『この愛、壊したい』

小説吉野さま





評議会から再び招集命令を受けたクルーゼが本国に戻る途中、一本の通信が入った。

小型船艦の個室でそれを受けた彼は音声のみの通信であることを知ると外していた仮面を装着することを止めた。

そして、通信の相手を知ると、更に気を緩める。

「アンディ。何の用だ?」

『…第一声がそれか。相変わらずだな、ラウ』

アンディ・バルトフェルト。

ザフト軍・砂漠の虎と呼ばれる男で、クルーゼとは旧知の仲だった。

「お前が通信とは珍しいな」

『お前が2度も失態を続けるのも珍しい』

「…それ程の敵が出てきたということだ。わざわざ私を笑いに通信をよこしたのか?」

『今、その敵サンが俺のとこにいるよ』

予想しなかったアンディの発言にクルーゼは若干、眉をひそめて反応する。

勿論、アンディには沈黙としか分からないのだが。

『お前が仕留められなかったヤツだ。用心しなきゃなぁ』

「…楽しそうだな」

『お前の綺麗な顔を屈辱で歪ませたヤツなんだろう?許せないが…それはそれで見たかった気もするな』

クルーゼにはアンディの声だけで彼の表情が容易に想像できた。

勝ち誇ったような、楽しそうな笑顔。

クルーゼはアンディに聞こえるように溜息をついた。

「趣味の悪いことだ…」

『お前に惚れた時点でそれは自覚してる』

「………今、何と言った?」

『なぁ、俺がこの敵サンを倒したら、お前は悔しがるか?喜んでくれるか?』

クルーゼの問いには答えず、アンディがクルーゼに問う。

真剣な、低い声だった。

「…さぁな」

『悔しがる程、執着なんてしてやるな。俺に任せてみろ』

「…やれるものなら、やってみろ」

『ああ。その後に…また逢おう。お前の心を捕らえたヤツを俺が壊してやる。恨むなよ』

「何を言っている」

『じゃあな』

それで通信は一方的に切れた。

クルーゼは短く息を吐いて、髪をかき上げながら小さく笑う。

「(アンディがムウとのことなど知るわけもないだろうに…大した洞察眼だ。だが、あいつにムウは殺せない。ムウは殺されない。私が殺すのだからな…)」

殺すと言っている、その顔がひどく愛おしさを表現していることを彼は知らない。

否、知っているからこそ、再び、仮面を手に取り、装着したのかも知れない。

アンディの口から滑り落ちたように告げられた本心を聞かなかったことにして、クルーゼは席を立った。

2度と、聞くことがないよう願いながら。


                            
 END


アンディ!置鮎さんでしたね!別件でオッキーキャラにはとてもお世話になってるので(受なんですが(笑))
ドキドキしちゃいました!もちろん隊長の方が受け!!!ほんのりフラガ×クルーゼ ベースで、
アンディにここまで素敵な攻め台詞をつけられるなんて!さっすが吉野さん(≧◇≦)
ところで置鮎さんとゆえば…って事で、
『アンディ声が置鮎さんで嬉しかったんですーっ。置鮎さんといえば、
昨日「世紀末ダーリン」のCDを初めて買いまして(二人の幸せ温泉編だけ)かやさんが仰っていた、受け臭い攻めと言う言葉の意味が実感できました(笑)。耕平・・・むしろ可愛いっす!
置鮎さんの坂本とのやり取りがハイネルとブリード加賀のようで大変に受けまして・・・(笑)。耕平受モノはないかとネット検索したのですが、ないのですねぇ。既に役割が決まった作品ですから仕方ないっちゃあ仕方ないのですが(泣)。
また、自分で書くかもです(爆)。ただ、イマイチ設定とかが分からないのでCD集めねばってトコですね。とりあえず、トドタケ北海道編は近々、手に入れますよーっっ。メインっぽいっ。』(吉野さんのメールよりvvv)
良いですね!トドロッキー受け!私は是非読みたいです!!!トドロッキーは受け!!それがこのサイトの中では正しいのでっす!ここはそういう所だから!(笑)
関係ないですが、某イベントの時、左隣が櫻井さんのファンサークルさんで、右隣が置鮎さんのファンサークルさん、て事がありました(友達に、受声優さんジャンル?とか聞かれて、違うとは言えなかった…(笑))。で、置鮎さんのサークルさんに「最遊記では、三蔵達が置鮎さんキャラに失礼ばかりしてすみませんでした」とか謝ったら(←何故)「あのキャラ可哀想でしたね、って色々な方に言われますけど、謝られたのは初めてです!」とびっくりさせてしまいました(汗)申し訳ありませんでした(〃*◇*〃)
ちなみに別件でお世話になってるオッキーキャラはスラムダンクの三井…受け!です(汗)コチラで活動させていただいています〜