恋人と別れた時から 四週間と少し |
夜の並木道。 坂本、「それじゃあ」と、笑って手を振り、歩き出す。 それを見送る若い女の後ろ姿。 |
週末には友達と気ままに遊んでる |
カラオケボックス。 若いサラリーマンの坂本、長野、井ノ原。女子大生風の剛子、准子。五人で盛り上がっている。 |
しかし―― |
腕を並んで歩いている坂本と准子。准子、うれしくてたまらない様子。 坂本、通り過ぎる車の助手席を見て立ち止まり、振り返って見送る。 准子「どうしたの?」 |
忘れたはずなのに 君の声が聞きたくなる |
居酒屋。 カウンターに並んで座っている長野と坂本。 長野「一体どうしたんだよ。准子ちゃん、泣いてたぜ」 坂本「忘れられないんだ」 長野「何が?」 坂本「健子のことが」 長野「健子って?」 |
真実の愛を問う話題作! |
Without you |
会社のオフィス。電話をとる井ノ原。 「お電話代わりました、井ノ原です。ああ、長野。どうしたの。え? 健子? さあ、聞いたことないなあ。坂本の昔の彼女ならみんな知ってるけど」 |
別れた恋人は―― |
電車に乗っている坂本。 閉まりかけたドアのガラス越しに、ホームのベンチに座っている健子を見て降りようとするが、顔の前でドアが閉まってしまう。 |
現実なのか |
夜の道。並んで歩いている井ノ原と坂本。 井ノ原「健子って誰だよ」 坂本「え、会ったことなかったっけ」 |
幻想なのか |
坂本の部屋。坂本、受話器を取り、プッシュホンのボタンをいくつか押し、考え直して受話器を置く。 |
また昨日のことのように |
上りエスカレーターの坂本。 下りエスカレーターに立っている健子に気づき、あわてて駆け下りようとして後ろの人にぶつかる。 |
愛がそばにある |
居酒屋。 テーブルに座っている坂本、長野、井ノ原。 坂本「准子ちゃんには悪いけど、健子とやりなおそうと思うんだ」 顔を見合わせる長野と井ノ原。 |
とどきそうなくらい |
喫茶店。テーブル席の長野、井ノ原、剛子、准子。 長野「坂本は病気なのかもしれない」 井ノ原「夢の中の女に恋してるんだ」 剛子「夢の中の女……」 准子「現実のわたしじゃあかんの?」 |
愛がそばにある |
坂本の部屋。電話をしている坂本。 「僕だ……。坂本だよ……。どうしても君に会いたいんだ」 |
僕のそばにある |
Without you |
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