『アイカワラズ』


小説
吉野さま







「隊長、おかえりなさいませっ」

初めての対ストライク戦を撤退することで終わらせ、アジトに戻ったアンディに出迎えた隊員が声を掛けた。

「おう、留守中、何かあったか?」

「はっ、ラウ・ル・クルーゼ隊長がいらっしゃっていますっ」

「ラウが!?どこだっ?」

「た、隊長?」

いつも、どこか飄々とした雰囲気を纏っていた彼が突如、あからさまな喜びを表したので隊員はつい、即答する前に呆然としてしまった。

「おいっ?」

「あ、し、失礼しましたっ。特別室Aにてお待ちですっ」

アンディの苛立った声に我に返った隊員がそう告げると、アンディはその部屋に向かって駆けだした。

途中で挨拶してくる隊員達に遭遇しても走りながら適当に応えるだけだった。

そして、やっと辿り着いた部屋のドアをノックも無しに開けた。

「ラウ!」

「久しいな、アンディ。相変わらずの不作法だな」

部屋の中のクルーゼは椅子には座らず、窓辺に佇んでいて、顔だけをアンディに向けてくる。

アンディは嬉しそうに両手を広げて彼に近づいた。

「あっはははっ、お前こそ相変わらずだっ。辛口で…堪らなく、魅力的だ」

そう言って、アンディはクルーゼの身体を抱きしめようとして、途中で止めた。

「?何だ?」

「いや、今、砂漠で戦ってきたばかりでな。このまま、お前に触れたら汚れるな、と」

「意外だな。お前がそんなことに気を回すなんて」

「そんなわけで折角だから久しぶりに一緒に風呂でも入るか」

にっこりと笑うアンディの顔をクルーゼが冷たい瞳で見上げて、溜息を吹きかける。

そして、顔を背けた。

「…前言撤回だ。やっぱり相変わらず、だ。お前は…」

「嫌いじゃないくせに」

言いながら、アンディはクルーゼの頬に触れながらキスをおとした。

クルーゼは諦めるように瞳を閉じた。



白い光に包まれたアンディの部屋のバスルーム。

互いに服を脱がし合い、最後にアンディがクルーゼの仮面を外した。

「相変わらず、美人だなぁ」

「…眩しい…」

折角の綺麗な顔を歪ませるクルーゼに苦笑しながら、アンディは先に湯舟に入っていった。

「俺の部屋、隊長の割に狭いだろ?」

「ああ、狭いな」

「…正直だな。ま、ここにスペース取ってるから狭いんだよ。
ほら、お前もゆっくり浸かれ」

アンディの言う『ここ』は晴天の光が射し込む、広く真っ白なバスルームで、中央にある円形の湯舟は

アンディが3人入って、足を伸ばしても余るだろうくらいの広さだった。

「無駄に広いな」

「ホンットに正直だなっ、お前はっ。これが気持ちいいんだよっ。来いってのっ」

アンディに背を向けてバスルームを見渡していたクルーゼの腰を後ろから抱え上げて、

アンディが力ずくでクルーゼを湯舟に沈めがてら一緒に座る。

「っアンディッ」

クルーゼは後ろから抱きしめてくるアンディの方を振り向いて、抗議の声を上げるが、アンディがあまりにも

幸せそうに笑っていたので、溜息をつくだけで彼の行動を許して、顔を正面に戻した。

「馬鹿が…」

「な?気持ちいいだろ?あー・・・お前の肌も気持ちいー…」

アンディはうっとりとした表情でクルーゼの肩に口づけて、顔をそこに埋める。

両足の間にクルーゼの身体を閉じこめるようにして、アンディはゆっくりと手をクルーゼの胸に回した。

「アンディ…」

「お前も気持ちよくしてやるよ…久しぶりで加減できそうにねぇけど」

「…いらんさ、そんなもの…」

「いい返事だ…」

そして、口づけと同時に行為は始められて。

予告通り、激しいアンディの愛撫にクルーゼは身体を酷使されながらも制止の声を上げることはなく。

意識が飛びそうなのをどうにか繋ぎ止め、瞳を涙で濡らしても、ひたすらにアンディを感じ続けた。

「ラ、ウ…ッ?」

「あ、は…っあぁあああっっ、あ、アン、ディ…!」

意識を手放したクルーゼの最後の言葉。アンディには『愛している』と聞こえた。



狭い部屋のベッドの上でクルーゼが目覚めると、アンディはベッドサイドにデスクチェアーを持ってきて座っていた。

クルーゼをじっと見つめながら。

「…ずっと…見てたのか?」

「ああ、寝顔も綺麗だな、相変わらず」

「ふん…暇人め」

クルーゼは悪態を付いて、上体を起こす。その顔が僅かに歪むとアンディがクルーゼの上体をベッドに押し戻した。

「まだ寝てろ。大分、無茶したからな」

「手を抜かれるよりマシだ。長居するつもりはない」

不敵な笑みを浮かべながら尚も起きようとするクルーゼをアンディが今度は本気で押さえつけた。

「っつ…っ」

「無茶したから無理するなって言ってるんだ。たまには言うことを聞け」

少し怖いほどの真剣な眼差しで射抜かれて、クルーゼはもう無理に体を起こすことはしなかった。

代わりにそのアンディの顔に手を伸ばした。

「その顔は…好きだな…」

「顔だけか?」

「どうかな…」

「さっき…一秒でも長く、俺が欲しくてイキそうになるの我慢してたんだろ?可愛かったぜぇ?」

「…その口は可愛くないな」

にやにやと笑うアンディをクルーゼが軽く睨む。

そのクルーゼとの距離をアンディがゆっくりと詰める。

「本当に…愛、変わらず、だな。俺らは」

「?何?」

「いや…今度、逢えるのはいつだろうなぁ」

「この時代にそんなの考えるだけ無駄だ」

「そうか…そうだな。じゃあ、今をもう少し楽しみたいところだが…。どうだ?」

「…かかってこい」

そう言って、クルーゼが笑い、アンディが応える。

それは、相変わらずの愛の形。

                            
                            
  END


     


あまりにも吉野さんのアンディと隊長が素敵なんで、ツーショットイラストを描かせていただきました(^0^)
へぼへぼですけど、もらってやって下さいvvv
テレビ本編の方では今回も隊長は出てくれなくて、哀しがっていたら、
吉野さんからこーんな素敵な小説が!嬉しいです(≧∇≦)隊長!
フワフワできない地球に降りて来てくれてます(笑)、ちょっと休暇な感じでこっそり様子を見に来たんですね〜(^0^)
自分の管轄じゃなくなったらあっさり手をひいてる所とかも好きなんですが
(自分の管轄内ではしつこいけど、わきまえべき時は引く所が)、
地球でアンディといちゃついてくれて、すごく幸せvvv実際そうだったら良いのにな〜。
隊長あまりにも色っぽいです(〃^◇^〃)そしてアンディかっちょいいvvvvv