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次の日。
「神崎先輩に対する寝起きドッキリの手引き!?なんでオレがそんなことやるんだよ。」
盾は碧の誘いを聞くなりそういった。
『やっぱ、そういうと思ったわよ、盾クン。でもね・・・・。』
「盾クン、君がこの間出してもらった日本史の課題、アレ合格点ギリギリの出来なんだけどなぁ〜。」
碧はあさっての方を向きながらそういった。
「お前、教師のクセに生徒を脅すのか!!とにかく、点数がどうなってもオレはやらんぞ!!」
碧はついに困った。彼女の計算では課題の件を持ち出した時点で盾が協力するものと思っていたからである。そんな時、奈緒が選手交代とばかりに前に出る。
「盾、アンタ最近、詩帆を怒らせたんじゃないの〜?」
「うっ・・・。」
実はそうなのである。盾は数日前、些細な行き違いから詩帆を怒らせて、口をきいてもらえない状態だったのである。
「教室で詩帆、すご〜く怒ってたよ〜。『お兄ちゃんなんか大嫌い!』って何回も言ってたっけ。」
詩帆を怒らせると後々がすごく怖い。昔から盾はそれを実感していた。
奈緒が話を続ける。
「今回の件に協力してくれたら、詩帆との仲直りを取り持ってあげていいよ。舞衣のお金でパフェをおごってあげたら?」
「ちょっと、奈緒ちゃん。なんで私のお金なわけ!?」
舞衣は二人の間に割って入ったが、二人とも聞いちゃぁいない。
何かを決心した盾は。
「仕方がない。協力しよう。」
その日の夜。
舞衣・命・碧・奈緒の四人は男子寮の前に集まっていた。鍵は盾が開けておいてくれている手はずである。
その時、舞衣は何かにぶつかった。見ると・・・。
「なつき!?」
そう、なつきである。
「舞衣・・・。それに碧たちまで・・・・!なぜ、こんなところに?アレ!?」
碧がなつきの腕を引っ張る。
「ちょうといい。アンタも参加なさ〜い。」
こうして、なつきはうやむやの内に仲間に入れられた。
黎人の部屋の前で盾と合流した5人は、早速部屋の中へ入った。
「まずは恒例のお部屋の荷物チェックよ。」
碧が小声で言う。
黎人の部屋の中はきれいに片付けられており、さほど見るべきものはなかった。
そして、いよいよ寝室に向かうことになる。
ベッドを覗き込むと黎人の顔はよく見えない。
「うっ・・・うぅぅんん・・・・」
黎人が寝返りを打ったので寝顔が見えた。
その瞬間、
『かっ可愛い!!』
その場にいる全員(約1名除く)が心の中で大声をあげた。
『神崎君って意外と可愛い寝顔なのね。』
これは碧。
『黎人さん、いくらなんでも無防備すぎだよ〜。』
顔が真っ赤になった舞衣。
『黎人のヤツ。あんな顔して寝ているのか・・・。以外だな・・・・。』
必死に平常心を保とうとしているなつき。
『副会長って案外可愛い顔すんだ・・・・。って、何考えてんだ、私は!』
いきなり芽生えた何かに戸惑う奈緒。
盾にいたっては、
『神崎先輩の寝顔、無防備で可愛すぎるな。おそいたく・・・・っておい、何を考えようといていた、オレ!!』
「みんな、どうした?」
命は黎人の寝顔に対し、なんとも思ってないようである。
「う・・・うん・・・。みんな、おはよう。」
その時、寝ていた黎人が目覚める。
「『みんな』って、黎人さん、このこと知ってたんですか?」
舞衣が黎人に尋ねる。
「あぁ、昨日、生徒会室で珠洲城君がすごく怒っていてね・・・。
『珠洲城君、どうしたんだい?』
『あっ副会長、ちょうどいいです。実は、杉浦先生たちが副会長にドッキリを仕掛けるって言うものですから。』
『へぇ〜、そうなのかい?』
『まったく・・・。ここのところ、妙な騒ぎが多いのに、へんな騒動を起こすようなまねをされては困ります。副会長も、少しは怒ってください!』
『ははは・・・。わかったよ。注意はしておくよ。』
・・・と、こういうわけだから注意はしていたけど。まさか、寝起きドッキリを仕掛けられるとはね。驚いたよ。」
どうやら、黎人は最初から分かっていたようである。
『舞衣のヤツが知らせるって言ってなきゃ、成功したのに。』
奈緒は内心、そうつぶやいた。
その日の放課後、
ガッシャーン×10
舞衣はバイト先で大量の皿を割った。
「鴇羽!!何をやっている!?」
店長に怒られる始末である。
「舞衣ちゃん、今日はなんだか変だね。」
「どうせ、神埼先輩に仕掛けたドッキリが寝起きドッキリで、先輩の寝顔を見て『可愛い』
とか思っちゃって、今日はその寝顔が忘れられない、といったところでしょう。」
千絵のいう通りである。
あのドッキリに参加した者たちは、今日は調子がおかしいのである。命は除く。
「アンタが知らせなきゃ成功してたのに。何すんのよ!!」
碧は生徒会室の遥を訪れ、抗議をしていた。
「杉浦先生!これは本来、退学か停学ものです。それを『事前に生徒会に報告した』ということで全員、『昼休みに補習授業を一週間』という減刑になったんですよ!!事後処理に奔走してくれた私たち生徒会に感謝こそすれ、抗議をしないでください。」
遥も負けじと反論する。
「でも、事後処理に奔走したのは遥ちゃんじゃなくて会長だよ。」
雪之が的確なツッコミを入れるが、
「雪之!アンタは黙ってなさい!!」
無視する遥であった。
こんな二人のやり取りの間、碧は
『神崎君の寝顔、可愛かったなぁ。また見たいなぁ。よし、今度は『校外学習・有名な日本史の舞台を探ろうツアー』ってのを企画して、そこで・・・・・』
「ちょっと、杉浦先生!聞いていますか!」
「このところ、オーファンは・・・。って、アレ?聞いてます?」
いつもの迫水からの話にまったく耳を貸さないで早朝の出来事を思い出すなつき。
「あ〜あ。今日はや〜めた。」
授業が終わって繁華街に出たものの、乗り気になれない奈緒。
そして、盾。ある意味、コイツが一番ヤバイ。
黎人に会うのをためらって、放課後は生徒会室ではなく、久しぶりに剣道部に顔を出したものの、
「どうした、盾!!!剣の動きが鈍いぞ!!もっと集中しろ!!!」
武田に渇を入れられていた。
しかし、
『神崎先輩の寝顔を思い出すたびに集中力が失っていくじゃねぇか。どうすればいいんだ、オレは一体・・・・』
「今日も学園は平和やなぁ〜。」
「そうですね、会長。」
生徒会室の隅では、こんな騒動があったのに気にせずお茶を淹れる黎人と、それを飲んでいる静留がいた。
「碧の寝起き☆ドッキリ大作戦」終わり
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うああ〜//可愛いお話をありがとうございましたv
黎人さんの寝顔はそれはそれは可愛くて美麗でうっとりなのですよね〜(〃∇〃)
アニメの方でも是非お色気を画像で見せても欲しかったです(∋_∈)
ドラマCDの方ではスゴいことになっててビックリでしたがっっ
黎人さんはかなりの素敵キャラなので、是非総受けで楽しませていただきたいです//