伝説の少年マンガが 今、スクリーンによみがえる |
プロレスの試合。コーナーポストからリング下をうかがう覆面レスラーの姿。 立ち見席で、それを見つめている森田。 コーナーポストから飛んだ覆面レスラー、相手にかわされて、自分の足首を鉄柵に打ち付けてしまう。 |
白いマットのジャングルに |
その試合を、子供たちがテレビの前に群がって見ている。 子供たちの後ろから見ていたルリ子がつぶやく。 「痛そう」 すると、子供の一人・健太(三宅)が振り向いて、 「あいつ、悪い奴なんだからいい気味だよ」 |
今日も嵐が吹き荒れる |
東京下町にある私設孤児院「ジャニっこハウス」 車で若者(長野)が乗り付けてくる。子供たち、それを見て、 「あ、博にいちゃんだ」 長野が足をひきずっているのを見て、ルリ子、 「まさか、博さんが……」 |
子供たちの人気者・博。 しかし、彼の仕事は…… |
プロレス会場の控え室。マスクを手にしたタイツ姿の長野。その前には、黒いスーツにシルクハットをかぶり、マントまでしたミスター・ジョウ(城島茂)。 城島「ええか、できるだけえげつない反則やるんや。嫌われるほどギャラが上がるよってな。ギャラの半分はこっちの取り分。それが掟や」 長野、唇を噛む。 |
プロレス界最大のヒール |
ティガーマスク |
試合が終わった後、引き上げるティガーマスクを追う記者たち。その一人、岡田(腕にはVスポと書かれた腕章)が、話しかける。 「今日も反則ばっかりやったね」 ティガー「うるせえ、おれの勝手だろう」 控え室のドアをバタンと閉める。 |
ジャニっこハウス。 ルリ子が兄(国分太一)と向かい合って、お茶を飲んでいる。 ルリ子「ティガーマスクって、博さんじゃないかしら」 太一「まさか。それより、今月も赤字だ。それをなんとかしなきゃ」 |
プロレス会場の出口。ティガーマスクが出てくるのを待っていた森田、ティガーの前に飛び出す。 「俺もあんたみたいになりたいんだ。頼みます、俺を弟子にして下さい」 ティガー、どなりつける。 「最初から俺みたいなレスラーをめざす奴があるか」 |
孤独なヒール、ティガーマスク |
道場でティガーに話しかけるレスラー・マサ坂本。 「お前、どうして無理にヒールになってるんだ。ほんとうはレスリングで勝負したいと思ってるだろう」 ティガー、返事をせず、黙々とトレーニングを続ける。 |
しかし、子供たちの前では |
ジャニっこハウスの庭で子供たちと遊ぶ長野。ルリ子が話しかける。 「博さん、もしかしたら体を痛めるような仕事をしているんじゃ……」 笑って首を振る長野。 |
ジャニっこハウスの門の陰から、ハンチング帽をかぶった岡田が見ている。 「こりゃあ、特ダネや」 耳に挟んでいた鉛筆をとってメモを取り始めるが、もう一度中をのぞき込み、少し考えメモを握りつぶす。 |
プロレス会場。 リングサイドには、長野に招待券をもらった子供たちとルリ子。立ち見席に森田。 健太「博にいちゃんも来ればよかったのに」 ルリ子「お仕事が忙しいんですって」 |
ティガーマスクが、パイプ椅子で相手を殴る。 ルリ子、思わず叫ぶ、 「やめて、博さん!」 ティガーマスクの動きが一瞬止まる。 |
長野博の迷い…… |
控え室。うなだれる長野に向かって、ミスター・ジョウ。 「なんや、最近しょっぱい試合が多いのう。まさか抜けようなんぞ思うておらんやろな」 |
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道場。ティガーマスクに語りかけるレスラー・アントニオ井ノ原。 「ティガー、俺と組め。お前にヒールは似合わない」 |
ジャニっこハウス。テレビを見ている子供たち。 テレビの画面。左上には「プロレス・ニュース」の文字。アナウンサー(松岡)が一人、カメラの前で話している。 松岡「あの究極のヒール、ティガーマスクが、なんと正規軍入りを表明しました」 |
テレビを見ていたルリ子、 「博さん……」 太一がけげんそうな顔でそれを見ている。 |
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プロレス会場。 松岡「あのティガーマスクの正規軍入り第一戦の模様をお送りいたします。解説は、V録スポーツの岡田記者です。岡田さんよろしくお願いします」 岡田「どうも、Vスポの岡田です。よろしく」 |
リングの上には、アントニオ井ノ原とティガーマスク。そのセコンドにはマサ坂本。反対側に覆面をかぶった長瀬、山口。城島がセコンドについている。 リングサイドの席には、ルリ子と子供たち。 |
松岡「ティガーマスク、いきなりアントニオ井ノ原とタッグ結成です。そして相手はかつてのヒール仲間、アボット長瀬とコステロ山口」 岡田「長瀬と山口はほんま怒ってましたね。ティガーを救急車やのうて霊柩車に乗せたる言うてました」 |
ゴングが鳴らされる。 子供たち、盛んにティガーマスクに声援をおくる。 胸の前で手を組み、祈る姿勢のルリ子、健太の姿が見えないのに気づく。 「あらっ、健太は?」 |
華麗な技で長瀬と山口を追いつめるティガー。 松岡「とてもあのティガーマスクとおなじレスラーとは思えません」 岡田「ティガー、ほんまに反則攻撃を出しませんね」 |
長瀬と山口にリング下落とされたティガーにミスター・ジョウがささやく。 「あそこを見てみい。もし勝つようなことがあったら、あの子はどうなるか」 立ち見席の隅に緊張した顔の健太。回りを背の高い男に囲まれている。 |
動きが鈍くなったティガーマスク。 井ノ原とタッチしてコーナーに戻ったティガーに坂本が声をかける。 「どうしたんだ、ティガー」 |
健太と反対側の立ち見席にいた森田。ティガーマスクの視線の先にいる健太に気づき、不審に思って近づいていく。 |
松岡「どうしたんでしょう、ティガーマスク、急に動きが鈍くなりました」 岡田「何か、集中心に欠けてるように見えますね」 |
リングの上の四人、リング下の坂本、城島、放送席の松岡と岡田、立ち見席の健太、健太に近づいていく森田、客席の子供たち、健太を捜すルリ子、テレビを見る太一。 次々に映像が切り替わる。 |
ふらふらになりながらも立ち上がるティガーマスク。 長野の心の声、 「負けるわけにはいかない。あの子たちのためにも」 |
ティガーマスク |
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