた。

「あの人、知ってるの、土蜘蛛?」

水狐が問いかける。

「知ってるも何も、週間帝都の特集記事、『今、世界が注目する若き企業家』で紹介されていたブレント=ファーロングだよ。」

山崎がさらに解説する。

「若くしてダグラス社に入社後、数年で重役にまで上り詰めた男だ。

将来の社長候補といわれている。資産は確か、数万円は軽くあると聞いたな。」

「そんなにすごい人なんだぁ。」

「わかってる、水狐?」



天笠は、予想通りの反応を返した。

「貴様・・・!よりにもよって男とそんな関係を!帝國男子としての恥ずかしくないのか!?」

「やっぱり・・・。」

火車は頭を抱えた。

みかねた帝国華撃団・薔薇組の面々が弁護を入れる。

「あら〜。男同士だって、愛があればいいじゃない。」

「あんな素敵な方と・・・火車さん、すごいです。」

「もう、火車ちゃんにチュウできないわよねぇ。」

ちなみに、最初から琴音・菊之丞・斧彦の順である。

天笠は薔薇組を睨み付け、

「くっ・・、貴様ら(注:薔薇組のこと)みたいなのがエリートだと言われているから、こんなことになるんだ。」

「それは言いがかりというものではないか。」

京極が止めようとするものの、天笠は聞いていない。



そんな周囲の騒ぎをよそに、ブレントは火車を思い切り抱きしめた。

大神と、あやめの妹・かえでが最初にそれに気付き、周囲の者達も次々に視線を二人に移す。

突然のことに、火車の顔は真っ赤になっている。



ブレントは火車を一旦離すと、周囲を向いてこう叫んだ。

「私たちの関係は、なかなか認められないのは十分に承知しています。

ですが私は、彼・・・、火車を必ず幸せにします!」

さらに、火車の耳元で

「お前も、私の傍を離れるなよ、いいか?」

「はい・・・・。」

火車はこういうのがやっとだった。

ブレントはそれを確認すると、火車の唇に自分のそれを重ねる。



会場は大騒ぎになった。

薔薇組や水狐・土蜘蛛は拍手で祝っている。

木喰は周囲の騒ぎに気付かず、お茶をすすっている。

金剛は何がなんだかわかっていない。

観客席のレニはアイリスの目を塞いでいる。

レニとアイリス以外の帝国華撃団・花組の面々は呆然としている。

京極なんぞはうれし泣きをしている。

「恋人同士はいいなぁ。俺も大神と・・・・・。」

どさくさに紛れて爆弾発言をしている者もいる。



そんな騒ぎをよそに、ブレントは火車の服を脱がそうとしている。

「もういい!!わかったから、勝手にしろ!」

天笠はそう言うなり、失神した。

今年の“一番熱々な二人”は火車とブレントということで会場にいた全員が納得した。




その日の夜。火車が昼間の行動について、ブレントに聞いていた。

「なんで、あんなことしたんですか?

すごく恥ずかしかったですよ。」

「なんでって、お前の話を聞いたら、あの天笠って男は極度のまじめだと察した。

こういうタイプには思いっきり見せ付けた方がいいんだ。」



その頃、陸軍省では・・・・。

「京極様、天笠少佐がうなされています!!」

天笠の部下の一人が、蒸気電話で京極に報告する。

ちなみに、この部下は昼間、天笠から

「お前に年上の恋人は似合わない。」

と言われた。

京極は、

「色々と衝撃が激しかったのだろう。落ち着くまで放って置け。」

との指示を出した。







わあ〜(*^∇^*)熱いブレント×火車小説をありがとうございます(≧∇≦)//
アチチな二人!見せつけられてみたいです!だって幸せにしてもらってる火車v
嬉しいばかりですもん//
クリスマスイブの今宵に熱い恋人同士のお話をアップできて幸せですっ
可愛い小ネタ集もいただいてます♪ お楽しみに〜

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