都会の片隅で―― |
狭いアパートの一室。 寝息をたてている少女(三宅)。 その寝顔を見ている井ノ原。 |
肩寄せあって生きている―― |
八百屋の主人(坂本)が三宅にリンゴを一つ渡す。 「これ、おまけ」 「いいんですか」 「最後の一山になると、どうしても売れ残っちゃって」 三宅、頭を下げると、片足をひきずって笑顔で歩き出す。 |
兄と妹 |
油だらけになって工場で働いている井ノ原。 手の甲で額の汗をぬぐうと、額が油で黒くなる。 |
お前がいる |
お前がいる |
アパートの部屋。コタツを挟んで座り、食事をしている二人。 三宅「ねえ、お兄ちゃん」 井ノ原「ん?」 三宅「もうすぐお父さんたちの命日だね」 井ノ原「そうだなあ……」 |
|
銭湯からの帰り道。満月を見上げ、三宅は立ち止まって手を合わせ、何か願い事をする。
井ノ原「お月さんも大変だな」 |
まだいける |
工場。井ノ原が先輩(長野)に怒鳴られている。 長野「ばかやろう、こんなんじゃ売り物にならねえだろう」 井ノ原「すみません」 井ノ原、深く頭を下げる。 |
石にかじりついても |
路地裏。 三宅の前に立ちはだかる不良(森田、岡田)。 森田にナイフを突きつけられ、息をのむ三宅。 |
両親を亡くした二人 |
必死の形相で街の中を走る井ノ原。病院に駆け込む。 |
心の支えは妹だけ |
森田と岡田を相手に殴り合う井ノ原。 森田がナイフを出すと、それを奪い取り、 「お前ら、絶対許さねえ」 |
お前と行きたい所があるんだ |
夜。
アパートの窓を外からうつしている。 井ノ原、寝そべってテレビを見ている。 三宅、「邪魔よ」というようにその足を軽くたたく。 |
二人で行きたい所があるんだ…… |
土手の上。 自転車の後ろに三宅を乗せて走る井ノ原。 風を受け、二人とも笑顔。 |
お前がいる |
(快彦・健子プリクラシールつき) |