アンジェリーク
ゼフェル×ルヴァ様v

小説 帆立真由羽様


3つ目のプレゼント




「…ル…ゼフェル…」
「……んぁ?」

軽く身体を揺さぶられ、ゼフェルは目を覚ました。
ぼんやり目を開けると、自分の顔を覗きこんでいる恋人の姿が見える。

――あれ…?何でルヴァが…?――

昨夜、一緒にいた記憶なんてないし、大体その時くらいは、いくらゼフェルでもベッドで寝ている。メカに囲まれながら、ソファで…なんて事はまずない。
――俺は別にそれでもいいけど…こいつがいやがるからなぁ――

至極当たり前の事を考えながら、眠い目を擦り擦り起き上がる。
脇のデジタル時計の文字盤には、【6/4 00:10】と言う数字が映し出されていた。

「どうしたんだよ、こんな時間にいきなり…」
「その様子では、忘れているみたいですねー」
「…?何がだよ」
「あー、そのですね…」
薄く頬を染めながら、ルヴァが小さな箱を取り出す。
「これを……」
「……?」
「もう…まだ気がつかないんですか?」
ゼフェルの額にそっと口付けた唇で、恥ずかしそうな囁きを。

「誕生日…おめでとうございます…」
「あ……」

すっかり忘れていた。
守護聖として生きて行く長い時間の中で、年齢なんて感覚は段々と薄れて行く。
自分は今、一体全体幾つなのか…?そんな事を考えて行けば、切りがない。
故郷を離れる前に、両親がバースデーケーキに所狭しと立てた蝋燭。その数も、とっくのとうに追い抜かしているのだろう。
そんな中で……

本当は、誕生日なんて、忘れたかったのかも知れない。
故郷の家族や仲間達。愛しい存在を置き去りにして、自分だけが生き長らえている。

その現実を受け止めたくなくて、それ故に『年齢』なんて言う煩わしい物から解放されたくて……

けれど、今は違う。

箱の中では、シンプルなデザインのネックレスが入っていた。小さな乳白色の宝石が付いた銀色の飾りには、凝った紋様が描かれている。
「あの…何にするか迷っちゃって…この位なら、あなたも着けてくれるかもって…」

「ルヴァ…」
「だけど私、こう言うのは苦手で…オリヴィエに見立てて貰った宝石を、メルに加工して貰ったんです」
「ムーンストーンか?これ…」
「あー、オリヴィエが…6月の誕生石だって…だから…」
真っ赤な顔で、ゼフェルを見つめるルヴァが、ひたすらに可愛くて、愛しくて…その身体をキツく抱き締めた。

「その…気に入って…貰えました?」
「最っ高…!!ありがとな、ルヴァ…」
耳元で囁くと、ルヴァの顔が、嬉しそうに綻ぶ。

「良かった…」
「マジで嬉しい。二つ共気に入ったぜ、プレゼント」
「…え?二つ…ですか?」
「そ、もう一つはコッチ」
怪訝な顔を見せたルヴァの身体を抱き上げ、深く口付けた。

「で?…ベッドまで行くか?」
「ゼ…ゼフェル!!……もうっ…」
拗ねた様にそっぽを向く顔に微笑みかけ、半開きのドアを足で軽く蹴る。
「仕方ないですねー…」
「だって誕生日だぜ?別にいーじゃねーかよー」
「……理由なんて、どうでもいいんでしょう?あなたの場合」
「よく分かってんじゃん」


寝室に着き、ルヴァの身体をそっとベッドに横たえた。
その上から覆い被さり、もう一度深いキスを。
服に手をかけようとした時、ゼフェルの背中に腕を回し、ルヴァが小さく囁いた。

「愛してます…ゼフェル……」
「ルヴァ……」

普段はなかなか言ってくれない、恋人の意外な言葉に、ゼフェルの口許が綻ぶ。

――これで、三つ目だな…プレゼント――
露わになった首筋に口付け、そう呟いた。

そう、今は違う。
もう年齢なんて事で考え込むのはやめた。
今はゼフェルの腕の中にも、愛しい存在がいるから…だからもう、悩みはしない。

fin



6/4はゼフェルのお誕生日v少し早いけど幸せなお誕生日おめでとう〜vvv
照れるルヴァ様が可愛くて!!ゼフェルの甘え攻め攻めっぷりが男らしくて
カッチョ良いのです〜(〃∇〃) 年下攻め万歳〜vvv
甘〜〜いお話ありがとうございましたvまた是非にお願いいたしますv



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