ある休日、利吉は半助の元に向かっていました。
会ったら抱き締めてたくさん接吻して、それからアレやコレや…ムフフ。
はっとして緩む頬の筋肉に渇を入れる。
平静を装わなければ。変な奴だと思われてしまう。
半助さんの家の前で大きく深呼吸する。
戸を開けたらきっと待ってなんかいなかったという風情の彼が。
待っていてくれた癖に照れちゃって、そんなとこも可愛いんだよな〜vv
とか何とか考えながら戸に手をかける。
ガタガタ…
あれ、開かない?
こんなところに手紙が貼ってあるじゃないか。
半助さんからのラブレターだ!
なになに…
利吉くんへ。
申し訳ない。きり丸のバイトを手伝ってきます。
中で休んで待っていてください。
半助
盛り上がっていた気分が一気に醒めた。
まったく半助さんは私の恋人なのに、きり丸のやつ…
いや、待て。この手紙は地図付きではないか。
バイトを手伝いに行こう。好感度UPのチャンス到来!
半助さん、待っていてください!
「半助すわぁーんvvv」
ハートマークをいっぱい飛ばしながら半助さんのいる家に駆け込んだ。
半助さんは私を見てホッと嬉しそうな顔をしている。
本当に可愛い人だ。
「利吉くん。いいところに来てくれたね」
「え゛?」
はっとして見ると半助さんの前には作りかけの箸袋の山。
「いやー私だけでは終わらないと困っていたところだよ」
「えっと、あの…」
言葉を失っている私を半助さんのすがるような潤んだ瞳(←注)利吉目線)が見る。
「ダメかな?」
ドッキーン!私の心臓は爆発寸前だ。
「いっいいえ、半助さんのためなら!」
「ありがとう、嬉しいよ」
私の前に山が押し付けられる。
「私は子守と犬の散歩があるから、後はよろしくね」
そう言い残して半助さんは出て行った。
…だまされた…
夜、きり丸を寝かせた後、半助さんは私を誘って外に出た。
月が煌々と明かりを放つ下を黙々と歩く。
昼間のことをまだ許せていない私は黙って彼の後をついていく。
半助さんが立ち止まった場所は大きな銀木犀の木の下。
ふわりと甘い香気が鼻をつく。
「これを君と見たかったんだ」
そう言って笑う半助さんはとても綺麗だ。
十三夜の美しい月の下、はらはらと舞い落ちる白い花。
半助さんが儚く消えてしまいそうに見えて慌てて抱き寄せた。
「どうしたの?」
優しい声。私の背中に腕を回してくれる。
「今日はごめんね、バイト手伝ってもらって」
「いえ、あなたのためならそんなこと…」
「せっかくの休みだから、ゆっくりしてもらいたかったのに。
君に早く逢いたくて地図まで書いてしまったんだ」
「え?」
私の肩に顔を埋める半助さんは耳たぶまで赤くなっている。
聞き間違いじゃない。今確かに『早く逢いたくて』って言ってくれた。
「あなたも同じ気持ちでいてくれたなんて嬉しいです」
私は半助さんの顎に手をかけこちらを向かせるとじっと見つめた。
恥ずかしそうに目を逸らせる半助さんにそっと口づける。
最初は触れるだけ、徐々に舌を絡ませ深く。
熱に浮かされたように私は囁く。
「あなたが欲しい」
半助さんは恥ずかしそうに私を見て、震える唇で言葉をつむいだ。
「今日のお礼に私にさせて」
銀色の魔力に包まれた濃密な時間。
私に跨った半助さんの体が少しずつ降りて来て温かい中に迎え入れられる。
苦し気に息を吐き出して「全部入ったね」と微笑んだ。
半助さんの笑みはとても淫らでそれでいてとても綺麗だ。
その笑みに私の箍が外れ思い切り下から突き上げる。
「あ…ダメ…はぁ……ん…」
半助さんの体が大きくしなり、絡めた手に爪が食い込んだ。
倦怠感に身をまかせ腕の中の半助さんを見た。
先ほどまでの姿態が嘘のように子どものように甘えてくる彼の髪に指をうずめる。
猫のように目を細めて喜んでいるこの人はあの笑みを私以外の誰に見せていたのだろう。
「何を考えているの?」
「妬いているのです。あなたを通りすぎた過去に」
「抱かれたいと思うのは利吉くんだけ」
そう言って半助さんは私に手を伸ばした。
私の肌の上を首筋から鎖骨、胸へと指を滑らせてゆく。
小さな飾りを見つけるとつんつんとつつかれた。
そんないたずらのような戯れが欲望に火をつける。
私は体勢を変え半助さんに覆い被さった。
半助さんは驚いたように私を見る。
「誘ってるんですか?まだ足りませんか?」
「え?あ…ふぅ…ん」
待ちわびているようにぷっくりと膨らんでいる半助さんの果実に唇を寄せた。
何度も唇で甘噛みしながら舌先でそれを刺激する。
半助さんの唇から甘い吐息が漏れる。
半開きになった口から赤い舌が覗いてとてもエロティックだ。
唇を滑らせて無駄な肉のない滑らかな半助さんの肌に赤い刻印を散らせる。
下腹部まで到達すると半助さんの屹立が透明な液体で濡れているのが見て取れた。
その下の蕾に指を差し入れる。
先ほど私の放った精で滑っていたそこは簡単に受け入れた。
指を動かして半助さんのいい場所を探る。
中の膨らんだ場所に触れると半助さんが高い声を上げ体を仰け反らせた。
ビンゴ!
「気持ちいいですか?」
半助さんは泣きそうな目で私を見てこくこくとうなずく。
そんな顔されたらいじめたくなるじゃないですか。
私はくちゅくちゅとわざと大きい音を響かせながら半助さんに囁いた。
「どうして欲しいですか?」
「…利…吉くん…?」
「言わないと分からないですよ」
「どうして…突然、そんなこと…あん!」
時折、半助さんのいい場所を刺激しながらもそれ以外はただ指を動かすだけ。
もっともっと乱れて私を欲しがる半助さんが見たい。
半助さんは涙をこぼしながら私にしがみついて来た。
「…いじわるしないで」
「意地悪?人聞きが悪いですね」
「……おねがい…早く…」
「あなたの口から聞きたいんです、言ってください」
「利吉くんので…私の中をかき回して」
半助さんの爪が私の背に食い込む。
もっとおねだりしてもらいたいけど、傷つけてしまっては元も子もない。
私は彼の足を大きく広げ猛った部位を半助さんに突き立てた。
「はぁ…あ……ァ」
やっと与えられた灼熱に半助さんの体から白い液体が吐き出される。
「ごめんなさい」
先にイってしまったことを半助さんが謝る。
「私こそごめんなさい、あなたが可愛いからつい…」
半助さんは小さく首を振って「大丈夫」と微笑んだ。
その笑みが愛しくてぎゅっと強く抱きしめる。
そして私自身の絶頂を目指して腰を動かしだした。
「あ…ァ…ん…」
イッたばかりの半助さんには刺激が強いのかもしれない。
それでも私は動きを止めることは出来ない。
激しい動きで半助さんを乱れさせる。半助さんの淫らな表情が私を興奮させる。
「大好きです」
私の腕の中で涙を流しながらしがみついてくる半助さんにそっと囁く。
半助さんからの返事はなく、ただ温かい唇が与えられる。
唇が『愛してる』と伝えてきた。
その声にならなかった言葉に満足し、私は欲望のすべてを彼の中に吐き出した。
私の大切な半助さん。
妖艶で淫猥でそのくせ子供のように純粋なあなた。
誰よりも愛しています。