舞HiME
黎人様総受け

小説 こきび様

「碧の寝起き☆ドッキリ大作戦」(前編)








 昼休み。

碧は調べ物をしに書庫へ行く途中、女子生徒の輪を見た。

「あれは・・・・?」

輪の中心に居るのは、神崎黎人。風華学園高等部生徒会副会長、そのルックスと文武両道ぶりに「黎人様に落ちない学園の女生徒は居ない」と言われている。

『神崎くん、あいかわらずモテてるわね・・・・。そうだ、いいこと考えた。』

碧は上機嫌にその場を立ち去った。





放課後。

「舞衣ちゃ〜ん、みこり〜ん、元気〜!?」

碧は舞衣のバイト先を訪れていた。舞衣を迎えに来た命も、あおいと千絵にパフェをおごってもらっている。

 数分後、バイトを終えた舞衣が碧たちの元に来た。

「どうしたの、碧ちゃん。」

「実はね、おもしろいこと考え付いちゃったもんで、舞衣ちゃん達を仲間に入れようとおもってね。」

それを聞いたあおいと千絵が興味深げに碧を見やる。

「おもしろいことってなんですか、碧ちゃん。」

「神崎君にドッキリを仕掛けようとおもって。」

「えぇぇ!!」×3

舞衣、あおい、千絵は驚いた。

「それ、ホントなの、碧ちゃん。」

舞衣が尋ねる。

「なぁ、舞衣。『ドッキリ』ってなんだ。」

「簡単に言うと、人を驚かすことだよ。」

命の問いにあおいが答える。

「おもしろそうだな。やろう舞衣、うん。」

命はやる気満々である。

「みこりんはやるっていってるけど、舞衣ちゃんはどうするの?」

命の(一応)保護者である以上、舞衣も参加せざるを得ない。

「まぁ、ホントはやりたくないけど、命のことがあるしね。」

「舞衣ちゃん、みこりんは決定。」

碧はあおいと千絵のほうを見て、

「あなたたち二人はどうする?」

「私たちはやめておきます。」

「結果報告を楽しみにしてるよ〜。」

あっさり断られた。

 舞衣のバイト先から帰る途中。なつきにも声をかけた。

なつきはあっさりと

「興味ないな。お前達だけで勝手にやれ。」

とだけ言って立ち去った。








 その日の夜。

「へぇ〜、あの副会長を。おもしろそうじゃん。参加させてもらうよ。」

奈緒は碧の誘いを聞いてすぐこう言った。ちなみに、奈緒は夜の日課の最中である。

「めずらしいわね。あんたが二つ返事でOKするなんて。」

碧は心の中で『ヒョウが降るんじゃない』と思った。







 次の日の昼休み。

「いくら杉浦先生が見張っているとはいえ、許可できません!」

一応は生徒会にこのことを言うべきだ、という舞衣の意見を碧がのみ、碧、舞衣は生徒会室を訪れていた。

先ほどの言葉はドッキリのことを聞かされた遥が開口一番にいったものである。

「まぁまぁ、珠洲城さん。いいじゃない、しょっちゅうやるわけじゃないし〜。」

碧の説得(?)にも遥は耳を貸さない。

「冗談もよしてください、杉浦先生。鴇羽さんたちもです!」

「遥ちゃん、落ち着いて。」

雪之の静止も聞いていない。

すると、それまでお茶を飲んでいた静留が口を開く。

「珠洲城はん、あなた、副会長に対して、『あの茶坊主、今にギャフンと言わせてやるわ』ゆうとったんやないの?」

遥は顔が赤くなった。今の静留の言葉は黎人の前では無論、静留の前でさえも言ったことがなかったのである。

「会長!私はそんなこと・・・・!!えと・・・・あぁぁっっ・・・・!!」

遥は頭を抱えた。

「遥ちゃん、墓穴を掘った。」

雪之がつぶやいた。






 放課後、舞衣・命の部屋に碧・奈緒も集まっていた。

「で、碧ちゃん。どんなドッキリを仕掛けるの?」

舞衣の質問に対し、碧はニヤッと笑い、

「そりゃモチロン、寝起きドッキリよ!」

得意げに話した。

「へぇ〜そうかぁ、寝起きドッキ・・・・」

一瞬の沈黙の後、

「はい〜〜〜〜〜!?」

舞衣の絶叫が部屋に響き渡る。

「何を驚いてんだよ、この手のドッキリっていったら寝起きに決まってんじゃん。」

「あんたにしては鋭いじゃない。」

言いだしっぺの碧と、最初からそうなると分かっていた奈緒は平然としている。

「寝起きドッキリって何だ。普通のドッキリより楽しいのか?」

『寝起きドッキリ』を分かっていないような命に対して、

「そりゃぁ、メチャクチャ楽しいもんだよ。」

奈緒がこう答える。

「奈緒ちゃん、命に変なこと教えないで。」

舞衣の注意に対して、奈緒は聞いていない。

『奈緒には何を言ってもムダ』そう思った舞衣は一番の問題を挙げる。

「でも、私たち女だよ。あの時間帯には、男子寮には入れないじゃない。」

確かに、風華学園の寮に異性が入ることのできる時間は朝の8時から夜の8時と決まっている。この時間帯には寝起きドッキリなど行うことができない。

「わかってるって。ちゃ〜んと考えてあるんだから。」

碧は得意げにそういった。






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